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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 第3回―水の風景――多摩川を撮る―
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●シャッター速度を使い分ける

川をテーマに写真を撮る時のテクニックとして、まずシャッターの使い方があります。

写真AとBを見てみましょう。川の流れを2通りの表現で写しています。

写真A:オーソドックスなシャッタースピードで水の動きを止めて、瞬間を捉えています。水の流量や速さにもよりますが、だいたい125分の1秒以上であれば、ある程度水の流れを止めることができます。

写真B:2分の1秒と逆に遅めのシャッタースピードで流れをブレとして表現しています。この撮り方をする時は、シャッター速度を2分の1秒や1秒のような遅めに設定できる露出条件に光量を落とす必要があります。なぜなら、たとえば125分の1秒、f8と同じ露出量で2分の1秒のシャッタースピードに対応する絞り値が足りないからです。

そのような時に、NDフィルターという光量を大幅に落とすことができるフィルターを使うと便利です。ISO感度を低くしてもいいでしょう。これによって、より低速なシャッタースピードの選択の幅が広がります。ただし、シャッタースピードが遅くなれば、当然手持ちでの撮影は困難になってきます。カメラブレを防ぐためにしっかりした三脚を使いましょう。

AとBとどちらもアングルは同じですが、シャッタースピードの選択の仕方で水の表情がまったく異なることがわかりましたでしょうか? とくに滝のように水の動きのより激しい条件では、いっそう面白い変化を楽しめることでしょう。

写真A  f8 1/125秒
写真B  f16 1/2秒

●撮りたいイメージのアングルをさがす

写真CとDを見てみます。川のどんなところをモチーフとするかの違いを見てみましょう。

写真C:低い位置から川面の表情をクローズアップして、そのパターンの造形的な美しさを捉えています。

写真D:ずっと引いて俯瞰的な視点から、木々と川の対比で川のスケール感そのものを表現しています。

同じ川でもその川のどういうところを自分が見せたいのかによって、それに見合ったアングルを探すことが大切です。また、撮影する時間帯も重要です。早朝や夕方は、日中に比べて陽の光の角度が低いため、川面の表情を立体的にみせ、朝日や夕陽は豊かな色彩も提供してくれることがあります。

しかしながら、朝夕は日中に比べると光量が厳しいうえに、山深い上流付近では、いっそう露出条件が厳しくなるので、できるだけ三脚を携行していくように心がけましょう。

写真C f11 1/1000秒
写真D f11 1/250秒
(写真作例:古屋光雄)

実践編では、これまでの講評よりもっときびしく評価してもらいたい。それで、今回撮った写真の中からベストスリーを選んでもらって、それぞれを徹底追及し、分析的に評価をしていただく。

評価項目は5つ。「モチーフ」は、モチーフを捉える眼と視点を評価する。「構図」は、対象を切り取る構成力だ。「露出」と「ピント」は技術力、「表現力」は、総合的な評価となっている。

古屋若先生が選んだのは御岳渓谷の風景、渓流沿いの道、多摩川の夕焼けの3点。大先生が選んでくださったのは御岳渓谷の風景、山茶花の花ビラ、多摩川のサギの3点だった。

f13 1/90秒
コメント
これぞ御岳渓谷という写真が撮れたのでうれしいが、これは観光写真ではないのか? そんな疑念が浮かんだ。先生はいつも「観光写真は撮ってはいけません」と言っている。それを聞いてみたい
講評 採点
これを観光写真とするかは微妙ですが、写真としては素晴らしい仕上がりになっていると思います。水のある風景というテーマにぴったりの作品です。山深い渓谷を流れる川面のキラメキが、抑え目の露出によって強調されています。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 採点
タテ位置の構図を選び、奥行き感がよく出ています。逆光でとらえた川の流れが美しく、紅葉をスポットで写し、「水」を写すねらいが明快。苦心して決めたと思える露出も成功しています。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f2.8 1/125秒
コメント
御岳渓谷の渓流をどう撮るか迷い、とりあえず黄葉と渓流と人物を組み合わせて撮る。絞りが開放になっているのに後で気づいたが、渓流がややボケて、のどかな秋景色になったようだ。パン・フォーカスならどんな効果が出せたのか、予測はできないのだが
講評 採点
美しい黄葉と渓谷だけでもよい写真が撮れそうですが、赤い上着の人物を配したことで、これが効果的な視覚ポイントになり、完成度の高い作品に仕上がっています。絞りは、やはりもう少し絞って画面全体の解像感を高めるべきでした。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f8 1/125秒 ISO1600 露出補正-0.5
コメント
夕焼けの空が飛ばないように注意して露出を決めた。
夕焼けを撮った3枚とも縦位置になったが、横位置より奥行き感が出て、締まった絵になるようだ
講評 採点
空の部分にスジ状の雲がよい形で入っています。むずかしい露出条件ですが、空のディテールを残し、なおかつ下部の川の描写を犠牲にしないよいバランスで撮ることができました。露出補正をマイナスにしたのがよい判断でした。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f2.8 1/60秒 露出補正+0.5
コメント
川岸の水たまりに山茶花の花びらと枯葉が散乱していた。空の映り込みと花びら、緑色の葉の組み合わせががきれいだったが、写してみるとそれほどでもない
講評 採点
山茶花のピンクの花びらとグリーンのコントラストがいい。水面に写った空の画面構成によって深まる秋の季節感がよく表現され、命のはかなさをも感じさせる絵づくりになっています。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 (参考)
水溜りへの映りこみが、もう少しはっきり分かる状態だとよかったですね。あるいは山茶花の花ビラへもっと寄った表現にしてしまうのも一つの方法です。
f5.6 1/180秒 露出補正+1
コメント
シャッター速度を速くして波を荒々しく写し、サギと対比させた。ピントはサギ。泥岩と波とサギをどうバランスさせるか、ズームの画角に苦心した
講評 採点
2羽のサギの静かなたたずまいと川の流れで、静と動の対比をよくとらえています。アングルを考え、ねばってシャッターチャンスを待った写真ということがよくわかります。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 (参考)
サギがよいポイントに佇んでいましたね。陸地と川のバランスもいいし、夕方の低い光線状況と相まって立体感も出ています。しかし、露出が少し明るめになっています。補正をプラスにしていますが、ここは補正なしか、逆に少しだけマイナス補正にしたほうがよかったですね。
●古屋洋一郎先生のプロフィール:
1967年横浜生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。日本広告写真家協会会員。建築写真、広告写真が専門分野。褐スタジオ代表。
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM + EF35-135mmF3.5-5.6 IS USM + PLフィルター
若先生:CANON EOS 5D + EF24-70mm F2.8L USM
大先生:CANON EOS 5D + EF24-70mm F2.8L USM + EF70-200mm F2.8L USM
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