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| ウーファー取り付け部もオリジナルとは少し違っているし、背面のバスレフポートの位置や、入力端子も違っているが、外観はまさに「ミニマ」そのものである |
「エレクタ・アマトール」は、小型2ウェイのブックシェルフだが、そのサイズからは想像できないような、濃密で華麗な響きを聴かせて、多くの人を驚かせた。しかしその価格は、専用スタンドつきで、ペアで60万円を超えた。再現力の素晴らしさと外観の美しさから考えれば決して高いという価格ではない。しかしこれにふさわしいアンプやプレーヤーを考えると、誰もがすぐに買えるという価格にはなかなか収まらない。ならばいっそ、大型フロア型にしたほうが、と考える人もあっただろう。
そこでもう少し手頃な価格で、エレクタ・アマトールのような再生力をもったものが出来ないものか、というオーディオファンの声がきっと起こるだろうと予測して、準備おさおさ怠りなく備えていたに違いないのが、「ミニマ」なる第2弾作品であった。
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| 側面から見たキャビネット。あいかわらずの丁寧な造りだ |
「エレクタ・アマトール」のサイズは、横幅220、高さ370、奥行き350ミリで15kg。それに対して「ミニマ」は横幅200、高さ315、奥行き240ミリで6kg。横幅はほぼ同じだが、高さと奥行きがだいぶ小さくなっている。そして価格は、専用スタンドつきでペア28万円。これは願ってもない身近な価格で、人気沸騰は当然であった。特に音楽好きのオーディオファンには、まさに“大福音”となったのである。
キャビネットは小振りになっただけではなく、ウーファー部の膨らみがなくなり、横幅は上下同じサイズで直線的外観となった。まあ、あのような複雑な丸みを手作りでやっては、価格は下がらないから当然だろう。しかし、専用スタンドを組み合わせて、その音の表情はまさに「エレクタ・アマトール」の弟か妹といったイメージで、ソナス・ファベールらしさはしっかりと守られたのである。
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| 前面バッフルに貼られた皮の表面処理は少し滑らかになった |
この後ソナス・ファベールは、「エレクタ・アマトール」の“後見役”ともいうべき、より大型の「エクストリーマ」を発売したが、これは再び価格にとらわれず、目指す再現力をひたむきに追求した作品で、価格はペア、専用スタンドつきで、160万円。1台50kg近い巨体で、もはや2ウェイ・ブックシェルフというよりも、その後のフロア型の前触れとでもいうべき作品であった。
さて、今回およそ20年ぶりに「ミニマ」が、若干の改良を加えて復刻されることになった。名づけて「MINIMA Vintage」。まだ輸入元のホームページにも掲載されていないので(7月9日現在)、カタカナ表記はしない。また、製品はすでに専門店レフィーノ&アネーロには展示され、音も聴くことができるが、詳細は不明な点もある。先取り情報であることをご承知おきください。
「ミニマ」と「MINIMA Vintage」を比較すると、横幅はまったく同じで、高さは15ミリ、奥行きは35ミリ大きくなり、重量は0.9kg増えている。この数字からみれば、サイズはほとんど変わっていないといっていい範囲だ。
ドライバー・ユニットはトゥイーターは28ミリ口径で同じだが、振動板素材は前回は単にソフトドームとあり、今回はシルクドームと発表されている。磁気回路を含めて詳細は後日あらためてお知らせしなければならないが、試聴した範囲では、大幅な変更は行なわれていないようだ。
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| スタンドはよく似た造りだが、底板は大理石から鋼鉄製に変更されている |
ウーファーは口径が110ミリから120ミリとわずかに大きくなている。振動板素材、磁気回路を含めて、今回はオリジナルを元に改良が加えられたと発表されている。これによって、再生周波数帯域はオリジナルの「70Hz〜20kHz」から「55Hz〜25kHz」にとかなり拡大した。
「MINIMA Vintage」に求められた最大のものは、ここにあるのかもしれない。これに合わせて背後のバスレフポートは、位置と大きさが変わっている。またネットワークにも改善のメスが加えられているようで、オリジナルは、バイアンプ、バイワイヤリング対応であったが、今回はシングル入力専用端子が取りつけられている。
この20年弱の間に音楽ソースの収録帯域もかなり拡大したが、この場合の改良はそれに対応するためというよりも、「ミニマ」本来がもっていた再生力のダイナミックレンジを拡大した、といっていいのではないかと思う。このウーファーの改良によって、響きは一段と豊かさを増している。
流麗で、しっとりしたバックスキンのような肌触りの「エレクタ・アマトール」譲りの質感はしっかりと引き継がれている。直方体的キャビネットの2ウェイブックシェルフという、小型スピーカーの古典的形の良さを十分に踏まえ、それを発展させたソナス・ファベールの初期の傑作機は、この「MINIMA Vintage」でリフレッシュされて蘇ったといっていいのではないだろうか。今日のソナス・ファベールのフロア型優秀機の原点とでもいう再現力の核心部分が、この小さなキャビネットの中に、明確に刻まれているのをまざまざと聴かされる思いがする。
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| レフィーノ&アネーロの金子さんは「素晴らしい出来ばえで、ミニマの復刻はオーディオ界のためにも歓迎したい」と語っている |
オリジナルと同様、このスピーカーはもちろん専用スタンドを含めたトータルの再現力が命である。ただ、専用スタンドを含めると、ペア税込で56万を超える。オリジナル「ミニマ」のような価格面での衝撃はもはや感じられない。しかし、この変化の激しい20年という時間経過を考え、さらに熟成のために加えられた改良を考えれば、決して高価ではない、と思う。「MINIMA Vintage」は、むしろこの期間に蓄積した多くの技術をもとに作られた、新らたな2ウェイ・ブックシェルフと考えてもいいかもしれない。
いずれにしても90年代に輝かしい栄光に包まれた名器「ミニマ」が復刻されたのは本当に嬉しい。こういうスピーカーこそ、「もう一度オーディオを」と考えておられる、熟年層にはふさわしいのではないかと思うからである。残りの人生を長く共に積み重ねていく伴侶として、またとない優れたスピーカーとして、案内人は自信をもってお勧めしたい。





