オーディオ機器の中には、見るだけでうっとりとしてしまうほどマニア心をそそられる製品というものがある。人の感受性や好みは多様だから、誰にも共通するものではないが、たとえば、ステューダーのCDプレーヤー、オラクルのアナログプレーヤー、マッキントッシュやジェフロウランドのアンプ、ウィルソンオーディオやソナスファベールのスピーカー…。アメリカの「CHELLO(チェロ)」のアンプもそういった輝きをもつ製品の代表的な存在だ。
マークレビンソンといえば、高級オーディオ機器ではアンプの代表的なブランドだが、その最初の製品を送り出したのが、Mark Levinson(マーク・レビンソン)氏であった。彼はその後、アンプのブランドとして自身の名を残し、同社を去って新たなブランドのアンプを生み出した。それが「CHELLO」である。そのアンプは極端にいえば、アルミの厚い削りだし材をボックスに組み立てただけという感じのキャビネットで、フロントパネルには丸いツマミが必要な数だけ横一列についているのみ、というシンプル極まりない外観デザインであった。
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| プリアンプ「Cadenza」 |
しかし、そのアンプは何とも形容し難い“オーラ”に包まれていた。そこに信号を流し込めば、神の手にかかったように、音の一粒ひと粒が霊気の中から立ち上るに違いない、と思わせる“魔力的魅力”が感じられた。単に丸いツマミ、その周囲に刻まれた目盛り、ただそれだけなのだが、それはまるでアナログ高級腕時計の文字盤か、航空機のコックピットの計器盤と同じように美しかった。ほかの多くのモデルのようにカラフルなメーターやインジケーターもない、アルミのパネル上にいくつかのツマミが配置されているだけ…ただそれだけなのに、見るものを陶然とさせてしまう、そんな美しさに輝いていたのである。こういう製品に出会うことは、それを購入できるかどうかは別にして、音楽を自分の理想とする音で聴きたいと願う人にとっては、一生の間に一度あるかないかというほどの、掛け替えのない“シアワセ”なのだ。
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| モノーラル・パワーアンプ「Forte」 |
さて、今回ボンビバンでは初めて紹介する「VIOLA」というブランドは、実は「Mark Levinson」と「CHELLO」の伝統を色濃く受継いでいる。設立の場所も1972年にマーク・レビンソンが創業したのと同じコネチカット州である。そして、「VIOLA」は、2つのメーカーで製品開発にあたってきた、トム・コランジェロ(Tom
Colangelo)とポール・ジェイソン(Paul Jayson)の2人によって興されたメーカーなのである。
冒頭に述べた、オーラを放つ輝かしい「CHELLO」のアンプ開発にも、2人は深く関わってきた。そして、トム・コランジェロがVIOLAで最初に開発したのが、パワーアンプ「Bravo」であり、ポール・ジェイソンのVIOLA最初の製品はプリアンプ「Sprito」であった。VIOLAの製品は2人の天才の緊密な連携によって生まれているのだ。しかもそれが、30年にわたってオーディオファンの心をとらえ続けてきた、優秀機の代名詞ともいうべき2大アンプブランドの血筋をまっすぐに引くものであるところが、なんとも嬉しい。
何はともあれ、ここでは今回の主役、プリアンプ「Cadenza(カデンツァ)」、パワーアンプ「Forte(フォルテ)」の姿を写真でご覧ください。はっきりと、「CHELLO」の延長線上にある製品であることがわかる。


