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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編 写真をさらに楽しく続ける! 第2回―マニュアルで撮ると露出がわかってくる―
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  デジタルカメラは簡単に撮れるので、写真術を磨こうという気持ちを忘れがちだ。意欲はあるのだが、何をどうしたらいいか自分で目標設定ができない。これを解決する基本型は?
 

 露出もピントもオートになって、写真は一見、簡単にきれいに撮れるようになった。しかし、撮った写真を細かく見ていくと、露出が意図どおりになっていないことが何回もあった。
  ピントを合わせたい位置は中央とは限らない。絵作りを考えていくと、むしろ、中央から上下左右にずらすことが多くなる。だからフォーカス・ロックを多用するのだが、基本設定ではピントの合わせる位置と露出が異なってしまう。
  その結果、露出は適正と表示されたとしても、画面のどこを適正露出にしたいかという作画の意図とかけ離れてくる。評価測光を使うとほとんどの場合は適正値になるはずが、そううまくいかない。それで、部分測光でAEロックを使えばいいとアドバイスされ、設定を変えて使ってみたのだが、慣れていないせいか使い勝手がよくなかった。

 マニュアルを使ってみるもうひとつの理由は、目測でおよその露出値を把握できるようになりたいと考えたからだ。空を見て、今日の露出はこのくらいだな、と判断できれば、写真を撮るのがかなり楽になりそうな気がする。
  オート機能が高度になって、本来の体感露出機能が退化してしまったと思えるので、露出レベル表示に頼らないでも、おおよその見当がつくように身体能力を回復させることもねらいたい。
  昔は、といっても30年くらい前のことだろうか。AEカメラが世に出るまでは、露出を露出計で測るほかなかったが、露出計など普通の人は持っていなかった。だから、晴天はこれこれ、曇天はこれこれが標準露出と、ガイドラインがフィルムの箱に書いてあり、それを参考に撮ったものだ。

 

「今回のテーマは『マニュアルで撮る』ですが、マニュアルは操作することが多くて、シャッターチャンスを逃しそうです」
「プロカメラマンだって、そうですよ」
「初心者にとってデジタルカメラのマニュアル操作は、操作をいかに簡単にすばやく処理できるか、です。その方法を教えてください」
「標準的なセットをしていますか?」
「???」
「撮る対象によって、たとえばスナップや人物など“動くもの”を撮るときはシャッター優先、風景や建物など“動かないもの”を撮るときは絞り優先が標準的なセットなのです」
「マニュアルのときもそうですか?」
「そうです。知らなかったのですか?」
「初心者ですもの、知りませんよ。早く教えてもらえばよかった!」
「マニュアルでは、シャッター優先のときはあらかじめシャッター速度を明るさに応じて1/125〜1/250にセットしておき、露出レベル表示を見ながら絞りで露出を決めていきます」
「絞り優先のときは?」
「露出をあらかじめ5.6〜8.0にセットしておき、露出レベル表示を見ながらシャッター速度で露出を決めていきます」
「マニュアルで撮るといっても実際は露出操作だけで、ピントはAFにまかせておくわけですね」
「そうです。ほとんどはAFのほうが正確です。接写の場合はピントの精度が問われますからマニュアルを使いますが」

「露出をマニュアルで撮るもうひとつの理由は、実際の露出感覚を身につけたいためです」
「それはいい心がけですね」
「標準的なセットは、シャッター速度は1/125〜1/250、露出は5.6〜8.0にしておくことですね」
「そうです。昔、AEが一般的でなかったころ、フィルムの箱に露出の標準値が書いてありました。おぼえていますか?」
「そういわれれば、あったように思います」
「晴れたときは1/125秒・f8、曇りのときや日陰は1/125秒・f5.6が基本でした」
「なるほど、そこから微調整するのがマニュアルというわけだ……」
「マニュアルといっても、基本は絞りから決めていく方法とシャッターから決めていく方法があり、私はシャッター速度から決めて絞りを選びます。プロでもシャッター速度を遅くすると、手ブレの原因になりますから」
「1/125秒より遅くしなくてはいけないときは?」
「レンズは開放値に近くなるほど深度が浅くなり、ピンボケの原因になります。ボケ味をコントロールするときは別ですが、あまり絞りを開けないほうがいい。開けなくてはいけないときは、デジタルカメラのメリットであるISO感度の切り替えで、シャッター速度が遅くならないようにすればいいのです」
「思ったより簡単にマニュアル操作ができそうで、気が楽になりました」
「露出もピントもカメラまかせで、写りがアンダーになったらパソコンで修正すればいい、というのもデジタルカメラの特徴ですが、写真とまじめに取り組もうと思うのでしたら、露出やピントを自分で設定してみて、カメラの仕組みや特性を利用するともっとおもしろくなりますよ」
「そうですね。修正しなくてもいい写真が撮れると、本当に気持ちがいいことを経験してしまいましたから――」

 

 晴れ渡って雲ひとつない日は、写真を撮らないといけないと思うようになった。一度は撮ってみたいと思っていた国分寺に行く。


f4 1/15秒
コメント
今は参詣する人もまばらだが、往時をしのばせる古刹、武蔵国分寺。鐘楼の暗部の吊り鐘が鈍く光っていた。さびれた水場や境内に秋の気配が漂う。その雰囲気を写せただろうか
講評
鐘楼とお寺の境内、作画の上で両者のバランスがやや散漫。手前の鐘楼をもう少し取り入れてもよいと思います。鐘の左部分の光線の描写は切らずに残したいところです。露出のバランスはよし。

f8 1/60秒
コメント
武蔵野公園の樹林に高層団地の間から夕日が射し、金色に光るシュールな情景。日光が真後ろからくるように位置を決めた。カラスがいたが、もっと動きのある何かがあればよりおもしろい景色になっていたかもしれない
講評
光の状態に反応してカメラを向けているところはよい点ですが、もう一つ何か要素が欲しいところ。カラスは全体の構成からすると小さすぎます。夕日の射し込むところに人物が立っていたり、子供や犬が走っていたりすれば、もっとよい作品になります。
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