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| 「M-600A」のシンメトリックな内部構造はじつに見事だ |
アンプの性能を支える技術は、さまざまな領域に及んでいて、どれかを特筆するのは難しい。あるゆる技術的要素は、融合されて総合的なパフォーマンスに結びついているものなのだ。しかしそういってしまっては身も蓋もない。いくつかラックスマンらしい特徴のあるものを挙げてみよう。
セパレートアンプとなると、普通はプリアンプの話が先になるが、ここではパワーアンプから。じつは最初のページに記した電力問題もその過半はパワーアンプの能力に係わる課題なのだ。プリアンプはパワーアンプの過酷な作業を補佐すべく、プレーヤーからの微小信号を整えてパワーアンプに送ることが、最大の仕事となる。もちろん、音量コントロールを含む再生環境に合わせた音の調整はプリアンプのもう一つの重要な仕事ではあるが。
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| 「M-600A」のパワーステージ。純A級動作のこだわりの増幅回路だ |
さて、パワーアンプの心臓部は、いうまでもなく電源部と増幅回路。まず何をするにも必要なのがアンプ自身が動作するエネルギー源でもある電力の管理だ。電源部の主要部品はトランスとコンデンサー(キャパシター)で、ラックスマンは創業初期から、優れたトランスのメーカーとして有名だから、高性能トランスを作るのはお手の物。
「M-600A」には、音量変化の激しい音楽信号にもゆとりをもって対応できる大容量(680VA)のトランスが特別に開発された。そしてこれに、大容量(40,000μF)で良質な特性のコンデンサーを4本組み合わせ、瞬時電力供給量にも不安のない高性能を得ている。この充実した電源部を、ラックスマンは「ハイイナーシャ電源回路」と呼んでいる。ちょうど超重量級のアナログターンテーブルが、自らの重量を生かすことによって、どんな状況変化にも対応し、滑らかに安定した回転を続けるのと同じように、どんな入力信号に対しても、安定した強力電力を供給できる電源部の高い能力を意味するものとして、選ばれたネーミングなのだろう。![]() |
| 「M-600A」のリアパネル |
増幅回路は、これもラックスマンお得意の技法である「純A級動作」によって極めて質感に優れ、リニアリティの高い電力増幅を得ている。A級動作は、歪が発生しにくく、滑らかな質感も得やすいが、消費電力が大きく、発熱量も多いので、最近のアンプではAB級が主流となっている。高性能増幅素子が作られるようになった今日では、増幅方法の「級」はあまり問題にされなくなった、という事情もある。したがって、「M-600A」があえてA級にこだわったのは、歪の問題からではなく、むしろ得られる電力の「質感」の違いにあるのではないかと思われる。
なお「M-600A」の増幅回路には、「B-1000f」で使われた「ODNF(Ver.2.3A)」が組み合わされて、より滑らかで美しい音に貢献している。「ODNF」は「Only Distortion Negative Feedback」の略で、増幅回路の中で、歪成分だけを音楽信号から抽出して最終出力段に戻す手法。この回路によって、最大出力は8Ω/30Wから2Ω/120Wまで、完全なリニアリティを獲得している。
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| 「C-600f」の内部、部品配置が整然とし信号ラインの引き回しも美しい |
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| 音量調節のアッテネーターと増幅回路を一体化した「C-600f」の独自機構 |
次はプリアンプ「C-600f」だが、これはまさしくパワーアンプ「M-600A」を働きやすくするための内助の功役と、再生時のコントロールセンター役に徹している。かつて、プリアンプ不要論というのがあって、ボリュームコントロールさえあれば、パワーアンプだけでいい、そのほうが鮮度が高い、という魚屋みたいな発言が結構出回っていたものだが、デジタル技術が成熟するにつれ、プリアンプは高品位なオーディオ再生に必須なものだ、という考え方が主流になってきている。もちろん「M-600A」の能力をフルに発揮させるには「C-600f」の力が必要なのである。
「C-600f」の最大の特徴的ポイントは何かといえば、音量調節のアッテネーターと増幅回路を一体化した独自機構の採用だといえよう。これは80周年記念モデル「C-1000F」のアッテネーター部を効率化したもの、とラックスマンは説明しているが、電子制御の固定抵抗切り替え型ボリュームコントロールと、パワーアンプの項で登場した「ODNF」方式のアンプ回路を一体化したものだ。この機構によって、音量位置による音質の変化を無視できるほど軽減し、またここを通過する信号の劣化を最小限に抑えている。
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| 「C-600f」のリアパネル |
そして、オーディオの楽しみに欠かせないのが、最終的に部屋で鳴らした時の音のコントロール。魚屋的鮮度優先主義からいうと、ボリュームの存在すら問題なのだから、トーンコントロールなどは不要なものの代表となるわけだが、円満な再生には優れたトーンコントロールは必要なものだ、とラックスマンは主張している。「C-600f」のトーンコントロールは高低のバランスを1dBステップで調整でき、信号劣化も極力排除しているから、安心して使える。またさらに、付属のリモコンと前面パネルの両方で、音量コントロールや入力ソースの切り替え、出力モードやバランス位相の切り替え、表示部の明るさの調整ができるのも、便利で家庭内再生には有効な機能である。
なんとも頼もしいアンプが登場したものである。しっかりした技術に支えられ、抜群の駆動力をもつが、オーディオ再生のメインストリートの中では、スピーカーの再生力を支える縁の下の力持ち役に徹する覚悟も十分に感じられる。これぞ、オーディオ再生におけるアンプの美学といっていいだろう。
このアンプがあることで、ピュアオーディオの楽しみはグンと広がることだろう。このぐらいの能力があれば、かなり大型のスピーカーでも、なんなくドライブすること請け合い。特別な構造のスピーカーでなければ、相性は極めて幅広いといっていいだろう。






