真空管アンプはトランジスタアンプに比べると、真空管が魅力のある形をしているだけに“見せやすい”。ポンと天板上部に並べるだけでもサマになる。しかし、そういってはデザイナーのお叱りを受けることは間違いない。見せ方の工夫はそう簡単なものではないのは当然だ。そういう観点から、C.E.C.の「TUBE53」を見ると、これはまさしく才能が作り上げたデザインである。
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| 「TUBE53」の真空管カバーのガラスは曲面加工が美しい仕上げで印象的 |
真空管を見せるというのは誰でもすぐに浮かぶアイディアだが、これに曲面加工を加えたガラスケースに入れる、というのは、誰にも浮かぶものではない。しかも仕上がりは写真でご覧のように、実にエレガントで美しい。ガラス板が平板ではなく曲面になっているところが、ニクイのである。職人が1枚1枚手仕事で仕上げたガラスカバーだという。そうでなければ、この高級ブティックのショーウィンドーのような精妙な感触と雰囲気は得られなかったであろう。まさに遊び心にあふれ、所有欲を掻き立てる。うん、惚れ惚れしてしまう。
真空管アンプの魅力は第一には、もちろん「音」だが、真空管を見せるデザインも大いに音に関わっている。スイッチをいれて赤く灯った真空管は、なぜか見る者の心を和ませ、男心にジーンと響く(女性オーディオファンはお許しを!!)。遠い昔、遊びつかれた夕方の暗くなり始めた西空。あの夕焼け空が目に浮かぶような郷愁を感じる。母の柔らかな胸元の甘い匂いが立ちのぼってくるような気がしてくる。この小さなガラス管の中では、電子が激しい運動しているというのに、見る者はとてつもない安らぎを感じるのである。
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| 通電して輝く出力管「6L6GC」 |
出力管は「6L6GC」で、これは1930年代にアメリカのRCA社が発売した「6L6」が原型。これを安定性と信頼性を高めてバージョンアップしたものである。コンパクトだがハイパワーでハイスピード。デジタルソースの再生にも十分応えることのできる性能をもっている。4本の「6L6GC」は、左右チャンネルそれぞれ2本をプッシュプルで使用し、自己バイアス回路を組み込むことで、長寿命化も図られている。
真空管アンプのもう一つの音の決め手である出力トランスには、熟練技術者の手作業で仕上げられた特製仕様のオリエントコア材が使用されている。このトランスの優秀さが真空管「6L6GC」の実力と融合されて、重量感のある低音域、密度の高い中音域の再生に大きな効果を発揮しているのだ。このほか、特性のすぐれた電源トランスや高音質ボリュームの採用、コンデンサーや抵抗にもローノイズの高級パーツを厳選するなど、周到な設計がされていて、現代アンプとして高く評価できる仕上がりとなっている。
ここでレフィーノ&アネーロの金子さんのお話を聞いてみよう。
――C.E.C.は、日本のオーディオ・メーカーなのですが、よく海外メーカーと勘違いされることが多いようです。製品のデザインがどこか洋風な感じがするからでしょうか。海外製品の輸入も行なっているからかもしれません。
1954年に中央電機株式会社としてスタートし、当時からレコードプレーヤー用フォノモーターをC.E.C.ブランドで開発していました。1961年には埼玉県東松山市の工場で本格的にレコードプレーヤーOEMメーカーとしての地位を固め、1985年からは自社のCDプレーヤーの生産も開始しました。そんな経緯からC.E.C.はプレーヤーのメーカーとして有名ですが、特に1991年に発売したベルトドライブ方式のトランスポートは話題になりました。
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| 「TUBE53」のバックパネル |
今回ご紹介する「TL53Z」は、まさにそのベルトドライブ式の最新モデルで、独自のベルトドライブ・メカニズムを搭載したCDプレーヤーとなっています。CDを天板部分のふたを開けてメカの上に乗せるトップローディング方式で、CDを回転させる機構はアナログプレーヤーのベルトドライブ方式を採り入れているのです。これによって、モーターから発生する振動や電磁ノイズをシャットアウトして、信号を余すことなく忠実に読み取ることができるんですね。通常はモーターで直接駆動するわけですが、ベルトを介することでモーターが音に与える影響を回避しているのです。
このC.E.C.のベルトドライブ式CDプレーヤーには、コアなファンがたくさんおりまして、絶大な支持を集めています。音に艶やかな質感があるというのが、その理由としてよく聞かれます。
今回は同じくC.E.C.から発売された真空管アンプ「TUBE53」を、「TL53Z」に組み合わせてみました。小型の筐体デザインが同じコンセプトで作られているので見た目にもキレイです。「TUBE53」は、無垢のアルミを贅沢に使用した精悍でスリムなボディが印象的で、中の真空管が見られるようになっている曲げガラスカバーは、職人さんが1枚1枚手仕事で作り上げるものだそうです。
音は、真空管としての味わいを残しながらも、現代のデジタルソースの魅力を十分に引き出せるような仕上がりになっています。真空管も別売され、安定供給も確保されているので、安心してお使いいただける製品としておすすめします。――



