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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 第2回―マニュアルで撮ると露出がわかってくる―
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●現実的な選択は「AE+露出補正」
 最近のカメラの多くは、シャッターを押すだけのフルオート撮影を前提に作られているようです。実際プロカメラマンの間でも、AE(オート・エクスポージャー=自動露出)やAF(オート・フォーカス=自動焦点)を積極的に使う機会が増えていています。それだけカメラの性能がよくなってきているのです。しかし、オート機能を使えば常に撮り手の意図した仕上がりになるとは限りません。
  露出を例にとれば、AE+露出補正という手段が有効であることは、中級編でも述べました。また、接写(クローズ・アップ)においては、AFよりもMF(マニュアル・フォーカス)のほうが正確にピントを合わせやすいのです。こうした場合に、より能動的にカメラを使うという意味で、マニュアル操作による撮影も試しておきましょう。
  マニュアルで撮影するというと、つい上級者の証しのように思われがちですが、決してそんなことはありません。どういうときにマニュアル撮影が有効か覚えておけばよいのです。
  風景や花などじっくり構えて撮影できるものの場合は、操作の時間が必要なマニュアルでもよいのですが、スナップやスポーツなど動きのある条件下ですばやく撮影するときは、わざわざマニュアル操作するのはナンセンスです。撮るモチーフや状況に応じて、どのカメラ設定がよいか使い分けられるようになりましょう。

●微妙な露出バランスをコントロール
 マニュアル撮影といっても、フォーカスに関してはAFがかなり精度の高いものになっていて、接写や、いわゆる「置きピン」などのシーン以外ではあえてMFを選ぶ必要性は薄くなっています。そこで、露出決定にマニュアル操作を使うということに絞って考えてみます。
  クラッシックなカメラは別にして、最近のカメラには測光機能がちゃんとついています。AEはこの測光機能をベースにしたプログラムです。ですから、これを純粋に露出計としても活用することができます。
  マニュアルのメリットは、微妙な露出バランスのコントロールにあります。絞りによってボケの強弱を考えた場合のシャッター値、動きを止めたり流したりするシャッタースピードを考えた場合の絞り値、それぞれの状況でのカメラが判断した適正値を提示してくれることです。それを基準値とした場合、より明るくしたり暗くしたりと撮り手の意図する露出加減を、ファインダー内の表示から読み取ることができます。
  少しだけ変えたいのか大きく変えたいのかなども、自分自身でシャッターや絞りを変えることで、それに連動する形で、ファインダー内表示も変化します。自分が設定した組み合わせが、基準値からどのくらいの違いがあるのかを教えてくれるというわけです。
  いずれにしても、マニュアルで撮影する場合は、そのカメラの測光特性を理解しておくだけではなく、AEを使うとき以上に、撮り手が明確なイメージを持って活用することが大切です。

  マニュアルはむずかしいという先入観があったので、これまでのように気楽には撮れないぞと、やや腰が引けた状態で撮影に入った。
  最初に撮った湯島聖堂では室内が暗く、自己流の「開放絞り優先」にセットしてしまう。絞り開放(f2.8)で、露出レベル表示にしたがってシャッター速度を変え、撮る。しかし、絞り開放近辺では被写界深度が浅く、ピンボケになりやすいことがわかった。そこで、徐々に絞りこみ、絞りを5.6〜8で撮るようにした。
  途中でマニュアルの基本形セットを教わったので、スナップを撮る場合のシャッター速度1/125に、だんだん暗くなってきてからは、1/90くらいにした。
  露出レベル表示は、オートで撮っているときはほとんど見たことがなかったのだが、使い慣れてくると余計なことを考えずにすむのが便利。以前より無駄な写真(失敗作)を撮らなくなったし、被写体の中でどの部分に露出を合わせればいいか、そのとき適正値になっていない不安が解消された。
当たり前じゃないかという人が多いかもしれないが、初心者とはこういうものだ。
  もうひとつの目標だった、目測で露出値を判断できるようになることも、2段くらいの範囲でできるようになってきた。
  オートで適当に撮ればそれなりにいい写真が撮れる先端のカメラ機能には恐れ入ったが、自分であれこれ苦労しながら基本形を試してみると、オートのよさが深く理解できそうだ。これまでの安易な撮り方から、ちょっとだけだが深みが増したように思える。そんな1日であった。

 実践編では、これまでの講評よりもっときびしく評価してもらいたい。それで、今回撮った写真の中からベストスリーを選んでもらって、それぞれを徹底追及し、分析的に評価をしていただく。
 評価項目は5つ。 「モチーフ」は、モチーフを捉える眼と視点を評価する。「構図」は、対象を切り取る構成力だ。「露出」と「ピント」は技術力、「表現力」は、総合的な評価となっている。
 古屋若先生が選んだのは、聖堂と雲、路地裏の風景、お鷹の道の3点。大先生が選んでくださったのは聖堂と雲、路地裏の風景、画廊の3点だった。
f4 1/6000秒
コメント
聖堂にかかるいわし雲。雲を撮るのはむずかしい。青空といわし雲、聖堂の屋根の質感、それぞれを苦心して何枚も撮った
講評 採点
秋らしい雲でした。聖堂と空、それに雲、シンプルな要素でそれぞれのバランスをとり、うまく構成しました。すっきりまとまったよい作品です。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 採点
空の雲を広く取り込んで季節感のある作品。甍と雲のバランスのとれた構図で、作者のイメージが素直に伝わります。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f2.8 1/250秒
コメント
根津神社へ向かう途中で見かけた路地裏の風景。電柱にかかった衣服とおばあさんの対比がおもしろかった。スナップを撮るときはもっと絞った状態で持ち歩くべきだ
講評 採点
これはとてもよいスナップ写真。絶妙なタイミングでシャッターを押していますね。ピントが少しあまいのが残念ですが、構図も露出もよいと思います。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 採点
スナップショットとしてはよい出来だと思います。もう少しズームアップして対象に迫りたかった。ピントがややあまいのが残念。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f5.6 1/30秒
コメント
国分寺のお鷹の道。せせらぎの源流はこんな静かな泉から発していたのだった。木立の映り込みにピントを合わせ、岩肌がぎりぎり見えるところまで明るくした
講評 採点
小川の枝分かれとそのまわりに生い茂る緑。木漏れ日と水面に映る緑が美しく捉えられています。構図も見事で、露出も適正だと考えてよいでしょう。小川のせせらぎが聞こえてくるような素敵な作品です。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
f2.8 1/90秒
コメント
根津で見かけた画廊。もう少しアンダーにして、絵画展のポスターを読めるくらいに撮りたかったが、構図と雰囲気はいい感じに撮れた
講評 採点
シンプルで渋い色調に緑が生きている。あえてポスターの字を読ます必要はないと思います。ただもうひと味ほしいところ。たとえば傘などが立てかけてあって 人の気配を感じさせるとか、猫がいるとか。
モチーフ
構 図
露 出
ピント
表現力
講評 (参考)
面白い被写体を見つけましたね。木とタイルの壁、床、それに額と、要素が少なくシンプルなだけ構成力が問われる場面ですが、縦画ですっきりとまとまっています。
●古屋洋一郎先生のプロフィール:
1967年横浜生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。日本広告写真家協会会員。建築写真、広告写真が専門分野。褐スタジオ代表。
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM
若先生:CANON EOS 5D + EF24-70mm F2.8L USM
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