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| バイワイヤリングにも対応する入力端子。上部のツマミで中域のみを「+1〜-1dB」の2dB範囲で調整することができる |
さて、「G1300」の何が信頼できるのか、といえばまずいろいろな面での「バランス」の良さがあげられる。たとえば、2ページで触れたトゥイーターとウーファーとのバランス。 2つのユニットのエネルギーバランスがよく、音色がうまく溶け込んでいる。そして、再生周波数帯域での出力バランスに乱れがないので、音が高域で金属的になったり、中低域で鈍重になることがない。また、ドライブユニットと箱(キャビネット)のバランスでは、ドライブユニットの振動や重量に負けて、箱がグラグラしたり、箱の板材が必要以上に振動して鳴いてしまうことがない。
録音スタジオや放送局は、使用条件が家庭より過酷になることと、いろいろ異なった感性をもつ演奏家やエンジニアが聴くので、音の質感の良さよりも、あらゆる面で「バランス」がよく、感性の違ういろいろな人が聴いて、各自が求める音を適切に判断できることが重要な役割である。そのように作られたモニタースピーカーは、そのまま家庭に持ち込むと、使いにくく、聴きづらい面もあるので、「G1300」はそこを修正して造られている。すべての面で「バランス」がよく、信頼性の高い、スタジオモニタースピーカーのような、家庭用スピーカー。それが「G1300」の素質である。まさに“もういちどオーディオ”にふさわしい実力派スピーカーだ。安心して音楽を楽しみ、オーディオの感性を養うことができるというものである。
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| 加工の難しいマグネシウムを「リッジドーム」という成形法で仕上げたトゥイーター |
次に「G1300」の技術的注目ポイントをピックアップしよう。まずドライブユニットの振動板について。トゥイーターの振動板素材はマグネシウムである。マグネシウムはスピーカーの高音域用振動板素材としては、軽くて強靱という理想的な物理特性をもっているものの、加工が非常に難しいのが難点であった。通常のドーム型に成形するのはかなり難しい。そこで、「G1300」ではボイスコイルからドーム先端までの距離が異なる「リッジドーム」という成形方法で造られている。これによって、形による共振も排除することができ、歪みのない透明度の高い高音域の再現性を得ている。フォステクスによると、 「純マグネシウムは、金属固有の癖がなく、ソフトドームのしなやかさと、金属の高い応答性を両立するものです。音像の輪郭を鮮やかに描き出す高い再生能力を実現し、ボーカルの溶け込むような微細な息づかいまでを正確に再現し、実体感あふれる音像定位を実現しています」
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| 「HyperShell」と呼ばれる3次曲面構造を発展させた独特のHR振動板をもつウーファー |
次はウーファー。振動板素材はバナナパルプをベースにし、高弾性カーボンをはじめとする7種類の素材を混ぜ合わせた複雑なもの。クセがなくて応答性のよさを求めるための工夫で、フォステクス独自の抄紙技術があって初めて実現したものである。
そしてその形状にも大きな特徴がある。「G1300」のウーファーは口径13cmの「HRウーファー」と呼ばれている。建築構造力学の分野で「HP Shell(=HyperShell、双曲放物曲面)」と呼ばれている3次曲面構造(少し説明が難しくなるが、同一平面にない2つの線分間を直線で結びながら移動させることによって、双曲面と放物面が得られる構造で、従来の曲線による構造ではなく、基本的に直線構造で構成されている)は、その形状によって高い強度が得られ、振動板の共振周波数も高く設定できる。これが立ち上がりの速いスピード感のある音質を得るのに大きく貢献しているのだ。HP振動板に新たな抄紙技術を投入し発展させたのがHR形状を持つ13cmウーハーだ(この「HRウーファー」の性能は放送局や録音スタジオで高く評価されている)。
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| 美しいピアノフィニッシュのキャビネット。ドライブユニットのエネルギーをしっかり受け止める強固な構造だ |
そしてもう1点忘れることの出来ないのが、キャビネットである。「G1300」のキャビネット素材は、素直な共振スペクトルと高い強度をもつ、厚さ18mmのブナ合板。さらに裏板には不要振動を逃がし、キャビネット自身が発する濁りを抑えるために、高品質MDF材が配置されている。そして仕上げは、ピアノフィニッシュ塗装で、これも柔らかな響きに有効だ。そして「バランス」の中でも難しい、ドライブユニットとキャビネットのバランスが、板材の選択、補強材、構造によって極めて適切にとられている。
2004年春に発売された、プロ機「RS-2」の開発にあたってフォステクスは、 「エンジニアが、そして演奏家が魂を込めて送り出す音源に応えるべく、私たちはスピーカーが“音声変換器(トランスデューサー)”であるという原則に立ち返り、徹底した歪みの低減と着色のない音を求め、まさに測定器たるスピーカーとして、RS-2を送り出しました」
といっている。そのコンセプトと意気込みは、そのまま家庭用スピーカーの「G1300」に受け継がれている。うまくセッティングし、部屋の音響条件を調整すれば(それほど難しくはない)、演奏家の熱い音楽への思いが、部屋いっぱいに広がるはずだ。プロ機の血筋を引くだけに、歯切れがよく、スピード感のあふれる躍動的な響きから、切々たる抒情性の表現まで、小音量の繊細なニュアンスから、大音量のドラマティックな描写まで、入力される音楽に寄り添って、自在な再現力を示してくれる。
繰り返しになるが、“もういちどオーディオ”に、最適なスピーカーといっていいだろう。




