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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 第3回―水の風景――多摩川を撮る―
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  ピントも露出も写真の情報量を増すために必要な技術だと考えれば、何を撮り、何を伝えたいかもわかってくる。
 

今回は水の風景を撮る塾だ。水は多様な姿を見せるので、対象を川に限定する。川といっても源流のせせらぎから山あいの急流、水量が増えて景観に見所の多い中流、河口付近の広々とした下流までさまざまだ。

写真を撮るときは、流水そのものの色、岩や石、岸辺の動物や木や草花、土手の上の人や建物、空と雲、これらの組み合わせ、つまり足し算がポイントになりそうだ。逆に、絵の構成としては、どれを除外するかという引き算も考えなくてはいけないだろう。

初めのころはあれこれ盛りだくさんに写っている写真がいいと思っていたが、最近は対象を絞り込んでできるだけ少なくするようになった。伝えたいものをきちんと整理し、わかりやすく表現することが必要だと、やっとわかってきたのかもしれない。

 

ピントも露出も写真情報を正確に伝えるために必要な要素で、そのために技術を高めなくてはいけないのだが、まずはピントだ。

ピント合わせの技術は二つある。

ひとつは、ねらいのポイントを絞りこみ、ねらったものに正確にピントを合わせること。スポーツ写真家は選手の目にピントを合わせるのが生命線だそうだが、彼らは右目にピントを合わせるか、左目にするか、点を意識してねらって撮影するという。そこまではできないが、漠然とあのへんにピントが合えばいいというところで妥協したくはないのが今の気持ち。

もうひとつは、どこからどこまでピントを合わせるか、奥行きを考えて撮りたいという目標だ。技術的には深度の把握ということになる。今のボクの写真術のレベルで考えなくてはいけないのが奥行きの表現なのだから。

さて、今回の撮影の対象は「水」だ。「水」のどんな状態をどう感じて、どのように伝えたいか。それを撮ってみたい。写真を通じたコミュニケーションを成立させたい――これが写真の楽しみではないだろうか。こんな当たり前のことを最近は考えている。

  「縦位置と横位置、これはどう選択するのでしょうか。なにか法則はありませんか?」
「撮る対象の範囲に左右されるのが一般的で、どこからどこまで写したいか、普通は何も考えなくても選択できるものです」
「そうですね。これはタテで撮りますか、ヨコですかと聞く人なんかいませんよね」
「そんな質問、されたことがありませんよ」
「でも、たとえば、こんな場合ですが……」

f4.5 1/60秒

f5.6 1/60秒
コメント
紅葉をくっきりと写し、背景をボカして川の流れを入れるという目論見。横位置と縦位置を撮ったが、結果を見るとパン・フォーカスでよかったかもしれない。横位置は景観をしっかり見せているが、縦位置の構成のほうが無駄がない感じ
講評
枝ぶりの構成から判断して、私は縦画の写真を選びました。背景の岩場の右下あたりが、少し明るすぎる嫌いはあるものの、黄葉部分の描写でみれば露出は適正です。


「タテは奥行き、ヨコは広がりの表現に向いているので、どんな絵作りで対象を表現し、何を伝えたいかによってタテ・ヨコを選択するのです」
「なるほど……」
「わかっていないようですね。対象を見て、写真で何を伝えたいのか、自身の意図があいまいなのでしょうね」
「撮った写真を見て、この構図はうまく切り取れていないと漠然と感じることがよくあるのですが、感じていることがうまく表現できていないということですね」
「撮りたいものを欲張らず、絞り込むことです」
「これはきれいな風景だ、ではいけないのでしょうか?」
「だめです。何を撮りたいかをはっきりさせ、余分なものは画面に入れないことも大切です」
「そうか、それが引き算なんですね」
「そのとおり」
「もうひとつお聞きしていいですか」
「はい、なんでしょうか」
「ここからここまでピントを合わせたい、つまり深度を出したいとき、ピントはどこに合わせるといいのでしょうか?」
「一般的にいえば、ピントを合わせたい前景と背景の距離の前から3分の1のところです」
「中間ではないのですね?」
「レンズの特性で、前がボケやすいのです」
「わかりました。今日はそれを意識して撮ってみます」

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