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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編 写真の心にチャレンジする!第4回 ボケとピントの効果
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  「ボケ味のいい写真はアマチュアカメラマンの憧れですが、いつもうまくボケてくれないのが悩みです」
「成り行きまかせで撮って、ボケの構造を理解して撮っていないからですよ」
「そんなに突き放さないで、教えてくださいませんか」
「何のためにボカすのか、まず、それを考えてください」
「画面全体がはっきり写りすぎると、うるさくなるからでしょう?」
「それもありますが、それだけではありません」
「といいますと?」
「人間の目はパンフォーカスですね。どこでもピントが合っています。しかし、人間は見たいものに注目すると、他の見たくない部分を意識の中でボケさせるのです」
「なるほど、そうですね」
「それに対して写真は、主題を特定してピントを合わせ、他の部分をボケさせなければ、作者の意図を伝えることができません」
「なるほど、そうですね」
「ボケ味を生かした写真は非現実的ですが、作者の意図は明確に伝わります」
「そこまでは考えていませんでした」
「さらにいえば、ボケにもいろいろあるのです」
「えっ? いろいろある……」
「ボケ味には、人物、ビル、自然などがあります。背景だけでなく、前景のボケも考えてください」
「普通の写真でボケてるのがそれですね」
「そのほかに、色ボケと光ボケもあります」
「えー、色ボケって、あれですか?」
「へんな想像をしないでください。ピンクやグリーンがほんのりといい色合いを出すような状態が色ボケです」
「そうですよねえ、ああ、よかった!」
「光ボケとは、水面や木の葉に反射した光が水玉模様になって、美しいボケ味をつくる。思い当たりませんか?」
「意識しないうちに光ボケが撮れているんですね。絞り優先で、絞りをできるだけ開放に近づけて撮っていました……」
「もう撮れているんですよ。意識しないうちに。基本操作はそれでいいのですが、それではコントロールしているとはいえませんね」
「では、どうすれば意図的にボケ味をコントロールできるのでしょうか?」
  「前ボケと後ボケをうまく使い分けるのは、何をねらうか、どう撮るかによります」
「ボカすのは後ろだけだと思っていました」
「前の景色も、ねらいでないものはボカして画面を整理することを考えます」
「ポートレートや花は、ねらいを絞った写真だから、結果としてできていたわけですね」
「そのとおり。主題を際立たせる画面構成に必要のないものは、前でも後ろでもボカすと考えていいでしょう」
「そのとき、どこまでピントをあわせ、どこからボカすかをコントロールできるのでしょうか」
「カメラの絞り込みボタン(プレビューボタン)を使ったことがありませんか?」
「あることは知っていましたが……、使っていません」
「ファインダーをのぞきながら絞り込みボタンを押して絞り値を変えていくと、ボケ味が変わるので、好きなボケ味を選択することができます。もちろん、露出を確認することもできます」
「そうか……、ファインダーをのぞいたとき見えている画面は、絞り開放状態なんですね」
「レンズの種類によってボケの範囲は違ってきますよ」
「え、そうなんですか?」
「被写界深度といって、これは、講座で解説しましょう」
「ボカすと一言でいっても、むずかしいものですね」
「ボケ味をどう配置するかによって、構図も変わってきます。ボケ味のコントロールは、写真の表現技術のもっともむずかしいテクニックのひとつです」
「少しだけわかった気がします。これからも修練が必要なんですね」
「実践的なテクニックですから、撮影現場で試してください」
 

家族の写真はもっとも数多く撮られる写真だが、ほとんどは正面から撮る記念写真で、横に並んで動きがなく、表情が硬くなり、一人ひとりの個性が感じられない写真になってしまう。

今回は、自由に遊びまわる子供の豊かな表情をできるだけ写すようにした。テクニックの追求テーマはもちろんボケ味である。


f2.8 1/1000秒 ISO 200 露出補正-0.33
コメント
大きな振幅のブランコの躍動感と、遠景の街並みのボケ味を両立させるにはどうすればよかったのか。流し撮りで背景をブレさせればもっといい効果が出せたと思うが、その技術がない。
講評
前後に動く被写体をバッチリ止めたレンズワークと、シャッターチャンスのよさは並々ならぬ技量ですよ。背景のボケ味もこの程度ならうるさくなくてよかったでしょう。流し撮りは一般的に左右の動きに対して使う技法ですから、この場合は効果的とはいえません。
f2.8 1/500秒 ISO 200 露出補正+1
コメント
光線がやわらかいおかげでミスが目立たないが、コントラストの強弱、色彩のバランスなど、背景の処理を考えて写すポイントを選ばないと、父娘の表情がいい写真も台なしになってしまう。スナップショットのむずかしいところだ
講評
見えない糸で結ばれた父と娘の味わいのある情景が表現できています。背景のボケもきれいで二人の姿を浮かび上がらせています。構図にはもう一工夫ほしいところです。
f4.5 1/500秒 ISO 200 露出補正+0.67
コメント
仲のいい家族の光景。スナップショットは表情のよさが生命線だが、この日は曇りだったのでコントラストが低く、柔らかな表情を捉えることができた
講評
コメントのとおり被写体を照らす柔らかな光線が家族のぬくもり演出していますね。表情をメインに大胆に切り取った構図とシャッターチャンスがすばらしい。被写体を冷静に見つめる視線を感じます。
f4.5 1/640秒 ISO 200 露出補正+0.67
コメント
背景をボカして、主役を引き立てるのがポートレートの基本だと思うが、意図して絵づくりをしないと背景はあるがままで、平凡な写真になってしまう
講評
そのとおり! こっちを立てればあっちが立たずといった具合で、この写真からスナップショットのむずかしさがよく分かります。この子供の素敵な表情が画面の欠点を全部帳消しにしてくれそうですね。惜しい!
f4.5 1/400秒 ISO 200 露出補正+1
コメント
子供の好奇心が表情に出た瞬間を撮りたかった。背景の石組みと水の流れが画面に変化をつけて、色彩バランスがよくなった。露出補正も効いて、明るい表情とやや暗い背景とのバランスがとれた
講評
大人にとってつまらないものも子供は好奇心を抱く、そんな子供の世界が捉えられています。背景の処理もきれいで心和む落ち着いた作品になりました。
f5 1/320秒 ISO 200 露出補正+1
コメント
ロープのピラミッドで遊ぶ少女が楽しそうだ。下から上を写すアングルになったので、露出補正を+1にして、顔が暗くならないようにした。スナップの縦位置はむずかしい
講評
遊具で無心に遊ぶ子供の姿っていいですね。この写真を見る人は誰でも「私もこんな時代にかえりたい」と思うのではないでしょうか。画面構成、露出の選択、シャッターチャンス、背景のボケ、いずれもうまく決まっています。
f4 1/500秒 ISO 200
コメント
梅のゴツゴツした黒っぽい樹皮と白い花が効果的な背景になって、きれいな表情が撮れたと思う。樹皮が暗かったので補正はなし
講評
あどけない少女の表情に大人の色香もチョッと覗いてかわいい。画面の中に対角線に置かれた姿と背後に向かう視線が動きを表現しています。髪を束ねるアクセサリーの青色も色彩効果として変化をつけています。光の状態、露出の選択、構図、シャッターチャンスなど、すべてがうまくかみ合ってできた作品ですね。
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