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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾  
藤森元之
写真塾中級編 写真はむずかしいが、楽しいぞ! 第6回―いい写真の選び方―
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   今回で6回の中級講座も終わる。初級、中級では、デジタルをあまり意識せず、カメラ使いの基本を習得することが主眼だった。
  何を、どう切り取って、どんな露出で写すか、それを身に着けようとした12回だった。
  何を撮るか、というモチーフは、前回の講座あたりから、自分ではこんな写真が撮りたいと、おぼろげながらも方向性がつかめた気がする。
  どう切り取るかについては、あまり深く考えてこなかった。それは分かりきったことじゃないかと高をくくっていたからだ。だが、前回あたりから、ちょっと待てよ、今まで勘違いしていたんじゃないか、と思い始めた。
  つい最近まで、画角とは上下左右の問題だと思っていたところ、被写界深度による奥行きも3次元の画角として考えなくてはいけないのだと思い当たってしまったのだ。誰に言われたわけでもないが、これは大発見だった。
  写真の世界では常識かもしれないが、ボクにとっては大問題だった。というのは、これまではとにかく「開放で撮ってみる路線」をまっしぐらに進んでいたところへ、背景をボカすばかりが能じゃありませんよ、どこまでピントを合わせて、どこからボカすか、それを考えてみたらいかが? と一撃されたからだ。
  今までの撮影は手ブレがこわくて、シャッタースピードを遅くしないようにできるだけ開放に近いところで撮っていたから、当然深度が浅くなる。それが適当なボケ味を演出して、図らずもなかなかいい味を出してくれた。いわば「絞り開放オート」といってもいい撮り方だったのだ。露出も、段階露光で撮っておけば、どれかはちょうどいい露出になっているだろうという「数打ちゃ当たる式」の適当な撮影だった。
  そういう状態をようやく抜け出して、出来上がりの写真を想定しながら絞りとシャッタースピードの関係を選ばなくてはいけないと気づいたのだ。技術はろくに進歩していないが、少なくとも今後やるべきことがはっきりしてきたのではないかと思う。

f11 1/60秒
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江ノ島らしい写真を撮ったつもりの1枚。
被写界深度を考えたが、どうだろうか

f11 1/30秒
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山頂から海岸に至る階段で、手前のスーツ姿の人と奥の2人連れの双方にピントを合わせたつもりだが、暗くて絞りきれなかった
 

 カメラを持って歩いて写してしまうのはこんな情景だからだと思っている。

  1.かつて自分がそこにいたような懐かしい風景
  2.単純にきれいだと感じた花や山や海や空
  3.造形的な美しさをみつけた時
  4.感情移入できる光景
  5.光と影の輻輳する瞬間
  6.いつかどこかで見たような写真で自分でも撮ってみたいと思っていた景色

 こんなねらいで撮ることが多い。もちろん、ちゃんと撮れているかどうかは別の問題だが。だから、自分で撮った写真を選ぶときも当然その範疇でいい写真を選ぶのだが、今回の写真塾では驚かされる出来事がいっぱいあったのだ。

「先生、いい写真をどういう基準で選んだらいいのでしょうか?」
「どんな写真がいい写真だと考えているのか、それを聞かせてください」
「そうですねえ。まず、気に入った写真ですね」
「気に入った写真とは?」
「上に書いた1〜6の観点で撮れた写真ですね」
「なるほど。では、それがきちんと表現されているかどうかが評価のポイントですね」
「先生、当然のことですが、写真の基本がおさえられていなければダメです」
「そうですか。でも、画角とか露出とかにあまり考えすぎず、感じたままに撮ることが大切です。何か感じたら、撮影技術にこだわらず、好きなように撮ってみてください」
「頭でっかちになっていますからねえ。反省します……」
「今回は中級の最終回ですから、撮り終えたら、今日の成果の中からいい写真だと思えるものを15枚選んでみましょう。そのあとで私が15枚選びます。それを比べてみるのです。どのくらい同じものがあるか、これは見ものですよ」
「えっ? ほとんど同じ写真になるはずですが?」
「ふふふ! そうなるといいですねえ」

 こうして今回の撮影が始まった。
  今回の撮影地は江ノ島。海も林も公園も、商店街も神社も民家もあって、撮影対象が少ないと嘆くことはない。同行していただいたのは今回も古屋洋一郎先生。

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