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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾  
藤森元之
中級編 写真はむずか第1回―適正な露出を選択する意味―
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中級講義 第1回  講師 古屋光雄
  シャッター優先は時間を支配し 絞り優先は空間を支配する
「先生、いきなり名言が飛び出しましたね」
「むずかしいかもしれませんが、ボクはそう思っていますよ」
「それは通説ですか?」
「いや、ボクがそう思ってるだけですが」
「フム、なんとなくわかります……」
「露出を理解すれば、よくわかるはずです」
「哲学論争はまたの機会にして、今日はひとつ疑問を解明したいんですが……」
「また考えすぎてるんじゃないでしょうね。実写で解決するほうがいいですよ」
「解決したい問題は、先生の考えるいい写真と、観光写真の違いを明快にすることなんです。ふつう、すばらしい写真というのはポスターになっているようなきれいな写真のことだと考える人が多いですね。だから、自分で撮るときも、無意識にそういう写真を撮ろうと、同じような風景を探してしまうんじゃないでしょうか」
「いいところに気がつきましたね。では、あなたは観光写真を見て感動しますか?」
「?? きれいだから、それでいいんでは? ひょっとして、観光写真はいい写真じゃないと!」
「悪いとはいいません。ボクのいういい写真というのは、撮った人の感動を見る人に伝えられなくては意味がないと思うのです」
「で、では、観光写真に感動することはないとおっしゃる?」
「観光写真は説明的な要素を入れるという制約がありますからね。きれいな場所が映っていれば、それでいいんですよ」
「……」
「今日の撮影で、それがわかったでしょ!」
そういって、先生は講義を始めた。
   渓谷の岩を滑り落ちる滝を眺め、三脚を立ててカメラをセットします。
「この流れを止めてみるか、あるいは白い絹糸のように表現してみるか」とイメージしてみるものの、さてどうしたら考えたとおりの写真が撮れるのか。
「あっそうか! 露出決定が問題解決の鍵か」と気づくとき、あらためてカメラのAEモードに行き着くわけです。
 AEモードとは露出決定の方法です。カメラにはあらゆるシーンに対応したAEモードが組み込まれているので、このモードについて少し理解するだけで表現の幅もひろがるし、被写体の種類までも広がってくるので、写真を撮ることのおもしろさがグンと増します。カメラまかせのフルオートから脱却して、多様な表現にチャレンジしてみましょう。
 今回は「AEモード」について作例写真を見ながら解説します。
(1)シャッター優先モード(カメラではTvとかSとか表示されるモード)
   撮影する人がシャッタースピードを自由に決めると、絞りはカメラが自動的に決めてくれるモードです。ただしシャッタースピードの選択はあくまでも適正露出の範囲内でなければならないので、無制限に設定することはできないことに注意しましょう。
<作例−流れ1 1/500秒>
肉眼では見えない流れの一瞬の表情は
川の流れと思えないイメージを創り出した。
<作例−流れ2 1/8秒>
早朝の川面、手前の流れは速く奥の方はゆったりと流れている。
この速さの違いを表現した。
<作例−流れ3 15秒>
岩と川の流れが長時間の露出によって
異なった質感で表現された。
(2)絞り優先モード (カメラではAvとかAと表示されるモード)
   撮影する人が絞りの値を自由に決めると、シャッタースピードはカメラが自動的に決めてくれるモードです。
 絞りを開けるか、閉じる方向に行くかで表現が変化します。ねらった被写体だけに焦点をあてて前景や背景をボカす時、また画面全体に焦点が合っている状態にしたい時などに使いたいモードです。
<作例−噴水 絞りf 2.8 開放>
公園の噴水で戯れる子供の姿に視点を
しぼり、前後をボカした。
<作例−橋 絞りf16>
橋のダイナミックな曲線と遠景に広がる空間を、焦点深度を深くしてシャープに表現した。
   ここでも注意したいのは、シャッタースピードが自動的に決まるので、状況によっては遅いシャッタースピードになってしまう場合があることです。
 こんなときは、カメラに表示される数値をチェックしながら撮影します。また設定した絞りで画面はどんな状態なのか、カメラの機種によってはプレビューボタンがついているので、これを使って確認してみましょう。

 露出とは、シャッター速度と絞りの組み合わせです。この2つの要素は常に相関関係にあるので、シャッター優先モードで絞りを制御することも、絞り優先モードでシャッター速度を制御できることも、カメラを実際に操作すればよく理解できることです。
 カメラに設定されているAEモードは他にも多数ありますが、この2つのモードを上手く使えば十分に楽しみは広がるのです。

(3)奥多摩鳩の巣渓谷の作例
<作例−奥多摩1>
岩に沿って流れる水の曲線を捉える。
Tvモード1/30秒
<作例−奥多摩2>
岩のシルエットと水面の空間処理によって穏やかな情感を表現した。
Avモード、 絞りf8。
<作例−奥多摩3>
岩山に生える木々の緑が斜光に映えて美しい。みずみずしい緑を表現した。Avモード、絞りf4.0。もっと背景をボカしたかったが、コンパクトデジカメのレンズ描写には限界があった。
講座を終えて
   つまるところ写真とは露出だと思う。写真に撮りたい対象を絞り込んだら、それをどう表現したいか考えなくてはいけない。普通に写真を撮っているときは、これまでは何も考えず、シャッターを押していた。それはほとんどの場合プログラムオートで、コンパクトカメラなら各種簡単モードのどれかだったはずだ。
 これでは、写した写真は偶然の産物になる。デジタルカメラが進化しているので、カメラまかせでもすばらしい写真が撮れてしまうのだが、もういちど同じ効果の写真を撮ろうとしても、撮ることはできない。それには技術が必要なのだ。だからこうして写真塾で技術と知識を磨いている。
 中級講座は、露出についての考え方と効果的な使用法を学び始めたが、正直に言うと、厳しい道だと感じる。でも、これを乗り越えないと写真を撮れない、そんな気がしてきた。写真のおもしろさと深さに魅入られたのだろうか。
●今回の撮影機材 :
 生徒:Canon EOS Kiss Digital X + EF28-135/3.5
 先生:鳩の巣渓谷 Canon Powershot A640/その他作例 Canon EOS1Digital+EFレ ンズ各種
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