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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編 写真の心にチャレンジする!第3回 光の方向と質感の描写
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  「羽田空港へは一人で行って撮ってみてください。ぼくは用事があるからご一緒できません」大先生は電話でそういった。
さあたいへんだ。どうしていいかわからない。その不安な気持ちを見越したかのように、予定日の前夜、大先生からファックスが届いた。
「羽田空港は飛行機だけでなく、おもしろい形の運搬用車両とか照明装置、路面に描かれたパターン、駐車場の車など、モチーフはたくさんあります。バラエティに富んだ写真が撮れますよ」
 

前回は「アングルとポジション」のテーマで、被写体がもっとも美しく見える場所を探す講座であった。講座もいよいよ核心に迫ってきた感がある。

写真撮影とは、被写体をさがし→どう撮るか(どのように表現するか)決め→その手順に沿って露出を決め→正確にカメラを操作してピントを合わせ→シャッターを押す一連の作業だと考えていたが、どうもそうではないようだ。

撮影ポイントが決まっていれば、そこで撮れそうな写真はあらかじめ想定できる。思いがけないシャッターチャンスに恵まれることがあるにしても、ほとんどは想定内といえそうだ。

どう撮るかに関しては、被写体のどんな状態に感動したのか、どんな態様を美しいと感じたのか、それを分析すれば、写真表現に置き換えることができる。それならば、被写体を決めて→どう撮るか、のその間に必要な手順があるはずだ。何かが抜け落ちているのではないか、それに気づいたのだった。

被写体が決まったら一呼吸おいて、そのどこに感動したのか、じっと被写体をながめてみる必要があるようだ。そう考えていくと、大先生も若先生も被写体を前にしてすぐ撮らず、何か考えていたことを思い出した。

そうなのだ。被写体がもっとも美しく見える場所(アングルとポジション)をさがしたら、次に「美しさの素」をさがさなくてはいけないのだ。これまでの写真にはそれが欠けていた。

  「被写体に向かう光線には、順光から逆光まで360度の角度があります。それを意識して撮ってみなさい」大先生の指令はそういうものだった。

これまでの写真は被写体を最初に発見した場所でそのまま撮っていたので、光線はいわば既定の条件だったのだが、第一印象に固定して撮ろうとせずに、自分で撮影場所を選択してみなさいということなのだろう。

今回の撮影は羽田空港を手始めに、羽田空港周辺の穴守稲荷と漁港、小金井公園の3か所で、光線を意識して撮ったものだ。光線を意識すると、被写体のきれいな撮り方に幅が出てくる。それに加えて質感が高まってくるので、結果として写真の情報量も増えて、説得力のある写真になる。

f6.3 1/80秒 ISO 100
コメント
羽田空港第2ターミナル吹き抜けの巨大なカーテンがうねり、外光を乱反射して大空間を照らす。空間の広さと人間の小ささが対照的な景色。外光と間接光のミックス
講評
自然光を取り入れた広大な人工的空間をうまい画面構成でまとめている。露出の選択も適正で、大きなガラス窓と内部の描写とのバランスがとれたのが成功している。
f7.1 1/80秒 ISO 200
コメント
夕方のピンクに映える空から下降し、着陸体勢に入った飛行機。もっとピシッとピントを合わせなくてはいけないのだがやや前ピン。250mm(35mm判換算400mm)いっぱいのズームで手持ちはつらい
講評
夕暮れのピンク色の空がきれいだ。この時間帯は空の色も刻々と変化するので露出の選択は忙しいがうまくいったので色彩効果としては成功している。しかし旅客機の姿が小さくインパクトに欠けるのと、手ブレが致命傷といえるね。ISO感度を上げてもっとはやいシャッター速度を選択しよう。
f5.6 1/125秒 ISO 200
コメント
空港第1ターミナルの展望台から日没を撮る。燃えるような夕焼け。整備中の飛行機の輪郭が赤く光る。逆光だが滑走路のディテールがよく見え、つぶれてしまうことはなかった
講評
遠景に赤い夕焼け空と沈む太陽がドラマチックだ、その赤い光がすべるように旅客機に届き、ラインライトとなって機体を照らしている。欲張った画面構成であるが、静寂な画面に遠い旅から戻った安堵の情感が表現されている。
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