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もういちどオーディオ 案内人:船木文宏
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2007.8.22更新

Refino & Anhelo注目のシステム 「試聴スペースの主役をクローズアップ」 83.ラックスマン「NeoClassico series」を聴く

TUBE INTEGRATED AMPLIFIER SQ-N100 価格 189,000円(税込)
CD PLAYER D-N100 価格 126,000円(税込)
SPEAKERSYSTEM S-N100 価格 123,900円(ペア/税込)

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お手頃価格で本格的真空管サウンドを

日本有数の高級オーディオ機器メーカー、ラックスマンから、操作性はシンプル、形はコンパクトで実に美しい、注目すべき真空管アンプを含む新しいシリーズが登場した。そこで少しラックスマンの歴史を振り返ってみよう。


ラックスマンは1955(昭和30)年から“ラックス”真空管アンプのキットを扱っていたという、真空管アンプでは老舗中の老舗である。製品としては1958年のモノーラルアンプ「MA7A」が最初期のものだ。価格は大卒初任給が数千円の時代に、37,000円だから相当高額であった。

この58年には日本ビクター、日本コロムビアからステレオレコードが発売されて、次第にレコードはステレオ時代に入っていく。“ラックス”の最初のステレオアンプは、1961年の「SQ5A」で価格は38,000円。この年、社名を“錦水電機工業株式会社”から“ラックス株式会社”に改めている。“ラックス”はラテン語の「LUX=光」に由来する。
  そのころオーディオファンの多くは、何とか安い部品を手に入れて、あるいは中古機から部品を取り出し、ハンダごて片手にアンプや高性能ラジオを組み上げるという時代であった。日本はまだまだ貧しく、オーディオ機器やレコードは贅沢品であったのだ。ましてや性能の良さで評判だった“ラックス”のトランスや、その配線と仕上げの美しさに溜息が出た完成品アンプは、文字どおり“高嶺の花”で、簡単に手に入るものではなかった。

SQ-N100
     やはり真空管アンプは美しいなあ、と思わされる「SQ-N100」の正面姿。

“ラックス”はその後さまざまな製品を世に送り出してきたが、オーディオファンの記憶に強く残るアンプは、1963年発売のプリメイン型真空管アンプ「SQ38」であった。これは翌年東京オリンピックの開催に合わせるかのように、9月にグレードアップして「SQ38D」となった。使用真空管は12AU7×2、12AX7×3、6267×2、6RA8×4。アルミのボディを木製の枠で囲った外観デザインの重厚さ、スイッチ類の大きさや配置に細やかな神経が行き届いたパネルデザインの斬新さが、多くの人の憧れの的となった。もちろん音質面でも、出力段を3極管にして、徹底的に磨き上げられた初期“ラックス”アンプの傑作であった。

しかし、“ラックス”は真空管に特化したメーカーではなく、トランジスターが主流になってからは、やはりラックスマンならではとファンを唸らせるアンプを続々と発売してきた。そしてデジタル時代に入ると、その最初期から、独自のD/A変換理論に基づく優れたCDプレーヤーを開発するなど、今日まで日本オーディオの牽引車として活躍してきた。


真空管保護のカバーをつけた正面図。安全のためには
このほうがいいだろう

さて、時移り事去って21世紀。パソコンによる音楽配信、携帯デジタルオーディオプレーヤーが全盛の今日、室内でスピーカーから音を出して聴くオーディオの楽しみは、かつてほどの人気はなくなったとはいうものの、最近は次第に中高年層を中心に本物志向の音楽オーディオファンが増えてきつつある。いくら電子技術が発達しても、人間の生理や心理が変わってしまうわけではないから、コンサートホールやライブハウスの音を、自分の部屋で再現したいという、人間の自然な欲望は再び目覚め始め、それに応える製品も少しずつ目に付くようになってきたのである。
  しかし、そのような臨場感にあふれた音楽を再生しようとすれば、機器は必然的に高級機となり、一般的な消費財のように数多く売れるものではないから、価格もまた当然に高いものが大半を占めるということになりがちだ。


SQ-N100 top
真上から見た「SQ-N100」。メインシャーシー前部のスイッチの配置がいい。入力セレクタースイッチの細いバーなんかニクイねえ
SQ-N100 rear
後姿。いい機械は後姿もいい。端子の間隔も18ミリあって扱いやすい

そんな悩み多いご時勢の中で、救世主のように登場したのが、ラックスマンの新シリーズ「NeoClassico series」である。CDプレーヤー、プリメインアンプ、スピーカーというラインナップだが、その主役は真空管アンプ「SQ-N100」である。型番に伝説的名機の「SQ」が与えられていることからも、その意気込みが感じられる。まず写真でその姿をご覧ください。う〜ん、やっぱり真空管アンプって、いいカタチをしてますね。
  トランジスタ(ソリッドステート)アンプだと、どうしても横長の直方体になって、どこから見ても2次元的平板に陥りやすいが、真空管アンプだとこのように、いろいろと3次元的に造形できるのだ。主要回路を収納したボディの上に屹立する真空管たち、そしてその背後を固めるトランスケース。真空管保護のためのカバーは着脱可能だが、この「SQ-N100」の場合は外したほうが美しい。その代わり取り扱いには十分注意が必要だ。

メインシャーシ正面に見える大きいツマミはボリューム。そして上から見た写真でなければ見えないが、メインシャーシ上部の手前に置かれた、3つの丸型スイッチの配置が憎い。左は入力セレクターだが、これに細いバーがついているところが、何とも、いい。これを親指と人差し指で、ちょいとはさんで左右に動かす感覚、これが何とも男心をくすぐるのであります!! 

その右手にある、やや小ぶりの2個の丸型スイッチは、トーンコントロール(以下トンコンと略称)で、バスとトレブルを独立して調整できる。昔からトンコンは是か非かなんて議論があったけれど、当ページの案内人は、トンコン必要説に組する。部屋の音響条件の違い、録音状態の違いなどの不確定要素を考えれば、純粋派のトンコン不用派には賛成できない。そういう意味からも、今回のラックスマンの設計方針は、ユーザーフレンドリーだといっていいだろう。


SQ+D
    同じシリーズのCDプレーヤー「S-N100」を横に並べるとこうなる

見かけだけではない。往年の「SQ38D」に搭載したものと同径同タイプとして、安定感のある再現力を得ているのを初め、いろいろな部分にラックスマンのノウハウが生かされている。あえて平凡な言葉を連ねるしかないのが悔しいが、その滑らかな音肌の風合いは真空管アンプならでは。同時に、ダイナミックな音の動線は、高僧が墨痕鮮やかに一気に書き上げる、「○」や「一」の字のように、力強く先鋭だ。

価格が税込み189,000円というのは、このオーディオ的実力と、道具としての美しさから考えると、非常に適切、というよりも、はっきりいって、安い。お買い得とはこういう製品のためにあるといっていいだろう。

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