2月13日掲載の本欄で「超高性能DACを超弩級システムで聴く」と題して、スイス「オルフェウス・ラボラトリーズ」のセパレート型D/Aコンバーター「Heritage DAC」を紹介した。たかがCD、されどCD、である。12センチのディスクに刻まれたデジタル信号を、アナログ信号に変換するだけで、30kgの物量と400万円オーバーの価格!! しかし、オーディオは実用品というよりも、夢を追い求める趣味の世界のものだから、コストや物量を気にしてはいけない。とはいうものの、スピーカーではなく単に「DをAに変換する」だけの役割だから、驚かずにはいられないのが人情というもの。
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| CDプレーヤーとプリアンプを重ねると、ボックスがまったく同じ1Uサイズなので、一体化して一つの美しい機器に見える |
オルフェウスといえば、詩と音楽の女神カリオペの子にして竪琴の名手。父アポロンからもらった竪琴を弾くと、どんな獰猛な動物もおとなしくなったという。後に妻となったエウリディーチェが毒蛇に咬まれて死ぬと、彼女を救いだそうと冥界に行く。竪琴を弾いて冥界の神の側近たちの心を奪い、地上に戻るまでは絶対に妻を振り向いてはならない、という条件で冥界の王から妻を返してもらうことになった。しかし、途中でその条件を破ってしまい彼は妻を永遠に失ってしまう。動顛したオルフェウスは森を彷徨い歩き、酔いしれた女たちに石で打ち殺され、八つ裂きにされてしまう。後に体は音楽の女神たちが森に埋め、竪琴は大神ゼウスが大空に掲げて、琴座(リラ)となった。このロマンティックなギリシャ神話のオルフェウスが、社名「オルフェウス・ラボラトリーズ」となり、「竪琴」が製品に刻まれるエンブレムとなって、機器に刻印されている。
DAC紹介でご案内したとおり、「オルフェウス・ラボラトリーズ」は、高度なデジタル関連技術で知られる「アナグラム・テクノロジーズ」から、その技術を活かした製品作りをする部隊として独立したものである。アナグラム、オルフェウスという言葉は、それぞれ「デジタル技術」、「情念と音楽」に通じるものであり、この集団のオーディオにかける情熱が熱く込められているように思う。そしてそのトータルイメージを象徴するのが「竪琴」なのである。七夕伝説の織姫として日本でも広く知られる、1等星「ヴェガ」は夏の夜空に、青白く冴え冴えと輝く美しい星だ。そのヴェガを主星とする琴座は、北半球で見られるもっとも美しい星座のひとつである。
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| 試聴室でB&Wの「802D」と組み合わされた オルフェウスの機器 |
話が少し横道にそれたが、今回はそのオルフェウスのCDプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプを組み合わせて聴いてみよう、という趣向である。そこで悲しいかな、気になるのが「価格」である。なにしろ最初に知った「Heritage DAC」の印象があまりに強烈だったので。しかし、資料を見て少し安心した。100万円弱〜130万円台で、決して安いとはいえないが、手の届かないというレベルではない!!
どうか心穏やかに、この先を読んでいただきたい!!
まず、レフィーノ&アネーロの金子さんの説明を聞くことにしよう。
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| 次の機会にはあの「Heritage DAC」につないだ音をお聴かせしたいという金子さん |
オルフェウスは、エレクトロニクスの技術者が集まってオーディオ機器を作っているスイスの会社ですが、1Uサイズ(19インチラックマウント対応のサイズ)の製品づくりにこだわっていまして、今回紹介する機器もプレーヤーからプリアンプ、パワーアンプまですべて1Uサイズです。操作系は実にシンプルな作りになっていまして、洗練された感じがしますね。ただ、リモコンは必要だと思うのですが、何故か別売という扱いになっています。
CDプレーヤーは、トップローディング方式で上部のアルミの板をスライドさせると、ディスクホールドとピックアップの部分が見えてくるという構造になっています。この板は手動でスライドさせるのですが、このあたりはアナログ的で面白いですね。モーターで動かしてもいいんじゃないかという意見もあるでしょうが、私はあえてこういう構造を選んだユニークさを買います。ピックアップ周辺には、なるべく振動の発生源になるものは置きたくないですからね。
CDプレーヤーの「ZERO P」とCDトランスポート「ZERO D」の2種類が発売されています。CDトランスポートを前回紹介した「Heritage DAC」と組み合わせるとどんな音になるのか、とても興味深いのですが、残念ながら私はまだ聴いていません。これからの楽しみにとっておきます。今回のシステムではCDプレーヤーの「ZERO P」を使っています。
プリアンプ「ORPHEUS TWO」は、設定を変えるとマルチチャンネル・プリアンプとしても使えるようになっています。完全バランス構成回路で、音質に影響を与えるリレーやスイッチングパーツは一切使わず、入力毎にレベルコントロールを可能とするオペアンプが搭載されています。
パワーアンプ「ORPHEUS THREE M」は、このような小さな筐体ですが、8Ωで150Wの出力があるモノーラル・アンプです。
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| 通常のラックにセットするとこうなる。重ね置きよりもこのほうが音のためにはいい |




