おとなのたまり場 > いつでも Bon vivant > もういちどオーディオ > 注目のシステム
もういちどオーディオ 案内人:船木文宏
専門店からの情報発信  
2008.2.14更新

Refino & Anhelo注目のシステム 「試聴スペースの主役をクローズアップ」 94 ラックスマンの「C-600f」「M-600A」に見るアンプの美学

CONTROL AMPLIFIER LUXMAN C-600f 価格 525,000円(税込)
POWER AMPLIFIER LUXMAN M-600A 価格 525,000円(税込)
CD PLAYER AUDIO ANALOGUE PAGANINI 192/24 価格 270,900円(税込)
SPEAKER SYSTEM ProAc ST140 価格 525,000円(ペア/税込)

  1頁 2頁 3頁

オーディオの楽しみを広げる、お手頃価格の超高性能アンプ

試聴スペースにセットされた「C-600f」「M-600A」

ハイエンド・オーディオと呼ばれるアンプには、どうしてこんなに大きいのか、重たいのか、高いのか、と思わず溜息が出てしまうものがかなり多い。もとより、趣味の世界に合理性を持ち込むのはヤボというもの。それぞれの好みと予算、部屋のサイズに合わせて自由にアンプを選ぶことに何の問題もない。

しかし、予算に限りのある、あるいは機器にはほどほどに、ソフトやコンサートにも予算を割きたいという音楽好きオーディオファンに、今回は「ウン、これなら…」と真剣に考えてもらえそうな高性能、お手頃納得価格のアンプを紹介したいと思う。

そもそも、オーディオではスピーカーが主役。再生音質の60%以上は、スピーカーで決まるといってもいい過ぎではない。そしてアンプは、その選ばれたスピーカーの良さを引き出すために存在する、縁の下の力持ち。そんな役回りだから、姿、形が大仰であったり、スピーカーをはるかに超える高価格だったりすると、ついつい鼻白むのである。

では早速、ご紹介申し上げるとしましょう。今回の本欄主役は、LUXMAN(ラックスマン)のセパレートアンプ。プリアンプ(コントロールアンプ)が「C-600f」、パワーアンプ(メインアンプ)が「M-600A」。価格は両者とも税込525,000円、つまり税別ならコンビで100万円ピッタリ。なんだ、安くはないじゃないか、という声も、あるいは同時にわずかだが、100万円ぐらいじゃ素性はしれたもの、という声も聞こえてくるようだ。

左が「C-600f」、右が「M-600A」。美しい清涼感あふれるデザインだ」

しかし、外観や内部の写真を、そして最後の欄のスペック表示をとくとご覧願いたい。100万円は決して“安い”とはいえないが、そこに投じられた物量とノウハウ、そして性能からすると、じつにお手頃、納得の価格なのである。やはり、これは80年を超えるラックスマンだからこそ、作りえた傑作アンプなのだ。

個人的天才は、まれに突然生まれることもあるが、真の天才的偉業を成し遂げる逸材は多くの場合2代、3代と同じ道に専念する家系に現れるもの。モーツァルトしかり、ベートーヴェンしかり、である。アンプづくりもそれによく似ていて、突然何もないところから立派なものが生まれるのは稀だ。いい音楽は楽譜を見ただけでわかる、とベートヴェンはいったという。「C-600f」「M-600A」の姿は写真でご覧のようにじつに端然として優雅である。そして見るからにいい音がしそうな風情がその姿から漂ってくるではないか。傑作音楽作品の楽譜面が美しいのと同じである。

「C-600f」の前面パネル。多機能だがスッキリした装いが気持ちよい

そして、この外観から受ける印象は、長年の技術の裏づけが支え、醸し出しているのだ。これこそまさに“ホンモノ=信頼するに足る”製品の姿である。思えば80有余年のラックスマン・ブランドの歴史の中で、どれほど多くのアンプが、生み出されてきただろうか。それらのすべての製品に受け継がれ流れてきた、“オーディオ再生の理想追求”という熱い血が「C-600f」「M-600A」にも、脈々と流れていて、耳を澄ませばその力強い脈動が聞こえてくるようだ。


改めて思い返すまでもないのだが、スピーカーはオーディオの主役といったが、この主役がじつに我が儘で、気難しい。乗りこなすにはかなり骨の折れるジャジャ馬なのである。そのオーディオ的原因の1つが、再生される周波数帯域によって、スピーカー側の入力インピーダンスがさまざまに変化するということだ。

たとえば、公称入力インピーダンスが8Ωと表記されていても、すべての帯域で8Ωというものは少なく、周波数帯域によって、6Ω、4Ω、時には1Ωを切りそうな特殊なスピーカーもある。これほど極端に変化しない場合でも、スピーカーのインピーダンスは人体における血圧のように、入力信号によって時々刻々変化するものなので、アンプにはそれに対応した電力を供給する能力が要求されるのだ。これがなかなか難しい。

さらに音量による必要電力量の違いも無視できない。クラシック音楽などでは日常茶飯事なのだが、静かな小さい音が続いていて、突然大音量が炸裂するという作品がかなりあって、この場合は瞬時電力供給力がなければ、スピーカーは機嫌を損ねてしまう。

「M-600A」の前面パネル。圧倒的なドライブ力をもつが外観は軽快。メーターのように明るさが上下するロゴマーク脇のイエローライトがお洒落だ

電力の問題ひとつとっても、スピーカーがアンプにとっていかにヤッカイな存在であるかがわかる。ところがそのうえさらに、美しい音、豊かさ、広がり感などという、音の「質」まで問われるのだから大変だ。量だけなら、コストを無視すれば、電源部を巨大にすることなどである程度問題は解決する。しかし質となると、振動対策、ノイズ対策、外来電波の遮断、回路の充実などさまざまな要因がからみ、対応は複雑を極めるのである。

そういう困難さをすべて克服した、自信と誇りが「C-600f」「M-600A」の姿からは感じられる。これが老舗メーカーの実力というものなのだろう。

  次のページを読む



「もういちどオーディオ」トップへ戻る
TOP