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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾  
藤森元之
写真塾中級編 写真はむずかしいが、楽しいぞ! 第3回 ―どこにピントを合わせるかで写真が変わる―
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若先生のピント講義1
ピントが合うのは1点だけ!
   ピントが合うとか、合った写真とは、どういうものなのか考えてみましょう。
  背景がボケている写真であれば、撮影者が何を見せたいのか比較的分かりやすいといえますが、風景写真やスナップ写真のような広角レンズを使った作品の場合、人間の目はピントが全体に合っていると認識します。
  ピントというのは、理論的にはレンズ面から等距離のすべての面で合っているはずですが、実際にピントを合わせるのは面ではなく「撮りたい1点」です。厳密にいえば、ピントが合っているところはたったの1点だけなのです。
  人間の目は三次元でものを見ているので、カメラのフィルム「面」と完全に平行な「面」でない限りは、なかなか空間の中の「面」を認識することはむずかしいものです。
  そのピントが合った点以外の多くは、レンズの焦点距離にもよりますが、すべてボケの強弱で絵が構成されていることになります。
  一方、パンフォーカスの写真というのは、レンズの絞りが開放のときはピントが合っていない部分も、絞りを絞るほど被写界深度(ピント面の手前から奥へかけての合焦幅)が深くなる結果、深度内にあるものはピントが合っているように見える状態です。しかし、一見パンフォーカス(画面全体にピントが合ったと見える状態)の写真も、ピントを合わせた点と被写界深度内が同じ解像度を保っているわけではありません。ピントを合わせたところがもっとも解像度が高いのです。
  ですから、ピントを合わせは、撮影者がどこを見て何を見せたいと思うかがとても大切です。
   野毛動物園の撮影を終え、次の撮影ポイントの赤レンガから大桟橋に向かう。暑さでぐったりしたので休憩。だが撮る熱意だけはある。そこで1枚。

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撮り方がわからない。コップにフォーカスするつもりが後ピン。どっちつかずの写真になった。2つの対象をどう撮り分けるか、決めていない結果だ

F4.5 1/40秒
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こう撮るんですよと、若先生の作例。なるほど、前後の関係がしっかりとわかる

f6.3 1/80秒
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大桟橋に向かう途中、レストランの待合ベンチにワインレッドの小瓶が置いてあった。淺井慎平風(?)に撮ってみる。ピントはもちろん小瓶
講評
着眼点は良かったと思いますが、左手に私が写り込んでしまっていますし、このままでは構成がピリッとしません。もっとアングルを低めにして、寄ってみると良かったかもしれません。また、露出はもう少し明るくすると、ワインレッドの赤味がクリアになってきます。

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雑然とした構成が気に入らなくて、先生のアドバイスでトリミングしてみたのがこれ。ピントが合っていると画像の編集も楽しい
講評
かなりアップ目のトリミングで、画面は確かにスッキリしました。このような場合、光の射す方向に空間を多く取る方が画面に落ち着きが出ます。小ビンを少し右よりの構成にしたことで、落ち着きが出てきました。
f4.5 1/60秒 f4.5 1/60秒 f11 1/30秒
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手前にピントを合わせたときと奥にピントを合わせたとき、画面全体にピントを合わせたとき(パン・フォーカス)の実験撮影。基本どおり、手前にフォーカスしたほうが安定感があることがわかるが、写真としてはだめ
講評
なかなか構図としてまとめるのが難しい条件でした。しかし実験結果として、ピントを合わせる位置と絞りの選択が非常に大切な要素だということが分かります。画面の中で、主張させたいモチーフの大きさによっては、フォーカスの範囲を絞りでコントロールする必要があるというわけです。

1/500秒、f4.0
先生の作例コメント
同じ場所に近い所から1枚パチリ。手前にボケ味の良いものを入れ込むのも表現のひとつ。このような場合は、絞ってしまうとボケが弱くなってしまうので、できるだけ絞りを開放気味にします。

f3.5 1/800秒
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板張りの床に夕陽が反射し、通り過ぎる恋人たちの影が長く伸びる夕景を撮ったつもり。恋人たちをボカしたが、成功したとは思えない。じつは、ボカしたのではなく、人物のシルエットにピントを合わせると逆光の露出をコントロールできなかったからだ。逆光時のフォーカスロックは露出を犠牲にしなくてはいけないのだろうか。露出をマニュアルでセットすれば解決する問題なのだが、それはわずらわしい
講評
段階露光を使うのも解決法のひとつで、この場合は、ボカすよりも、ここにピントを合わせたほうがよかったと思います。それと、太陽の反射を受ける床と人物の位置のバランスが微妙な感じです。もっと反射部分に人物が近いうちにシャッターを切るか、あるいは、この構図にこだわるなら、人物の向きは左向きの方が反射した床との関連性を持たせられます。

f7.1 1/125秒
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大桟橋ののんびりした黄昏だが、2棟のビルと3人がばらばらな存在で、ちょっと不思議な風景だった。だがピントは手前の柵に合っている。前ピン。合わせやすいところで妥協してはいけない。反省
講評
心地よい風が吹く夏の夕暮れを感じさせる写真ですね。構図も人物を 横に3人入れて、いい感じにバランスがとれました。しかし、ピントが手前の 柵にきています。赤い服の女性にしっかりピントがきていたらよかったと思います。

1/500秒 f4.0
先生の作例コメント
海と床の反射を絵づくりのポイントとしてみました。ピントは人物に合わせています。このような光線状況で注意したいのは露出で、オートだとたいていの場合、反射部分に影響されて暗めの写真になりがちです。こういう時こそ段階露光をしておきましょう。
1/500秒 f4.0
1/160秒 f4.0
先生の作例コメント
光線状態の違いを撮ってみました上は逆光、下は順光です。光の使い方でもイメージが変わります。逆光下での写真は情緒的、順光下の写真は説明的、あるいは逆光は女性的、順光は男性的ということもできるでしょう。

f4 1/50秒
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ISO1600で撮ったカフェの店内から通りを写す。テーブルのランプにフォーカスしたつもりが後ピン。状況写真で、ここで何を撮りたかったかが伝わらない写真。ただ撮っただけだ
講評
外と店内を見せるならもっと広角気味に写すべきでした。ランプにフォーカスしたいとのことでしたら、もっとテーブルに寄ってみると良かったかもしれません。ただ、外にまだ夕暮れの明るさが残っているので日没の雰囲気はよく出ています。

f5.6 1/25秒
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やはりISO1600で撮影。窓ガラスの映り込みを意識して撮ってみた。街灯と電飾が美しい。ピントは映りこんだ壁飾りに合わせる。うまく撮れたと思う
講評
こちらは、窓ガラスに映った店内の雰囲気と街灯を重ね合わせた作品ですね。なかなかきれいにまとまっています。このような場合、オートフォーカスカメラではどこにピントを合わせるか迷うことがあるので、ファインダーでよく確認しましょう。

F4.5 1/4秒
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夜景は撮りたいもののひとつだが、ISO1600でも1/4秒。スローシャッターでどこまで手ブレを押さえられるかが勝負だが、1/4秒は無理。そこで海岸の石垣にカメラを置いて撮る
講評
夕景や夜景撮影の場合は、無理に手持ちで写そうとしないことです。面倒でも三脚を使うことでブレのない、クリアな描写が得られます。構図はとてもよいと思います。ホテルや観覧車の明かりが海面に写り込んで夜景写真のお手本のようになりました。よい作品です。
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