
「先生、いきなり名言が飛び出しましたね」
「むずかしいかもしれませんが、ボクはそう思っていますよ」
「それは通説ですか?」
「いや、ボクがそう思ってるだけですが」
「フム、なんとなくわかります……」
「露出を理解すれば、よくわかるはずです」
「哲学論争はまたの機会にして、今日はひとつ疑問を解明したいんですが……」
「また考えすぎてるんじゃないでしょうね。実写で解決するほうがいいですよ」
「解決したい問題は、先生の考えるいい写真と、観光写真の違いを明快にすることなんです。ふつう、すばらしい写真というのはポスターになっているようなきれいな写真のことだと考える人が多いですね。だから、自分で撮るときも、無意識にそういう写真を撮ろうと、同じような風景を探してしまうんじゃないでしょうか」
「いいところに気がつきましたね。では、あなたは観光写真を見て感動しますか?」
「?? きれいだから、それでいいんでは? ひょっとして、観光写真はいい写真じゃないと!」
「悪いとはいいません。ボクのいういい写真というのは、撮った人の感動を見る人に伝えられなくては意味がないと思うのです」
「で、では、観光写真に感動することはないとおっしゃる?」
「観光写真は説明的な要素を入れるという制約がありますからね。きれいな場所が映っていれば、それでいいんですよ」
「……」
「今日の撮影で、それがわかったでしょ!」
そういって、先生は講義を始めた。 |