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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編 写真の心にチャレンジする!第3回 光の方向と質感の描写
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  「今回は光の方向と質感の描写がテーマですが……」
「何のことだか、よくわからないんじゃないかな?」
「……はい、あまり考えたことがなかったので……」
「あ、きれいだな、と感じたとき、どうしてそう感じたのか、考えたことがないんでしょう?」
「そうですね……。きれいだな、撮ってみようか、とカメラを構えます」
「それですぐシャッターを押してしまう――」
「ええ、きれいと感じたままに撮るわけですから、それでいいのでは?」
「美しいと感じたときには、その理由があるのです」
「理由、ですか? 美しいだけではいけないのでしょうか?」
「景色を見ているだけなら、それでいいでしょう。でも、その景色や被写体の美しさを人に伝えようとすると、どんな美しさだったかを細かく説明しないとわかってもらえませんね」
「そうか……そうですね。大雑把な表現では信用してもらえないですものね」
「写真を撮るということは、その写真の中に、人に伝えるための分析的な情報を盛り込む作業です」
「なるほど、そうですね」
「その第一歩が、被写体の状況を把握することです」
「状況? ですか」
「被写体がアピールしている美しさは、その大部分が光線の状態です」
「先生はよく、いい光が当たっている、といいますね……それですか?」
「そうです。ですから、それを把握する必要があります」
「なるほどねえ……」
「被写体がきれいに見えるのは、光の状態がいいからです」
「いい光の状態を写真に表現する、それができるようにならなくちゃいけない、ということなんですね」
「そうです。光を見るときには、気をつけるポイントが2つあります」
「2つですか?」
「ひとつは光の方向です。被写体に当たっている光がどんな角度か、それを判断します」
「角度を見るのですね」
「被写体に射す光がカメラの後ろから来ているのが順光、そこから順に、斜光(45度の位置)、サイド光(90度)、半逆光(135度)、逆光(180度)といいます」
「360度か……」
「それが直接光で、光と影がはっきりしたメリハリがある硬い表現に向いています。それと反対なのが間接光です」
「間接光とは?」
「曇天の光が間接光です。やわらかい表現に向いた光線で、人物撮影などに向いています」
  「もうひとつは、色です」
「色にも種類があるのですか?」
「朝や夕方の赤い光、晴天日中の青い光、人工光源の光、この3種類です」
「時間帯で色が変わるのですか?」
「もうすでに経験していますよ。夕方の光や朝の光は何度も撮っているでしょう!」
「そうでした。きれいな光景だと感じていたのに、色の種類までは考えていないものですね」
「アウトドアなら時間帯で変わる太陽光に注意すればいいのですが、都市ではそこに人工の光が混じってくることもあります」
「光源の種類を確認するわけですね」
「光源によって色が変わります。ですが、デジタルカメラはホワイトバランスで自動的に補正してしまうので、違いがあることだけを覚えておいてください」
「色を表現しようとすると、露出の微妙な変化でくるくる変わりますが、それをどう撮るか、いつも苦労しています」
「適正な露出で色やコントラストを表現することは、質感の描写でもっとも大切な要素です」
「悩みの種がまた増えました……」
f2.8 1/250秒 ISO 100
コメント
鳥居の向こうに希望がある風景。鳥居のトンネルの赤い色に日射しが反射している。露出を鳥居のトンネルの内側の赤がつぶれない程度に合わせて、出口の木の緑が飛ばないようにした
講評
稲荷の鳥居は以前この写真塾でも取り上げた。被写体として新鮮味は無いが、おしゃれな画面構成と適切な露出選択によって色彩効果の優れた作品となった。朱塗りの鳥居に映りこんだ外光の白い筋が単調な画面に変化を与えている。
f6.3 1/640秒 ISO 100 露出補正+0.33
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この鳥居は空港施設の拡大でたびたび移転されたがそのたびに事故があって、丁寧なお払いでようやく事故から解放されたという曰くつきのもの。鳥居にはめずらしく、掲額には平和と書いてあった。正々堂々と正面から順光で撮る
講評
大きな被写体が力強く表現されている。斜め前方45度からの斜光線は写真を撮るうえの基本的な光の方向として定着してきた。色彩、質感、立体感などいずれも正確に表現する光線状態である。そのお手本のような作品になった。この瞬間、この鳥居の下で記念の写真を撮ったら一級の観光写真になるね、きっと。
f5.6 1/200秒 ISO 200
コメント
羽田町の海老取川河口に繋留船のたまり場があり、釣り船もここから出る。海が輝き、散歩する二人連れの輪郭も赤く光っていた。日没寸前の逆光
講評
漁村の舟泊まりは生活の匂いがある。夕暮れの黄色い光が優しく包み込む港の一瞬をうまく捉えた。状況をしっかり見て仕上げた情感のある作品。
f5.6 1/250 ISO 200
コメント
川鵜は何を想うのか。羽田空港の建物と標識塔をボカして、川鵜に視線が集まるように撮った。夕暮れ時の空は、青からピンクに流れるグラデーションがとても美しい。光線は斜光
講評
鳥の写真というより作者の心象風景と受け取れる作品。よく考えた画面構成が素晴らしい。空の表情や背景の赤い標識塔がシンプルな画面に品のよい味わいを与えている。光線の選択とレンズワークの良さが光る作品である。
f5.6 1/125秒 ISO 200
コメント
日没前から見えていた月は満月だった。月に露出を合わせたが、景色が残光に映えていたので、つぶれない程度に撮る
講評
「月は東に陽は西に」薄墨色に暮れていく波止場の淋しげな情景である。空の微妙なグラデーションと手前のボートや杭を照らす夕日の赤い色彩が画面に温か味を添えている。
f4.5 1/320秒 ISO200
コメント
レインボーブリッジの向こうの空が夕焼けで赤く染まり、灯がともり始めた景色。撮影ポジションは逆光だが、水面にわずかな反射が見えるだけ
講評
夕焼けの赤い空は色彩効果抜群であるが画面構成としてシルエットの黒い空間に何か着想がほしい。
f5.6 1/200秒 ISO 200
コメント
撮影実習が午後から夕景の時間帯ばかりだったので、小金井公園で朝の光を追加撮影。綿毛のような枯れ草に光が射し、森の木々にも木漏れ日。春が近いことを予感させるのどかで暖かな風景。かがみこんで低い位置から撮った
講評
雑木林の下草に射し込む朝の光に温もりを感じる。画面上部奥の林は暗く、まだまどろみの気配である。大木から伸びた枝が画面を横に這いおとぎの国の入り口を思わせる。朝の低い光線が演出する非日常的な瞬間をうまく捉えた。着眼の良さが光る作品
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