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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 第6回 露出コントロールで写真を楽しむ
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●絵づくりのプロセスを作例で見る

最近のカメラの進化は驚くばかりで、撮りたいと思うものに向けてシャッターを押せばそれなりの写真は写せるようになっている。それでも、たまにはカメラもミスして予想外の画像を液晶に映し出すこともある。

「なんでこんなに暗いの!」「どうしてこんなに白っぽいの!」

だが、その画像をしばし眺めていて「でもこの写真っていいね!」「なんか素敵だ!」こんな経験をしたことはないだろうか。そう感じた写真の露出こそあなたにとっての適正露出というわけだ。このようなプロセスを経て、露出によって写真表現が変わることをあらためて実体験することもある。
そこで今回は実践編の締めくくりとして、これまで学んだ露出の知識をフル回転させて「露出と写真表現」をテーマにお台場の夜明けに挑戦した。

今回の講義は、作例写真の解説をしながら進めていきたい。

作例A
f16 1/25秒 ISO 200
お台場海浜公園午前7時 
使用レンズ:70−200mmf2.8L
講評
時間的には全体に明るい風景であるが朝日を受けて輝くビルを強調、ローキーな港湾風景をねらうことで平凡な作画を避けた。
ビルの光る壁面をスポット測光。露出は段階露光でアンダーのカットを選択
写真B
f16  1/200秒 ISO 200
お台場のTV局ビル前の小公園午前7時前
使用レンズ:70−200mmf2.8L
講評
朝焼けの空を背景に細く尖ったモニュメントの天を突く姿がおもしろい。漂う静寂と緊張感を表現した。空に飛行機を入れて画面に動きを出す。これも見た目よりずっとローキーな色調効果をねらった。極端な露出補正は色が濁るので見栄えと相談しながら決めている。
空のもっとも明るい部分をスポット測光。段階露光のアンダーのカットを選択。
写真C
f 5.6 1/200秒 ISO 200
レインボーブリッジの歩道からの眺め、快晴の10時過ぎ
使用レンズ:70−200mmf2.8L
講評
対岸のビル群が立体感のある光景を繰り広げている。橋脚に取り付けられた信号灯の形と色に惹かれた。ガラスのオレンジ色をメインに全体を明るく童話的に描きたいと考えた。手前の手すりで下部のボケを入れ海に浮かぶイメージを演出、背景になる対岸のビル群もアウトフォーカスでソフトな感じに仕上げた。
露出はガラスのオレンジ部分をスポット測光。段階露出で明るいカットを選択。その際液晶画面で背景の白とびに注意しながら調整した。

●撮影の新しい領域に踏み込む

実践編では、これまでの講評よりもっときびしく評価してもらいたい。それで、今回撮った写真の中からベストスリーを選んでもらって、それぞれを徹底追及し、分析的に評価をしていただく。

評価項目は5つ。「モチーフ」は、モチーフを捉える眼と視点を評価する。「構図」は、対象を切り取る構成力だ。「露出」と「ピント」は技術力、「表現力」は、総合的な評価となっている。

古屋大先生が選んだのは、美神の門、自由の女神、自由の炎の3点。若先生が選んだのは、美神の門、高速道路と空、芝浦埠頭の3点だった。

今回は、初級編、中級編、実践編のまとめを、大先生からいただいた。


実践編では、これまでの講評よりもっときびしく評価してもらいたい。それで、今回撮った写真の中からベストスリーを選んでもらって、それぞれを徹底追及し、分析的に評価をしていただく。

評価項目は5つ。「モチーフ」は、モチーフを捉える眼と視点を評価する。「構図」は、対象を切り取る構成力だ。「露出」と「ピント」は技術力、「表現力」は、総合的な評価となっている。

古屋大先生が選んだのは、美神の門、自由の女神、自由の炎の3点。若先生が選んだのは、美神の門、高速道路と空、芝浦埠頭の3点だった。

今回は、初級編、中級編、実践編のまとめを、大先生からいただいた。

f9.5 1/1500秒 ISO 800
コメント
お台場海浜公園につながる台場地区のデッキで、オブジェ「美神の門」をシルエットに日の出を撮る。絞り優先AE・中央部重点測光のまま補正せず
講評 採点
あらかじめ場所を決め、待ち構えて撮影したように完成された立派な作品である。構図、露出、ピント、タイミングなどすべてがバランスよく表現されている。作者はこの作品をどう考えているのか、コメントに書かれていないのは残念だ。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
講評 採点
露出はかなりアンダーですが、朝の光線状態も良いですし、構図は縦画でうまくまとまっています。少なくとも、あと一段ほど明るめの露出で撮れていれば完成度の高い仕上がりになっていたでしょう。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
f8 1/350秒 露出補正+0.5 ISO 800
コメント
アクアシティの影で自由の女神に光が射していないが、対岸の明るいピンクの景色と青い空との対比がうまくバランスしたようだ。自由の女神をどの程度の大きさに配置させるかに迷った
講評 採点
ダイナミックな構図が素晴らしい。朝日に輝く遠景の描写も美しく、空を大きく取り入れた画面が心を癒してくれそうだ。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
f8 1/2000秒 ISO 800
コメント
「自由の炎」を何枚も撮ったが、これだといえる構図の写真は撮れなかった。背景はフジテレビのビル
講評 採点
構図については前掲のホテル・グランパシフィック・メリディアンを背景にした写真と同じくモニュメントは少し中心へ据えたい、朝日に輝くモニュメントと背景のビルが同じ質感で画面に統一性と緊張感を与えた。カメラが寄った分インパクトのある画面構成になって色調も美しく、見ごたえのある作品になった。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
f8 1/750秒 露出補正+1 ISO 400
コメント
お台場公園からレインボーブリッジに向かい、高速道路の曲線に囲まれた空を撮る。空の色とコンクリートの建造物の対比は写真心を刺激される景色だ
講評 採点
一つ一つのモチーフは平凡ですが、建物と鉄道の高架のはざ間からのぞく雲が、この写真のポイントになっています。建物上部のピンクの干し物が気になります。それと、もう少し広角気味のレンズで高架のカーブを強調できると、いっそう良い仕上がりになると思います。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
講評 (参考)
トンネル構図をうまく使って画面を構成している。ポイントになる空の表情にもう少しインパクトがほしい。高速道路とマンションと樹木の組み合わせが生活感を表現して優れた作品である。
f16 1/500秒 ISO 400
コメント
レインボーブリッジの上から眺める芝浦埠頭の貨物置場。背後には東京タワー。思いがけず色彩感あふれる写真が撮れた
講評 採点
高い場所から都市を俯瞰で捉え、ワイドレンズと相まってスケール感のある写真になっています。順光なので、色がきれいに出ています。レインボーブリッジの柱の影は、良し悪しが分かれるところではありますが、個人的には悪くないと思います。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
講評 (参考)
カメラポジションが写真の出来栄えに大変大きな要素だと、この写真をみてつくづく感じた。色彩に溢れた埠頭のひとつひとつに目を惹かれ飽きずに眺めてしまう。晴天の明るい光と自然な遠近感が気持ちよい。

●押しかけカメラマンは進歩したか

初級、中級、実践編と、半年以上にわたって写真をうまく撮るためのノウハウについてヤジキタ道中さながらに学んできたが、振り返れば遠い道のりの入り口にやっとたどり着いた思いである。

写真塾を進めるなかで、生徒のカメラマン氏の感性の素晴らしさに私は少なからず刺激を受けた。しかし写真は感性だけでは創れない。カメラマン氏はこれをいやと言うほどに思い知らされ、苛立ち、ますます迷路へ入りこんだ時もあったようだ。今、彼は煩悩を抱えながらも進む道を明確に描き始めている。

これまでカメラをもって写真を撮ることがなかった彼の日常を思えば長足の進歩といってよいし、毎回ここに掲載する彼の作品を見れば納得のいく事実である。

しかし作品の完成度について見れば、カメラ雑誌の初級コンテストにさえ応募できるレベルに至っていないのだ。具体的に指摘してみよう。


・カメラやレンズをはじめ使う道具についての知識がまだ十分とはいえない。
・すぐ撮る、はやく撮るのも悪くはないが、絵作りに時間をかけると見えてくるものがある。
・画面構成にあたって不要なものと必要なものを見分ける眼がまだ不十分だ。そのためにきれいな構図が作れないし、レンズの選択も的確でないケースが多いようだ。
・モチーフをよく観察して、どう撮るか、頭の中で組み立てることをやってみる。
・撮るときの感動や思いを自分の気持ちの中で整理し切れていないため、見えるものの特徴の何を表現し、どう伝えるのか、その詰めが甘い。
・心に響いたもの、見る人の心を揺さぶるものとは、光か色か形なのか、あるいは現象なのかをはっきりさせたい。むずかしいことだが、抽象的な概念を眼で見えるものに置き換える訓練が必要。

このように、超えるべきハードルは際限がない。キャリアを考えれば当然であるが、ひとつずつ楽しみながらクリアしていってほしい。


最近、生徒のカメラマン氏と一緒にいて、写真談義に夢中になることが多くなった。それは私にとっても楽しい時間である。彼が写真と自分との関係を考え始めたことが嬉しい。
しかし、彼の写真の中に彼がいない。その結果、寂しい作品がまだ多いようだ。
「 あなたにとって写真とは何ですか?」

これに確信をもってこたえられるよう写真と向き合うスタンスを持ってほしいと思う。

●古屋光雄先生(大先生)のプロフィール:
写真家。1934年生まれ、山梨県出身。大学卒業後、会社勤務を経てフリーランス フォトグラファーとなる。1976年、東京六本木に株式会社光スタジオを設立、コマーシャルフォト、エディトリアルフォトを中心に新誌社の出版物、企業 のPR誌、自治体の刊行物などで幅広く活動
●古屋洋一郎先生(若先生)のプロフィール:
1967年横浜生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。日本広告写真家協会会員。建築写真、広告写真が専門分野。(株)光スタジオ代表。
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM + EF35-135mmF3.5-5.6 IS USM
大先生:CANON EOS 5D + EF70-200mm F2.8L USM
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