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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 紅葉を撮るワザ〜鎌倉を撮る―
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●紅葉を近景、中景、全景というパターンで撮る

紅葉を求めて撮影場所を鎌倉にきめたのに、紅葉はやっと始まったばかり。モチーフをもとめて色探しの旅になりました。

北鎌倉の明月院に着いてやっとあざやかな紅葉に出会い、ホッと一息。草庵の片隅に植えられた1本のモミジの木が、思わず「これが本物!」と見紛うばかりの見事な色彩でした。
あれこれポジションやアングルを探し、3つの画面構成を考えてみます。


1)紅葉だけを撮る
2)草庵を背景に入れて撮る(作例1)
3)草庵の屋根、紅葉、背景の山を入れて秋の景色を撮る
作例1 f4 1/100秒 露出補正−0.33

構図の基本である近景、中景、全景というパターンを、紅葉の撮影にも当てはめてみるのです。この場合、ファインダーの中のAE値は常に変化しているので、そのままカメラまかせで撮ってはいけません。

それならどうするか。ここが大切、思案のしどころですね。そこで今回は「紅葉をいかに美しく撮るか」テーマに、私の体験的ノウハウをお話します。


●記憶色は美化されている

山のナナカマドやモミジの赤からイチョウの黄色まで、樹木や草の種類により紅葉の色もさまざまです。しかし私たちの頭の中にはそれぞれの色について美化された記憶色があります。これは常に現実と一致するものではありません。したがってレンズによって写し取られた紅葉がこの「記憶色」に近いほど、「きれいだね!」と感じるのです。

また気象条件などによっては、記憶色とは縁遠い味わい深い色彩が表現されて、新鮮な感動を与えられるのも写真の醍醐味といえます。

では、どんな時でもベストショットを生み出せる実践的撮影法について、はじめに書いた明月院の3パターンを例に解説します。これは明月院に限らず一般論としてどこでも応用できる方法です。


●徒歩で移動しながらの撮影が基本

機材はコンパクトにまとめます。35mm換算で28−80mmと80−200mmくらいのズームがあるといいでしょう。スローシャッター用に三脚も必携ですが使用禁止の場所もあるので要注意。

近景と中景は紅葉が主役です。晴天なら逆光ないし半逆光で透明感のある色調を捉えたい。紅葉や空の青が鮮やかになるPLフィルターを使ってみるのも効果的でしょう。


●露出の微調整で色を際立たせる
1)近景は中央部重点測光で、さらに−0.5補正で色彩の濃度を高め、強調します。(作例2)
クローズアップも含め、公園の花壇や樹木、草花の四季の色彩なども同様です。
作例2 f8 1/200秒 露出補正−0.33

2)中景は背景の露出に引きずられないよう紅葉をスポット測光で測り、1)と同様にさらにマイナス0.5補正で色彩を強調します。建物との組み合わせや、紅葉の中に常緑の木などを入れた組み合わせなども同様です。(作例3)
作例3 f5.6 1/50秒 露出補正−0.67

3)遠景の場合は比較的広い画面構成になるため、空などの明るい部分や、森などの暗い部分に露出が引きずられやすいので中央部重点測光を使い、±0.5で全体を補正します。(作例4)
作例4  f16 1/20秒 露出補正−0.67

以上のように、モミジの色を引き立たせる画面構成と露出を考えてシャッターを切るのですが、紅葉の見ごろ、時間帯、天候など現場における条件によって、またカメラのポジションやアングルによってもその表情はさまざまに変化します。

目の前の被写体を眺めながら、「雨や霧ならどんな絵づくりをしようか」とか、早朝や夕方の光が演出するドラマチックな情景をイメージトレーニングしてみるのも上達への足がかりとなります。ベストショットを生み出すテクニックについて、今回は色の表現と露出をポイントに書きましたが、最後に普通の人が一番多く失敗するケースを取り上げ、作例写真を参考にポイントアドバイスを書いてみます。


●チャーミングポイントを見つけ出す眼

きれいだなと感じた風景(被写体)の中にチャーミングポイントを見つけ出す眼を養いましょう。漫然とシャッターを押さないことです。風景は逃げたりしません、すこし時間をかけて眺めていればきっとポイントが見つかるものです。その際、写したいところばかりに眼が行きますが、どこまで写して、写したくないところはどこかをはっきりさせることも必要でしょう。それさえ決まればあとは構図や露出などで意図を表現することができます。
a)画面の中に空や白く明るい部分を多く取り入れた構図の露出選択
b)反対に暗い部分を多く取り入れた場合の露出選択

a)b)ともに、カメラの測光モードによりますが、そのままのAE値で撮らずにスポット測光を選択して、目的の被写体で測光したAEの値にセット(AEロック)しましょう。(a)の場合は作例写真5のようにカメラのAE値のままだとアンダーになり、また(b)の場合は作例写真7のようにオーバーになります。そのため露出補正を行なうことで意図を明確に表現できるのです。



作例5 f9 1/100秒
カメラのAE値のまま撮影

作例6  f9 1/100秒 露出補正+1
補正後
作例7  f5.6 1/80秒 カメラのAE値のまま撮影
作例8  f5.6 1/80秒 露出補正−1 補正後


●主役はどこにあるのか

近景、中景、全景(遠景)のそれぞれの撮影の際、どこにピントを付けるか迷うことがありますが、これは決まったセオリーはありません。

作者の狙いがどこにあるか、画面のどの部分がポイントなのかを考え、主役はどこにあるのか探します。その狙いを表現するためにはピントは浅いのがいいか、あるいは深くしてパンフォーカスがいいか、これは作者が主体性を持って決定しなければならないことです。失敗を恐れずにチャレンジしていく中で自分なりのノウハウができあがるものです。

作例9  f6.7 1/125秒 露出補正−0.67
コメント
逆光に映えるモミジの透明感ある色調を近景で捉える。スポット測光
作例10  f5 1/125秒 露出補正−0.67
コメント
踏み切りをよぎる電車と頭上を覆う紅葉、夕日に映える紅葉がポイント。スポット測光で黄色の紅葉を測光
作例11  f11 1/125秒 露出補正+0.5
コメント
全山紅葉の景色を見渡す。山腹の岩をポイントに空の青を取り入れた画面構成。この場合はパンフォーカスで画面全体を引き締めました。ピントは岩、中央部重点測光。露出はプラス0.5補正。


全景の画面構成には前景、中景、遠景によるものがポピュラーですが、この場合のピントの付け方、前景をぼかして奥行き感を出すなどの選択は、前記のとおり作者の感性に委ねられます。


実践編では、これまでの講評よりもっときびしく評価してもらいたい。それで、今回撮った写真の中からベストスリーを選んでもらって、それぞれを徹底追及し、分析的に評価をしていただく。

評価項目は5つ。「モチーフ」は、モチーフを捉える眼と視点を評価する。「構図」は、対象を切り取る構成力だ。「露出」と「ピント」は技術力、「表現力」は、総合的な評価となっている。

古屋大先生が選んだのは明月院のモミジ、公園の森の黄葉、鶴岡八幡宮の庇越しの紅葉の3点。若先生が選んでくださったのは明月院のモミジ、井の頭公園の池、燃えるイチョウの3点だった。

f5.6 1/90秒 露出補正−0.5
コメント
明月院のモミジはじつに美しかった。月笑軒には入れなかったので、垣根越しに撮る
講評 採点
いい作品だなぁ! 意図は明解、構図、ピント、露出もOK。言うことなし。
モチーフ
構 図
ピント
表現力
講評 採点
オーソドックスですが、紅葉の美しさが見事に捉えられました。緑の葉が残る下の方から徐々に赤みを増す上方へのグラデーションがとてもきれいです。奥に家屋を少し入れ込んで、古都の紅葉といった趣も感じられます。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f4 1/90秒 露出補正+0.5
コメント
公園の森の黄葉が風に舞って踊るような風情を見せていた様を撮る。超広角で切り取ったのでパースがきついが、おもしろい画角だと思う
講評 採点
作者の意図は明解で自信に溢れた秀作です。画面のなかを流れるように弧を描く黄葉が見事。
モチーフ
構 図
ピント
表現力
f13 1/125秒
コメント
井の頭公園の池とボートと青空に浮かぶ雲。絵葉書のような秋の風景を撮った。ねらいは何かと聞かれると答えようがない
講評 採点
澄んだ青い空と左手の紅葉して色づく森が晩秋の空気感を醸し出しています。雲もいいポイントに写り、空の部分のアクセントになりました。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 (参考)
作品を見せるのです、そんな無責任なことを言ってはいけません。まさに絵葉書になっているので、目の前の美しい風景に頼りすぎないよう、少し自分の主張を加えてみよう。たとえば画面を構成している青い空に白い雲、紅葉の林、ボートと池、このバランスを変えてみるだけで「あっ、この構図でいこう!」と納得することもあるものです。努力を惜しまないように!
f8 1/90秒
コメント
鶴岡八幡宮の庇越しの紅葉。屋根が露出オーバー気味だが、全体のバランスはうまくいった。鎌倉らしい景色だと思う
講評 採点
画面を斜めに横切る大胆な屋根の構成が力強い。建物の壁面の造作も露出のバランスがよく、潰れることなく控えめに描かれている。背景の山と空に季節感があって古都鎌倉の秋のイメージが伝わってくる。
モチーフ
構 図
ピント
表現力
f8 1/125秒 露出補正+0.5
コメント
燃えるようなあざやかなイチョウを明月院の境内から撮る。露出がむずかしくて、何度も撮り直した
講評 採点
難しい光線条件でしたが、なんとか露出のバランスをとっています。山の中の一本の黄葉樹をクローズアップして構成したのが良かったですね。シンプルな中にも力強さがあります。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 (参考)
光の向きがよく立体感のある描写ができたが、主役のイチョウの露出はややオーバーだ。こんな時はスポット測光でマイナス0.5補正がよい。全体的にバランスのよい露出では意図が明解にならない。イチョウ前景の枯れ木なども取り除きたい要素。
●古屋光雄先生(大先生)のプロフィール:
写真家。1934年生まれ、山梨県出身。大学卒業後、会社勤務を経てフリーランス フォトグラファーとなる。1976年、東京六本木に株式会社光スタジオを設立、コ マーシャルフォト、エディトリアルフォトを中心に新聞社、雑誌社の出版物、企業 のPR誌、自治体の刊行物などで幅広く活動。
●古屋洋一郎先生<若先生)のプロフィール:
1967年横浜生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。日本広告写真家協会会員。建築写真、広告写真が専門分野。褐スタジオ代表。
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM + EF35-135mmF3.5-5.6 IS USM + PLフィルター
大先生:CANON EOS 5D + EF24-70mm F2.8L USM + EF70-200mm F2.8L USM
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