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もういちどオーディオ 案内人:船木文宏
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2008.3.27更新

Refino & Anhelo注目のシステム 「試聴スペースの主役をクローズアップ」 97 小型でスタイリッシュな真空管式プリメインアンプ「Music Cocoon MC4」
〜今どきのセカンドシステム探求

VACUUM TUBE INTEGRATED AMPLIFIER Roth Audio Music Cocoon MC4 価格 115,500円(税込)

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小粋なデザインの真空管アンプ+iPodドック

今回はいつもと気分を変え、肩の力を抜いて、オーディオを楽しむことにしたい。このページが目に触れる頃は、早いところならもう桜が咲いているかもしれない。東京も予想では3月26、27日あたりが開花日だという。学校も春休み、卒業、入学試験も一段落して、目前に迫る新しい門出に胸を膨らませている方も多いことだろう。いや、本欄をご覧になる方々なら、そういう子供や孫をおもちの方が多いのかもしれない。

まあ、趣味に年齢はほとんど関係ないので、「大人のたまり場」というボンビバンのコンセプトを踏み外しそうなことも、これまで気にせずに並べてきたのだが、今回ばかりは、少しばかり“オヤジ”気分で行きたいと考えている。何が「“オヤジ”気分」かといえば、“ちょっと子供にも自慢したくなるような”製品を見つけたのである。これをセカンドシステムにして、
「どうだ、お前たちもたまにはスピーカーから音を聴いてみたら。なに、いつも使ってる携帯デジタルプレーヤーでいいんだよ。それをもってきてごらん」

という具合に運びたい、と思っているのであります。はたして期待どおりに子供や若者が目を輝かせてくれるかどうかは、責任をもてないのでありますが……。


透明な厚いアクリルと真空管4本をうまく組み合わせて、お洒落な雰囲気を演出している

写真でご覧のように、簡単に持ち歩けるぐらい小さくて、軽くて、しかもデザインが洒落ているこの製品は、真空管式プリメインアンプである。イギリスの本来はプロフェッショナル用オーディオ機器メーカーである「Roth Audio(ロス・オーディオ)」の製品で、「Music Cocoon MC4」と名づけられている。しかし、ただの小型真空管アンプではなく、「iPodドック」を備えているところがミソだ。
正面からみた「Music Cocoon MC4」。中央部の「iPodドック」はあくまでサブと考えよう

しかし、iPodをいい音で聴こう、というのはオーディオ人としては洒落にならない。ここはあくまでも、小粋な音のするアンプがあって、たまたまそれにはiPodを載せて、その音をスピーカーから聴くことができる仕掛けもついている、という筋道でなければならないのである!!

いや、この「Music Cocoon(ミュージック・コクーン)MC4」は、たしかにオヤジ心をくすぐる、そんな着想から開発されたのではないか、と思われるふしがある。輸入元の説明によると、
「Roth Audioはこのアンプを、音楽制作に関わる中で培った技術と経験を活かし、音楽を愛する人々のために開発した」

のだという。つまり、Roth Audioがギターアンプなどプロ向けの機器を作っているのは、音楽を理想的に再生することと、いい音楽を作る(録音作品を作る)ことは分離することができない作業だ、というポリシーに基づいているためらしい。そういうわけで今でも、民生用機器とプロ用機器の両方を作っているのだ、と彼ら自身もいっている。これは納得できる考え方だ。オーディオで音楽を再生することを、英語ではしばしば“reproduce”という。そしてもちろん、音楽を作るほうは“produce”である。この2つの単語を並べてみると、音楽を作ることと、再生することの2つの行為に対する彼らのポリシーがよくわかるような気がする。


背面部。RCA入力端子があるので、ラインレベル入力の機器を接続し、ごく一般的な真空管プリメインアンプとして使える

Roth Audioのメンバーは音楽とオーディオのプロ集団だから、圧縮ファイルの音楽を聴くことからは、この地球上でもっとも縁遠い存在だろう、と嬉しい誤解をされているけれど、と冗談を飛ばしながら、彼らはユーモラスに「Music Cocoon MC4」の説明している。少しその話を聞いてみよう。


……iPodでも、他の圧縮ファイルでも、「Music Cocoon MC4」を通してスピーカーで鳴らすと素晴らしい音がします。しかし、圧縮によって失われたデータを元に戻すなんてマジックみたいなことをしているわけじゃありません。しかし、他のアンプではできないことなんだけれど、「Music Cocoon MC4」は、音楽がもっている本来のあたたかみ(real warmth)と広がり(dimension)を、圧縮ファイルの音楽データに与えることができます。……


なるほど。でも、そのような効果は、どんな手法や回路でもたらされるのだろうか、という疑問が当然湧く。それに対しては、彼らはこう答えている。


……それこそが真空管によって得られたものなんです。マジックじゃなくて科学的な働きです。その効果の結果量を計ることはできないけれど。……


再生力のポイントになる真空管。「12AX7」と「12AU7」各2本合計4本が使用されている

引用した彼らの説明をわかりやすく言い換えると、彼らは録音機器や楽器アンプなどでずっと真空管を使ってきているので、トランジスタに比べて、真空管という素子はきっと、圧縮によって失われたものを“補うかのよう”な働きをするに違いない、と発想したようだ。その着想は彼らのキャリアからみればごく自然なものだったのだろう。もちろん、ただ真空管を使えばいいというものではない。どんな真空管をどのように使うか、という技術的な問題が残る。それについては、単に、12AX7が2本、12AU7が2本使われていることしか公式資料にはない。

その先をもう少し知りたいところだが、私たちはアンプを設計するわけじゃないから、深追いをするのはやめておこう。要するに、この「Music Cocoon MC4」は、2種類の現在もよく使われていて、供給にも心配のない、そしてその働きを彼らが熟知している真空管を、主要素子として使ったプリメインアンプなのだ、ということ。設計者は、このアンプを使えば、iPodやそのほかの圧縮ファイルによる音楽も、見事に元の姿を取り戻したように、生き生きとした躍動感をもって再生することができる、と自信をもって送り出したものなのだ。

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