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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾  
藤森元之
写真塾中級編 写真はむずかしいが、楽しいぞ! 第3回 ―どこにピントを合わせるかで写真が変わる―
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     ピントの精度を高めると写真の切れ味が格段に増し、写真が伝えるメッセージ=情報量が多くなることがわかった。写真技術向上の目標がはっきりすると、苦手だったピント合わせにも努力するようになった。しかし、技術は簡単には向上しないところがもどかしい。やっぱり技術はシャッターを切った回数に比例して向上すると考えて、焦ってワザの習得をめざす必要はないのかもしれない。
   いい写真を構成する要素としては、「適正な露出」と「正確なピント」は必要条件で、画面構成としては「構図を考えて撮る」「モチーフを2つ考えること」が十分条件と理解している。この2つは現状の実力と注意事項という程度の戒めだが、そう思って注意しないと、つい漫然とシャッターを押してしまうからだ。
   今回と次回の2回は、ピントと露出という必要条件(作業)を考慮しながら写真を撮ることにする。狙いをもった写真づくりをいつも意識していれば、漫然とシャッターを押してしまう悪い習慣を排除できるのではないかと想定し、写真術向上の目標を立てた。
   まず今回は、オートフォーカス(AF)を使いこなす術をさぐる。
   先生は前回に引き続き古屋洋一郎若先生。撮影場所は新木場の夢の島公園〜夢の島熱帯植物館、続いて上野の旧岩崎邸。
クローズアップでピントの注意点を知る
 

「先生、こんな理解でいいのでしょうか?」
「まあ、あなたの力量を考えると、現段階としてはそんなところでいいでしょう。技術の習得目標は、単純なほど身につきやすいものです」
「なるほど! では、今日のミッションを指示してください」
「今日のテーマは、画面の中にできるだけ2つのモチーフを取り入れるようにしてください。モノを2つでもいいし、ピントと背景のボケでもいい。その狙いは、カメラのAFを信用しすぎてはいけないという体験をしてもらい、その作業を通じてカメラのAF機能を実感として理解することです」
「?? カメラのAFは正しくないと……」
「正しくないわけではありません。正しい測距点を選択させればいいのです」
「???」
「予備講座を簡単にしましょうか。
クローズアップ撮影は、ピント合わせが非常に難しいものの1つです。とくに、オートフォーカスの場合、あまり接写が得意ではありません。ピント合わせの許容範囲が極度に狭いために、測距点をカメラが判断できず、迷ってしまうことがあります。普通の被写体を撮るとき以上に、どこに自分がピントを合わせたいかが要求されるのです。しかも被写体に近づけば近づくほど、その傾向は強くなります。
今日はこれに注意しましょう!」

 新木場の駅から夢の島へ向かう。夢の島はかつてゴミの島といわれ、今だってゴミと瓦礫の山かと思ったらとんでもない。夢の島公園は林や遊歩道が整備された人口の島で、お花畑があり、ユーカリの木々も大きく育ち、セミやトンボ、スズメが群れていた。


f3.2  1/1600秒
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カメラがAFの測距点に迷っている
 

f3.2  1/2500秒 左写真を拡大
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花の撮影は雌しべのピントが生命。ピント合わせに集中する。撮ってみると虫がボケていてものたりない写真。視野が狭くなっていることがわかる
f3.2  1/3200秒 左写真を拡大
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雌しべと虫にピントがくるように撮影位置を変えてみる。モチーフが2つになった
講評
花をクローズアップで写そうとするとき、基本的には雌しべにピントを合わせます。では、花と昆虫というこのような状況ではどちらに合わせるべきでしょうか?
この距離よりも少し引き気味であれば、ピント位置は雌しべですが、逆にさらに寄っていった場合は、昆虫に合わせたほうがいいかもしれません。
最終的には、アングルを変えることでうまく両方の被写体にピントをもってくることに成功しました。ピントは、「面ではなく点」と書きましたが、カメラから測距した点と等距離にある点には、すべてにピントがくることになります。
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奥行き感を出そうと、花の列のできるだけ手前にピントをもってきて奥をぼかしてみた
講評
開放値の明るいレンズの良さが生かされて、背景のボケが大変きれいです。構図も見せたいポイントを手前下にもってきたことで、上方向への奥行感もよく表現できています。
f2.8  1/2000秒
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セミにピントがきていない。見てすぐシャッターを押す悪いクセが出た
f5.6  1/100秒 左写真を拡大
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ピントをセミの眼に合わせ、ボケ具合を見ながら撮る
f5.6  1/100秒 左写真を拡大
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ピントに配慮しアングルを変えて撮ったバリエーション

講評
警戒心が強く近づくと飛び立ってしまうので、なかなか近づいて大きく写せないセミを、しっかり画面に納めることができていますね。基本的に生き物の場合は、人と同じように目にピントを合わせておくことが大切です。写真では、明るいグリーンの葉のボケも画面構成に一役かっていて、とても夏らしい写真になりました。
f5.6  1/80秒
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睡蓮の花とつぼみの関係、背後のボケを意識して撮る

講評
手前の花と奥の蕾の関係性はよく出ていますが、蕾はもう少し花から離し、ボケももう少し強くしたほうがよかったですね。
f5.6  1/1000秒
f5.6  1/1000秒 f5.6  1/2500秒
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凛とした美しさが睡蓮の特徴。ピントを重視 前後の関係を意識し前の花にピントを合わせたが、後ろに合わせたほうがよかったか
講評 講評
スッと伸びた睡蓮の感じがよく出せて、構図も悪くないのですが、背景が少しゴチャゴチャとしたボケになりました。ボケていても、明るい色、暗い色、彩度の強弱によっては、目立ちやすくなってしまう場合があります。 縦画の構図でうまくまとめました。この状況ではピントは手前で正しいと思われます。もっと開放値の明るいレンズを使って、奥の花のボケを強くすることができれば、手前の花がより際立ってきます。2つのモチーフを取り入れるといっても、両方を説明的に捉える必要はありません。2つのモチーフのうち、どちらに自分が主眼を置くかを決めればよいのです。
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