3モデルのラインナップを同時に発売するというところにも、ナグラの強い意欲と自信が窺える。満を持して発売するCDプレーヤーなのである。いま組んでいるシステムがどんなものであっても、3タイプ用意しておけば、それぞれの人が現用システムに合わせて無駄なく選ぶことができるはずだ、という配慮があってのことだろう。
しかし、悩ましいところもある。というのは、すでに一定のオーディオシステムをもっている人なら、当然プリアンプなりプリメインアンプをもっているわけだから、一般的なプレーヤーと同じ仕組みの「CDP」を選ぶのが順当だ。また、トランスポート部とDAコンバーター部が別ボックスになった、セパレートタイプのCDプレーヤーを使用している人なら、とりあえずはトランスポートの「CDT」を選ぶのが普通だ。
何を悩む必要があるのか、順当と思われる選択をすればいいじゃないか、と考えるのは、男心に響くオーディオに縁無き衆生である !! どうも、ナグラを前にすると、ついつい興奮してしまうのであるが、前ページで金子さんも思わず吐露しているように、機械の魅力にひかれやすい男としては、やはりプリアンプ機能をもった「CDC」に男心が戦(そよ)ぐのである。
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| こうして並べると、「CDC」(写真左)の魅力がよくわかる。右は「CDP」 |
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「CDC」と「CDP」が横に並んだ写真をご覧いただけば、一目瞭然。ナグラらしい機器の魅力は断然「CDC」にあるのだ。単独で「CDP」を見せられたら、何の問題もなかったかもしれない。しかし、ひとたび「CDC」を見てしまうと、「CDP」の外観は何かを装着し忘れたかのような寂しい感じがするのである。それほど、メーターとボリュウムが配置されたパネルは美しいのである。発売元のホームページには、次のようなメーカーメッセージが掲示されている。
フロントパネルに配置されたユーザーの手に触れるスイッチやノブなどは、Nagraの50年を超える経験を存分に生かした、人に優しく機敏に反応する人間工学を感性で磨き上げた作動感を約束します。各スイッチの操作性は心を和ませる魅力さえ備えていると申せましょう。
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| ナグラのプリアンプ「PL-L」。これまた男心をくすぐるメカっぽいデザインだ |
う〜ん、まったくそのとおりなのである。見れば見るほど欲しくなる。手許に置きたくなる。それともう一点。ナグラは、CD再生の“可能性を極限まで追求”しようとして開発にあたり、“愛情と技術を注げば、CDの可能性を大きく高めて、非常に高品位のオーディオ再生を行なえることに自信を持った”といっている。その成果をもっとも理想的な形で集約し、発揮できるのは、プリアンプ内蔵タイプではないのか、と思うのである。
高精度なデジタル領域での作業を終え、その信号を受け取って、生き生きとした音楽に復元するのは、プリアンプ以降の領域になる。その際に、プリアンプの役割は非常に大きいので、ナグラの狙った音を聴こうとすれば、どうしてもプリアンプもナグラにしたくなるのである。どうしても「CDC」にひかれてしまう。
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| ピラミッド形状のユニークなナグラのパワーアンプ「PMA」 |
すでに、ナグラのプリアンプ「PL-L」をもっている場合は、「CDP」で問題ない。見た目の寂しさは「PL-L」が引き受けてくれるので、今度は「CDP」の簡潔なフロントパネルが引き立つのである。もちろん、どのタイプを選んでも、ナグラらしさを楽しむことができるのだが、今回は機器の物理的な美しさに、あえて悩んでみた。最近「人は見かけが90%」なんていう、妙なタイトルの本がベストセラーになっていたと記憶するが、オーディオ製品も外観の美しさは、製品の本質とつながることが多いのである。悩ましい。
現在の接続機器は、金子さんの説明にあったとおり、プリアンプがナグラの「PL-L」、パワーアンプもナグラで、四角錐形のモノーラルタイプ「PMA」。スピーカーがルーメンホワイトの「シルバーフレーム(ダイヤモンド・トゥイーター装着)」。
「PL-L」はナグラのフォノイコライザ付きプリアンプ「PL-P」を、ライン入力専用に改良したモデル。増幅素子は特別に選別された最高グレードの真空管3本だけという、シンプルな回路を採用している。
入力は4系統。ナグラの伝統的な美しい高精度モジュロメーターを搭載し、出力レベルを正確にモニターすることができる。 ナグラらしい魅力にあふれた外観デザインだ。![]()
「PMA」はピラミッド形状が珍しいナグラならではのパワーアンプ(モノーラル、ステレオの「PSA」もある)。この形は単にデザイン的な美しさを求めただけのものではなく、振動に強く、機械的強度や剛性を高めた無駄の無い先進的な構造であり、内部回路を確実に支持しているのだ。出力素子はアルミダイキャストのベースにMOSFETを装着し、ヒートシンクに最適な放熱効果を得るため50度の角
| 度を持たせているのにも、この形が生かされているのである。なお、「PMA」は本欄の新製品情報で紹介したのでそちらも参考にしていただきたい。 スピーカーのルーメンホワイト「シルバーフレーム」については、本欄2006年6月28日掲載の「35 今、まさに旬の最高レベルのサウンドを聴く ルーメンホワイトのシルバーフレーム」をご覧いただきたい。
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