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| 外側のスピーカーが「ELAC FS247」、内側は同じELACのブックシェルフ「BS243」 |
スピーカー・キャビネットの形には、さまざまな種類があるけれど、それと再生音にはどんな関係があるのだろうか、と疑問に思っておられる方は少なくないはず。振動板にハイテク素材がまだあまり使われないころの、オーソドックスなスピーカーといえば、横幅がかなりあって、堂々たる“四角さ”を感じさせるものが多かった。ずばり、横長のキャビネットなんていうものもあり、その代表はJBLのオリンパスやパラゴン。そういえばJBLファンには本来縦長の「43シリーズ」を90度横にして、横長スタイルで使う人もあった。
日本のクラシックファンに人気のあるタンノイのフロア型も、基本は縦長だが、横幅がかなり大きい。業務用が多いエレクトロヴォイスも横幅がかなりある。静電(コンデンサー)型でも、初期はクオードのESLのように横長であった。その後、1970年代、80年代と進むにつれ、振動板素材にさまざまなハイテク素材が使われるようになると、それに合わせてキャビネットの形も大きく変化してきたのである。もちろん、これは趨勢の印象であって、スピーカー全体の形がすべてドラスティックに変わってしまったというわけではない。
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| すっきりとしたスタイリッシュな「FS247」 |
キャビネットスタイルの変化の趨勢のなかで、もっとも目に付くのは、横幅が狭くなってきたことではないかと思う。今回はこのことをテーマにして、スピーカーの形と音の再現性について少し考えてみたい。
ここで、ドイツELAC(エラック)社のスピーカー「FS247」を写真でご覧ください。ELACのスピーカーは、ボンビバンでは、「80周年記念モデル・FS 210 Anniversary(2006年9月27日掲載)」と、「フラグシップモデル、FS 609 X-PI(2007年8月8日)」の2モデルを紹介した。これらも合わせてご覧いただくと、どのモデルも縦の細長いキャビネットである点が共通している。80周年記念モデルの「FS 210 Anniversary」は横幅286ミリで高さが1,114ミリ、フラグシップモデルの「FS 609 X-PI」は横幅290ミリで高さが1,311ミリである。そして、最新モデルで今回の主役「FS247」の横幅は220ミリで高さは993ミリ(ベース込み)だ。
横幅が30センチ未満で、高さが100〜130センチ前後なので、どれも細長く見える。こういう形を、一般的に「トールボーイ(tall-boy)」といっている。「トールボーイ」は元々は脚付きの家具や、細長い脚つきグラスをいう言葉であったが、これがスピーカーに援用されたのは、従来のものに比べて“細長い”という印象が強かったためであろう。
この形が増えてきたのは、すっきりした見た目のイメージや、省スペース性、使いやすさが求められたからでもあるが、音の再現性の点でも有利な点があるからなのだ。では、横幅が狭いことには一体どんな効用があるのだろうか。
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| ELACの堂々たるフラグシップモデル「FS609 X-PI」 | 木製キャビネットを採用したELAC80周年記念モデル「FS210 Anniversary」 |
これは、ステレオが普及し、録音の技術が臨場感の収録に習熟してきたことと関係が深い。単に本物らしい音(原音再生などと言った)や、音楽のエネルギー感を再現するなら、大きなユニットと大きな前面バッフル(ユニットを取り付ける正面のボード)が有利なのだが、音楽が演奏されている臨場感や音場感をステレオで再現しようとすると、音が再生する部屋でどのように広がるか、ということが重要になってくる。そうすると、キャビネットの横幅が狭いほうが、音の広がりの点では自由度が高いのである。
横幅が大きいと、ユニットから出た音波が前面バッフルで好ましくない影響を受けることが多いのだ。それを排除する方策はいろいろと考えられてきたので、横幅の大きいスピーカーで、音の充実度やエネルギー感と、豊かな音場の広がりを兼ね備える再現性を実現することは可能になっている。しかし、部屋の大きさや音響条件の調整、アンプのドライブ力など、手間もかかり、費用もかなりかかるので、そう簡単ではない。
その点で、横幅が狭いスピーカーは、いわゆる音離れがよく(音の放射性がいい)、録音された音場情報をスムーズに、部屋に再現しやすいのである。その代わり、1音1音の質やエネルギー感では、横幅が大きいスピーカーに劣るので、その欠点を補う工夫がさまざまに投入されるようになった。
ユニットの改良、ユニットの数や取り付けの工夫、キャビネットの構造や強度の向上などがその主なものである。では、それらの点を少し具体的に、ELACの「FS247」で見てみよう。




