手ごろなサイズと価格で、音のいいアンプはないだろうか、と悩んでいる人は多いのだが、いろいろとカタログを見たり、お店で実物を見ても、一長一短、なかなか決められないものである。そこで今回は、6〜10畳の部屋サイズでお薦めの製品を紹介しようと思う。
それはずばり、マランツのプリメインアンプ「PM-13S1」である。2007年3月発売の新しいモデルである。なお、同じシリーズには上級機に「PM-11S1(税込367,500円)」下位モデルに「PM-15S1(税込157,500円)」がある。そして、このシリーズにはコンビとなる、SACD/CDプレーヤーも同じように3モデル用意されている。
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| 試聴スペースにセットされたマランツのPM-13S1、SA-13S1 |
このように、シリーズとなっている製品を選ぶ場合は、予算に制限がなければ最上位モデルを選ぶというのが、案内人の方針である。しかし、今回はあえてその方針を捨てて、真ん中のモデルをオススメしたい。というのは、この「PM-13S1」は非常によく出来ていて、使用する部屋の大きさが、10畳以下であれば、十分に最上位モデルに負けない再現力があると信じるからである。もちろんコストパフォーマンスの面からも有利であることはいうまでもない。あわせて、プレーヤーも買うのであれば、同じクラスの「SA-13S1」で問題ない。
「PM-13S1」は、このシリーズ共通の外観デザインだが、どうしても陳腐になりやすい四角い金属の箱を逆手にとって、重厚な雰囲気が漂うゴージャスな仕上げになっているところが魅力だ。前面パネルのツマミの大きさや配置もさりげなく工夫がこらされていて、ブルーのイルミネーションも心憎い処理だ。堂々たる体躯でありながら上品さを失わない。これならオーディオに理解のない女性にも嫌われないだろう!?
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| 「PM-13S1」のフロント・パネル |
このアンプのオススメのキーポイントは、基本性能の充実、そしてマランツの伝統をキッチリと受け継いでいる点である。回路上のあるいは部品性能の詳細については、マランツのホームページに譲る。優れた回路や部品がふんだんに使われていても、それを納めるキャビネットが貧弱なものでは、その良さは発揮できない。同時に、アンプは電気製品だから、電源部が充実していなくては、どんな回路も実力を発揮できない。基本性能の充実というのは、この2点、キャビネットと電源部がしっかり出来ている、という意味である。
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| 「PM-13S1」の内部 |
写真のうち、トップパネルを外して内部が見えるものをご覧いただけば、そのことがおおよそご理解いただけると思う。
前方左にある丸い大型の部品は、このアンプのために新規に開発されたトロイダル型の電源トランスである。トランスは通常、後方中央か後方右に置かれることが多いので、これはちょっと珍しい配置だ。この位置に決められたのは、アンプ全体の重量バランス、振動モードの解析など、キメ細やかな検討のうえに違いない。
トランスは、アンプを駆動する心臓のような重要な役割を果たすが、同時に振動を発生し、磁力を漏洩して電気的な悪影響を他の部品に与える悪役でもある。しかしこのアンプでは、ケイ素鋼板とアルミケースの二重シールド、コア部をアルミプレートで覆う、ケースには高比重の充填材を封入する、さらにシャーシにはアルミプレートを介して堅固に固定する、などの徹底した対策でトランスの悪役要素を排除しているのだ。こういうと難しく聞こえるかもしれないが、これらの対策は実はオーディオ的には極めてオーソドックスなものなのだ。しかし、その手法にマランツの伝統が生きていて、何をどうすればいい音のために効果があるかを知り尽くしたうえで行なわれているところが、スゴイのである。
次に、中央やや右よりに2列に前後して並んでいるクシ型の物体は、ヒートシンクで、出力トランジスターの発熱を効率よく放熱するための部品だ。このアンプではこれがかなり広いスペースにゆとりをもって設置されている。そして、その真上を覆うトップパネルは網の目状態だから、放熱性は非常に高くなる。温度管理は安定したアンプの動作に非常に大切な要件だから、この形と大きさ、配置となっているのだ。
ここまで内部を見ながら、アンプの主役である増幅回路ではなく、電源部やヒートシンクという、脇役について触れてきたのは、こういう部分にこれだけの手間を掛けていることが、「PM-13S1」の物づくりを明解に物語っているからであり、これが主役回路の実力を発揮させるポイントだからである。



