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もういちどオーディオ 案内人:船木文宏
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2008.1.17更新

Refino & Anhelo注目のシステム 「試聴スペースの主役をクローズアップ」 92 名機「クレモナ」5年ぶりのグレードアップモデルを聴く

SPEAKER SYSTEM Sonus faber Cremona M 価格 1,428,000円(ペア/税込)

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何が新しくなったのか?

サランネットをつけた「クレモナM」   ネットを外した「クレモナM」。ユニットがよく見える

初代「クレモナ」は2002年に発売され、人気と実力を兼ね備えた、まさに21世紀初頭を飾る名機として高く評価された。それが5年ぶりにモデルチェンジされたのだが、これはクレモナの所有者にとっても、非所有者にとっても、嬉しいが同時に少しばかり悩ましくもある。車も毎年のように、パソコンなどは年に2回もモデルチェンジするご時勢だから、驚くことも怒ることもないのだが、オーディオ・ファンとしてはムズムズするのである。買い換えようか、やめようか、そろそろ買い時か…などと。

技術や素材は日々革新されているわけだから、産んだ子を長くそのままにしておくことは忍びない、とメーカーが考えるのは当然だ。むしろ良心的なメーカーほどそう考えるだろう。こういう場合、評判のいいモデルはそのまま継続し、別なモデルを開発するという方法もあるのだが、ソナス・ファベールは、「クレモナ」に格別な“思い入れ”があったのか、あえて“モデルチェンジ”の道を選んだ。きっとそうに違いないと思う。


初代「クレモナ」は、3ウェイ4スピーカーのフロア型で、キャビネットは初期オマージュ・シリーズで高く評価された、リュート型。奥行きが横幅より長い直方体で、後方に行くにしたがって細くなっていく形である。発想の原点は楽器のリュートにある。弦楽器の職人に絶大な敬意を払うソナス・ファベールだから、弦楽器の形からさまざまな影響を受け、それが彼らの製品開発に生かされているのは当然だろう。

ヴァイオリン族の形はスピーカーにはちょっと向かないが、リュートというのは確かにいい思いつきである。直方体に比べて平行面が少ないから、定在波を防ぐにはもってこいだし、直方体よりも穏やかで奥行きの深い響きが得られそうだ。

スピーカーは振動板以外は何も鳴ってはいけない、振動してはいけない、という理論もあるが、ある程度の箱の振動こそ、最終的な音に“いい効果”をもたらすのではないかと思う。これはいろいろなスピーカーを鳴らして、触ってみるとすぐにわかる。もちろん、構造と素材が弱くて鳴るのは駄目で、いい材質で堅固に作られていて、しかも微妙に振動し、ユニットからの音に寄り添う、そんなイメージがいいのである。そういう意味から、クレモナのキャビネットはこれまで評価の高いどんなスピーカーに比べても、一歩も譲らないいい響きをもっているのだ。


「クレモナM」に大きな影響を与えたクレモナ・シリーズの「エリプサ」

さて「クレモナM」は初代と比べて、キャビネットは背面部の処理がゆるやかな曲線を描くように変わったぐらいで、ちょっと見ただけでは、ほとんど同じに見える。ソナス・ファベールのホームページには、クレモナ・シリーズの最上位機種「エリプサ(elipsa)」の開発で得られた、再現力を獲得するべく作られた、というように書かれているが、「クレモナM」はリュート型のままで改善が図られているのだ。これは、コストの問題もあるだろうが、リュート型の良さをもう少し追求したかった、というのがいちばん大きな理由ではなかったかと思われる。「エリプサ」のノウハウは、キャビネット以外の、もっぱら再現性能に関わることに集中したのであろう。

サイズはわずかに変わって、横幅が300mmから350mm、高さが1100mmから1120mm、奥行きが460mmから565mm、重さは36.8kgが36.5kgとなっている。少し大きくなって体積は増えているが、重量はほとんど変化していない。

大きく変わったのはドライブユニットで、これは全ユニットが一新された。トゥイーターは、リングラジエーター方式を取り入れたユニットに変更。ミッドレンジは振動板がブラック・ウッド・ファイバーコーンに変更。ウーファーはアルミとマグネシウムのメタルコーンに変更、という具合である。もちろん、これらの素材に最適な磁気回路も新たに設計され、クロスオーバーネットワークも新たに開発されている。

クレモナ・シリーズの製造現場

これらの変更によって、「クレモナM」は初代「クレモナ」に比べ、高音域の伸びやかさが増し、中音域の密度感と解像度が向上し、低音域には瞬発力と力強さが加わった。滑らかだが淡白に過ぎることなく、音楽に寄り添って時に深く時に濃密、そして響きは爽やかだが深々とした味わいを失わず、まるで光沢を放つ絹のようにしなやかな初代「クレモナ」の再現性の本質はそのままに、性能(オーディオ的特性)を向上させたといっていいだろう。

さらに細かい部分では、スパイクがより堅牢になり、前面のグリル形状は、アマティ・アニバーサリオと同様のデザインに変更されている


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