フランス、フォーカル社の「JMlab Electra1000Beシリーズ」のスピーカーについては、本欄2006年7月26日掲載の第41回 で、フロア型の「1027Be」とブックシェルフの「1007Be」を紹介したので、そちらも参考にしてください。
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| 堅固な堂々たるキャビネットのイメージは華麗だ |
今回はこのシリーズの最上級モデル「1037Be」を聴いてみることにした。なお、フォーカル社製品は、日本での発売元がノアからロッキーインターナショナルに代わったので、詳細チェックや問い合わせなどの際はご注意ください。
JMラボのスピーカーは、1980年フランス中部の町サン・テチエンヌに創設されたフォーカルの製品。同社の総帥はジャック・マユール氏。同社は高性能ドライバー・ユニットの設計・製造の一貫メーカーとして世界各国で高い評価を獲得している。近年のオーディオ製品は分業化が進み、たとえばスピーカーなら、ドライバーユニットひとつとっても、振動板素材や磁気回路は、それぞれを得意とする別会社が生産し、開発メーカーがそれらを組み立て、チューニングして完成品に仕上げる、ということが多い。
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| ネットをつけた時と外した時の違いはこうなる |
しかし、フォーカル社はダイアフラム(振動板)の素材開発から、ドライバーユニット、キャビネットの設計・製造、そしてネットワークの組み上げなど、スピーカー設計のすべての工程を自社で手がけることができる世界でも珍しいメーカーなのだ。マルチチャンネル再生用のセンタースピーカーやリアスピーカーから、巨大なフロア型システムまで、フォーカルが、常に個性的で優れた再現力をもつスピーカーを生み出し続けているのは、そうした、全工程一貫製作が可能な技術力と製造能力が備わっているからなのである。
JMラボのスピーカーが日本に紹介されたのは、それほど古いことではない。本欄案内人は、1991年1月のラスベガスで行われた「CE(コンシューマー・エレクトロニクス)ショー」で、初めてその製品を目にした。その翌1992年から、昨年までの発売元であった株式会社ノアが日本発売に踏み切ったのである
その最初に目にしたモデルから最新モデルまで、JMラボの特徴はあまり変わらない。まず第1点は、非常に堅固なキャビネット。外側だけではない、目に見えない内部も非常に強度が高く、有害な定在波の発生を抑制する工夫が凝らされている。新しいスピーカーとして、静電型やリボン型、あるいは特殊な金属素材による平板ユニットによる、薄型スピーカーが台頭しつつある80年代後半のなかで、JMラボの質実剛健ともいうべきキャビネットは、むしろ異彩を放っているようにも感じられた。
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| 色違いモデルも用意されている |
そして、第2点はポリケブラー系の、黄色っぽいダイヤフラムを装着した強力ドライブユニットである。ケブラー系の素材は、すでにB&Wでもお馴染みだったが、JMラボはこの素材に相当な可能性を見、愛着をもっているようにみえた。しかしこの15年間、基本素材は同じでも、その構造や磁気回路との連携などには、常に総合一貫メーカーとして研究を怠らず、改良改善が加えられている。
さらに第3点はその再現性の本質の一貫性である。外観の力強さから推測されるとおり、JMラボの再現性の最大のポイントは、明確さ、である。一粒ひと粒の音が、はっきりとその存在を主張し、その上で豊かな音の広がり(=音場感)を作る。ちょっと聴くといかにも豊かな響きに感じられるが、実際は音像があいまいな再現性とは次元を異にするものなのだ。
これらの基本的な特徴は実に頑固と思われるほど、同社の製品には一貫している。その基本路線の上に、リファレンスモデルとして、「Utopia Be シリーズ」の製品群があり、そして今回ここに登場する「Electra1000 シリーズ」のラインナップがあるのだ。なお、末尾の「Be」はトゥイーターの振動板がピュア・ベリリウムであることを示している。



