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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 第6回 露出コントロールで写真を楽しむ
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  正確な露出や正しい操作技術は大切な要素だが、それだけが写真ではない。もっと自由で大胆な表現方法をあれこれ試してみると、写真の楽しさがさらにふくらみ、モノの見方が変わってくる。
 

写真を撮るようになって、変わった点がいくつかある。

まず、視野がひろがって、景色を楽しむようになった。写真を撮る前は、街を歩いていても人しか目に入らなかったのだが、最近は視線に上下左右の広がりが出てきたように思う。なにより空模様が気にかかるし、季節の移り変わりや景色が目に入る。ポスターやショーウィンドウに目が行き、写真があるとどう撮ったのかと考えてしまう。

ときには、この景色を写真に撮るとすればどんな画角で切り取ったらいいかと考えることもある。さらには、モノや景色と自分との関係まで考えたこともある。いろいろな被写体を撮ってみて、街並みや雑踏よりも自然と文明の接点に関心が向いていることもわかった。

「押しかけ写真塾」をやるようになって、使う言葉も変わった。ビジネスマンのころはモノを売るのが目的だったから、関心はモノやヒトや市場の動向で、使う言葉も効率重視で論理的だったのだが、今は感覚的で情緒的な表現のための言葉づかいがふえている。まるで40年前の学生時代のようだ。「もういちど○○」というボンビバンのコンセプトどおりじゃないか。


今回は実践編の最終回ということで、初級編・中級編・実践編のまとめをしてみたい。撮影テーマは「露出コントロールで写真を楽しむ」だ。いつも昼ころから夕方の写真が多かったので、今回は朝の光を撮ってみることにした。場所はお台場を選ぶ。

  「先生、初級編以来、いろいろな写真を撮ってきましたが、すこしは上達しているのでしょうか?」
「上達しています。技術的には」
「というと?」
「写真を撮るという行為は、何を撮るかではなく、どう撮るかが大切なのです」
「それを学んできたつもりですが……」
「むずかしいことをいえば、どう撮るかということは、モチーフと自分との関係を明らかにするということです」
「そうですね」
「そのうえで、見る人に何かを伝える」
「はい」
「何かをわかりやすく伝えるために、余計なものを排除して画面を整理し、伝えます」
「はい」
「撮影テクニックもカメラ操作も、伝えたいことを強調し、よりわかりやすくするためなのです」
「でも、まず正しい露出や、正確なピントができないといけませんね」
「それは最低限の技術であって、撮影の基本です。目標とする到達点ではありません」
「でも……」
「伝えたいことを表現するために、必要にして十分な情報を確保するという意味で、ピントや露出が重要だということを忘れてはいけません」
「わかりました」
「これからは、一段上のレベルで評価をしていくことにしますよ」
「えっ???」
「それと、写真にタイトルを付けてみませんか」
「わざとらしいタイトルを付けるのは苦手でして、趣味じゃないし……」
「よくある『心象風景』とか『幻視行』などという主観的なタイトルではなく、何を撮ったのかを自分の中で明確にするためですよ」
「なるほど、わかります、わかります。『渓流』ではなく、『多摩川』とすればいいのですね」
「そうです。具体的に何を撮ったのかをはっきりさせるのです」
「わかりました。それじゃ、今日の撮影は『曙光』とか『未来都市』ではなく、『お台場の朝』というモチーフで撮ることにします」
「朝の光は強く、露出が大きく変わります。カメラのAEまかせにしないで、自分でコントロールして露出を決めてください。そうすることで表現が大きく変わります」
「変わった写真を撮れということですね?」
「そういうことじゃないんですが、……まあ、今日はそれでもいいか。とにかく楽しんで撮りましょう!」
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