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| 上がELACの誇る超高性能トゥイーター「JETIII」。下の2つは強力な新設計ウーハー「AS-XR CONE」。2つのウーファーは少し違った周波数帯域で駆動されるスタガードドライブ |
キャビネットを細長くすることによって、音の放射性は向上するから、見通しの良い音場感、豊かな臨場感は再現しやすくなる。しかし横幅が狭いため、ユニットの口径が小さくなるので(FS247は15センチ口径)、低音域の質感やエネルギー感は失われやすくなる。そこで、このデメリットを克服するために、各メーカーはさまざまな工夫を凝らすことになる。
たとえば口径が小さくなったら、縦の長さを生かして、ウーファーの数を増やすというのも一つの方法だ。トールボーイで2つのウーファーをもつモデルが多いのはそのためである。10〜20センチ口径のウーファーを2つ以上使って、30〜38センチ大口径のウーファーと同等の再現性を獲得しようという手法である。
しかし、単に複数の小口径ウーファーを並べれば、低音域の再現性を向上できる、という単純なことにはならない。理論的にはそうなるのだが、複数を駆動することによって歪み(ひずみ)も増えるから、これを排除しなければならないのだ。そして、瞬発力やスピード感は小口径が有利だが、いわゆる重量感は大口径に一歩譲る。それを克服するにも、さらに工夫が必要となる。
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| パルプコーンとアルミコーンを組み合わせた新設計ウーハー「AS-XR CONE」。アルミコーンのクリスタルラインが美しい |
ELACの工夫は、まずウーファーユニットそのものの性能向上を図ることであった。これはすでに、これまでの多くのELAC製品で実証済みだが、振動板を二重構造にしていることが第1のポイントだ。定評のあるクルトミューラー社製のパルプコーンと、アルミニウムの金属コーンを貼り合わせているのである。しかも、このアルミニウムのコーン形状を写真でご覧のようなクリスタルラインにするというユニークな手法を凝らしている。これを生かす強力磁力回路と合わせて、メーカー自身の言葉を借りると、
「剛性と密着性を高め、周波数レンジを拡大し、滑らかで調和のとれた美しい音質を達成しています。またハイブリッド構造による倍音振動を一層減少させ、放射特性の最適化、クロスオーバー・ゾーンでの振動歪みを防止し、倍音の歪み自体も減少させることに成功しています」
という成果をあげている。これが第1のポイントで、ELACはこのウーファーを「AS-XR CONE」と呼んでいる。
第2のポイントは、この2つのウーファーの駆動方法だ。大きく分けて駆動方法は3つある。
(1)2つのウーファーのうち1つは磁気回路をもたせず、低音増強のパッシブな働きをさせる。この磁気回路のないウーファーを“ドローンコーン”と呼ぶ。
(2)2つのウーファーをまったく同じものとして駆動する。磁気回路も受け持ち周波数帯域も同じなので、これは“パラレルドライブ(駆動)”と呼ぶ。
(3)2つのウーファーの受け持ち帯域を変えて駆動する。これは“スタガードドライブ(駆動)”と呼ぶ。
これらは、それぞれに特徴のある効果をもっているが、FS247は受け持ち帯域をずらして駆動するスタガードドライブを採用している。これはELACのこのモデルにおける最善の手法として選択されているのだ。したがって、2ウェイと3ウェイの中間で、「2.5ウェイ」と自称している。これが第2のポイント。そして、もう1つ重要な第3のポイントがある。
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| しっかりしたユニットの取り付け |
第3のポイントは「ボトム・エミッション・テクノロジー」と名づけられているものだ。FS247のキャビネットはバスレフだが、一般的なスピーカーではバスレフの開口部(ポート)は前面バッフルか背面バッフルのどこかに、1つもしくは2つ設けられていることが多い。ところが、FS247ではキャビネットの底面に設けられているのだ。この方法だと、低音の音波は底面に付属しているベースプレートに放射することになるので、通常のバスレフ型のように、背面の壁との関係による影響が避けられる。バスレフの低音再生効果に加えて、セッティングの自由度も増すという、2次的効果も得られる。
この底面バスレフポートに加えて、トゥイーターのリングに装着して高域のエネルギーをコントロールする「JET DC(Dispersion Control)」を付属し、高域と低域のバランスをきめ細かく調整できる工夫を合わせて、これがELACトールボーイ・スピーカーの低音対策の第3のポイントである。
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| アンプからの入力端子。バイワイヤリング、バイアンプ接続にも対応している |
もちろん、低音域の実質的再現性能は、高音域の再生能力との相関関係が重要になる。このバランスが適切に働かなくては、真の充実した低音域再現は得られないのである。その点では、ELACの「JETIII」と呼ばれる、オリジナル・トゥイーターの性能が群を抜いているものであることが、効果を一層高めている。トゥイーターの能力が低ければ、低音域は強くなればなるほど、鈍重でブーミーになってしまう。その点で、FS247に採用されているトゥイーターは、ELACの最上級モデルにも採用されている、50kHzまでの超高域再現力をもった評価の高い「JETIIIトィータ」なのである。このトゥイーターと組み合わされるからこそ、強力な新設計ウーハー「AS-XR CONE」の能力は、いっそう大きな効果を発揮できるのだ。
もう1点、第4のポイントともいうべき工夫を忘れるところであった。それは、キャビネット全体の性能に関わることで、残響特性の優秀性で、これを見逃すわけにはいかない。クロスフレームが施されたキャビネットは、適切な残響特性をもつように設計されていて、それがこれまでの3つのポイントを効果的に発揮させる下支えとなっているのである。ELACの音響解析技術は、システムが置かれた部屋の音響特性を配慮するレベルにまで達しているといえよう。
以上のようなさまざまな工夫によって、「FS247」は横幅の大きなフロア型スピーカーに負けない音質的再現力と、トールボーイの豊かな臨場感あふれる音場再生を両立させているのである。




