初級、中級、実践編と、半年以上にわたって写真をうまく撮るためのノウハウについてヤジキタ道中さながらに学んできたが、振り返れば遠い道のりの入り口にやっとたどり着いた思いである。
写真塾を進めるなかで、生徒のカメラマン氏の感性の素晴らしさに私は少なからず刺激を受けた。しかし写真は感性だけでは創れない。カメラマン氏はこれをいやと言うほどに思い知らされ、苛立ち、ますます迷路へ入りこんだ時もあったようだ。今、彼は煩悩を抱えながらも進む道を明確に描き始めている。
これまでカメラをもって写真を撮ることがなかった彼の日常を思えば長足の進歩といってよいし、毎回ここに掲載する彼の作品を見れば納得のいく事実である。
しかし作品の完成度について見れば、カメラ雑誌の初級コンテストにさえ応募できるレベルに至っていないのだ。具体的に指摘してみよう。
・カメラやレンズをはじめ使う道具についての知識がまだ十分とはいえない。
・すぐ撮る、はやく撮るのも悪くはないが、絵作りに時間をかけると見えてくるものがある。
・画面構成にあたって不要なものと必要なものを見分ける眼がまだ不十分だ。そのためにきれいな構図が作れないし、レンズの選択も的確でないケースが多いようだ。
・モチーフをよく観察して、どう撮るか、頭の中で組み立てることをやってみる。
・撮るときの感動や思いを自分の気持ちの中で整理し切れていないため、見えるものの特徴の何を表現し、どう伝えるのか、その詰めが甘い。
・心に響いたもの、見る人の心を揺さぶるものとは、光か色か形なのか、あるいは現象なのかをはっきりさせたい。むずかしいことだが、抽象的な概念を眼で見えるものに置き換える訓練が必要。
このように、超えるべきハードルは際限がない。キャリアを考えれば当然であるが、ひとつずつ楽しみながらクリアしていってほしい。
最近、生徒のカメラマン氏と一緒にいて、写真談義に夢中になることが多くなった。それは私にとっても楽しい時間である。彼が写真と自分との関係を考え始めたことが嬉しい。
しかし、彼の写真の中に彼がいない。その結果、寂しい作品がまだ多いようだ。
「 あなたにとって写真とは何ですか?」
これに確信をもってこたえられるよう写真と向き合うスタンスを持ってほしいと思う。









