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もういちどオーディオ 案内人:船木文宏
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2007.4.25更新

Refino & Anhelo注目のシステム 「試聴スペースの主役をクローズアップ」 70.70 SONYの最新大型スピーカーを聴く

SPEAKER SYSTEM SONY SS-AR1 価格 1,785,000円(ペア/税込)
PREAMPLIFIER Burmestar 035 価格 1,312,500円(税込)
POWER AMPLIFIER Burmestar 036 価格 1,312,500円(税込)
CD PLAYER ESOTERIC UZ-1 価格 630,000円(税込)

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さすが、国内大手メーカーの実力を示す本格派

国内大手のオーディオメーカーは、このところ本格的なスピーカーから遠ざかっていた感がある。「ダイヤトーン」の三菱が一時撤退した前後から寂しい状態が続いていたのだが、今年に入ってまずパイオニアが、「TAD Reference One」という、ウーファーを2個使った、3ウェイ4スピーカーの大型スピーカーを発売して、本格派スピーカー製作回帰に先鞭をつけた。この製品は、高さ1,293mm、重量150kg(1台)、ペアで3,150,000円(税込)と、サイズも価格も国内製品としては、かなりの本格派だ!! 価格があまり本格的になるのはにわかに歓迎できない(!!)が、実はサイズと重量はスピーカーの基本的な再現力に大きな影響がある。

レフィーノ&アネーロ1階右手奥のスペースにセットされたソニーの本格派大型スピーカー「SS-AR1」
レフィーノ&アネーロ1階右手奥のスペースにセットされた、ソニー久々の本格派大型スピーカー「SS-AR1」

現実の使用条件を無視すればという条件でだが、スピーカーは「豊かな再現力を得るには、大きくて重いほうが有利」というのは公式に近い真実である。限りなく静寂な空間からほのかに立ち上がる声や楽器の小さな音から、大地を揺るがすような大太鼓の乱打や、100人を超えるオーケストラの壮大な咆哮、ライブハウスの全空間を飽和させてしまうほど強烈なロックサウンド、これらを実際の音に近いサウンドイメージで臨場感豊かに再現するには、大きなバッフル(ユニット取り付けのボード)と、出来るだけ多くの中低音域用大口径ニット、強靭な高音域小口径ユニットが必要なのである。

したがって、スピーカー製作は、現実の使用スペースに適するサイズで、いかに忠実度の高い再現力を得るか、という厳しい条件下に置かれているのである。そういう意味では、スピーカー製造は、小型化の中での高音質追求が最大のテーマだ、といっても過言ではない。どんなに大きくても重くてもいいのなら、困難の過半は解消できるのである。

現実には“一般的な家庭で使う”というサイズ、“一般のファンが購入可能な範囲”という価格、この2つの制約のなかで、スピーカーは作らなければならない。その制約の中でよく売れるものが、いわゆる“売れ筋”の製品ということになるのだが、ときには少し売れ筋を超えて、大型本格派を作りたいという“野望(!?)”を、メーカーもエンジニアも、またあるときは販売店も、もつことがある。できるだけいい物を作りたいし売りたいのが人情ですからね。

というわけで、90年以降、大型スピーカー製造を“やむなく控えていた”国内メーカーが、嬉しいことに、そろそろシビレを切らして、ムクムクと野望に火をつけ始めたようなのだ。それが、冒頭のパイオニアの「TAD」であり、今回紹介する、ソニーの「SS-AR1」である。


スピーカーの性能に大きく関わる要素は、ほぼ以下の4項目に集約される。「キャビネット」「ユニット」「ネットワーク」「外観デザイン」である。ソニー久々の本格派大型スピーカー「SS-AR1」はこれらの項目で、どのような特徴を見せてくれているのだろうか。詳細はホームページをご覧いただきたいが、要点をまとめておこう。


1)キャビネット
「SS-AR1」の上部
上部から見ると、キャビネットの形がよくわかる。両サイドの丸みは美しさのためばかりではなく、内部で不要共振が発生するのを抑制する効果がある

ユニット取り付けの前面バッフルには、北海道産の楓材で厚さ50mm。寒冷地で育った密度の高い木材が、音にいい効果をもたらす、というのがウリである。側面部にはフィンランド産の樺材を使用している。2種類の硬度や密度の違う木材を組み合わせることも、不要振動や不要共振を抑えるのに効果がある手法だ。キャビネット内部の補強材の使い方、定在波の排除などには、これまでのソニーの蓄積技術が総動員されている。

2)ユニット
「ユニット」というのは、かつては「スピーカー」ともいわれていたもので、音を出す大もとの道具である。多くは磁気回路と振動板、それらの支持機構からできている。「SS-AR1」は3ウェイだから、3種類のユニットが使われている。高音を受け持つトゥイーターは、25mm口径のソフトドーム。外観はお椀型をした、硬質金属ではない素材による一般的なものだが、ユニット背面の空気の流れを最適化するとか、振動板の接着方法、エッジとの一体設計などの工夫によって、不要な振動を排除し、素直な超高域の伸びやかさを得たという。公表スペックでは60kHzまでとなっている。
SS-AR1W取り付け部
ウーファーを外してキャビネットの中を覗いた。補強材の使い方、ユニットの背圧を抑える工夫などがうかがえる
SS-AR1Rear.
ケーブル接続端子と、バスレフポートの開口部。素材の良さと丁寧な仕事がキラリと光る

次に中音域のユニットだが、これは130mm口径のコーン型。素材は「スライスペーパー」というから、クセの少ない紙系の素材であろう。これもごく一般的だが、振動板は一度切ってから接着しているそうで、これが“スライス”の意味だろうが、不要共振を抑えるのに効果があるそうだ。また、ユニットにかかる背圧も抑えて、音場空間の再現力を高めている。

最後は低音ユニット。これは200mm口径のウーファーを2個使っている。振動板素材はアルミ。大きな口径のウーファー1個を使う方法と、このように比較的小さめのウーファーを2個使うのは、どちらが有利かは、設計者の考え方にもよる。しかし、口径が大きくなると再現低域も下がり、音圧も大きくとれるが、大きな振動板を均一に動かすことが難しいし、これを収納するキャビネットも大きくなる。そういうわけで、400mm口径のウーファーを1個使うより、200mm口径2個のほうが有利とソニーは考えたのである。もちろん2つにする不利もあるわけで、その対策については入念だ。

3)ネットワーク

3ウェイなので、再生周波数帯域をそれぞれに分割して給電する、ネットワーク回路の質は、最終的な再現力に大きな影響があり、設計者の技術力が問われるところだ。メーカーの資料からは肝心なことが読み取れず、もどかしいが、帯域分割スロープに一般的なものより高度な工夫がありそうだ。興味のある方は、メーカーに問い合わせるか、お店の係員に聞いてほしい。


4)外観デザイン
「SS-AR1」は、一般的にトールボーイという、横幅が狭くて高さがあるタイプだ。海外の大型機には、ウーファー2個を横に並べて取り付けて、横幅を大きくとったタイプも多いが、国内大型機は比較的トールボーイタイプが多い。これは日本家庭のサイズを考慮して、スペースファクターを良くする狙いもあるが、音の拡散をナチュラルにしやすいという音質的長所も見逃せない理由だろう。前面バッフル周囲の樺材に上方が細くなるテーパーをもたせているのも、音響効果の向上と同時に見た目の柔らかさも図られている。キャビネット全体はピアノ塗装され高級感をかもし出している。無駄なくすっきりした外観デザインは好感がもてる。57kgというかなりの重量級だが、見た目は鈍重ではない。


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