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もういちどオーディオ 案内人:船木文宏

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2007.3.14更新

Refino & Anhelo注目のシステム 「試聴スペースの主役をクローズアップ」 65.ベストセラーカートリッジ デノン「DL-103」の記念モデル登場

CARTRIDGE(MC) DENON DL-103SA 価格 73,500円(税込)

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「DL-103」伝統の歯切れの良さを向上させた記念モデルの音

男の趣味にかかわる製品といえば、カメラ、時計、楽器、スポーツ用品といったところが代表的なものだろうが、いずれも形の美しさと愛着度は無縁ではない。もちろん、性能が第一なのだが、形を含めたデザインの好みは譲れない。カタログを見るだけで胸が高鳴る製品というものがあった。

オーディオも、そういう意味からは、堂々たる男の趣味である時代があった。あえて過去形で書くのは、デジタルが主流になって以来、オーディオの道具には男の心に訴える魅力のある製品が激減してしまったからである。もちろん、性能とは違ったレベルでの話だ。 オーディオは電気技術と音響技術が組み合わされた高度な工業製品という側面が大きいから、20世紀後半の“デジタル化”の怒濤のような大波に洗われて、大きく成長したことは間違いない。エジソンの蝋管蓄音機からずっと、理想とされてきたオーディオ再生の指標は、主要部分がデジタル化されることによって達成されつつある。

よくいわれるオーディオ再生の主要3大テーマは、「広大なダイナミックレンジ」「高S/N比」「広大にしてフラットな周波数特性」であるが、それらは今日、デジタル技術によって25年前までのアナログ時代とは比べ物にならないほど高いレベルで実現しているのだ。だから、
「やっぱりオーディオはアナログに一日の長がある」
「デジタルは冷たく、アナログは温かい」
「アナログレコードには、CDにない深い表現力がある」
 という、デジタル批判を耳にすると、長くオーディオにかかわってきた者は、実に複雑な思いにかられるのである。たしかに、そう思われるところもないではない。しかし、あえてここでは、
「もし、そう感じたとしたら、デジタルにはまだ向上する余地があるのだ」
と、いっておくことにしよう。

レフィーノ&アネーロ1階階段下スペース
「DL-103SA」。ブルーのボディに金色の線と文字が映えて美しい

閑話休題。アナログの魅力は音にとどまらない。実はその「道具の魅力」がデジタル機器より格段に大きいのではないか、と思う。この点でならアナログの完全勝利といってもいい。たとえば、プレーヤーのアームである。頭にカートリッジをつけて、レコード盤の上を滑るように進んで行く。その美しさは絶品だ。案内人は長いタイプが好きだったから、SMEの3009/S3Sなんていうのに憧れたものである。形はストレートより、J字タイプが好きだった。色は黒より断然シルバー。人差し指を軽くフックにかけて、熟練の手わざでそっと盤面にカートリッジを落とす。この瞬間の充実した喜び。あの、「プツッ」という針先が盤面に接した最初の音を聴いただけで、その日のシステムの調子がわかるのだった。落とし方が気に入らず、少し進んでは持ち上げ、また下ろす、という動作を数度重ねていると、幸運な時には美しい目指していた音が鮮やかに立ち上ってくる…。このアナログチックな所作の成否を支配するのが、アームという道具の“形の美しさ”と“出来具合(完成度)”なのであった。こういう深い人間的な喜び(!!)は、たしかにCDプレーヤーやDVDプレーヤーにはない。


アナログの魅力を語る金子さん

おっと、話題を本筋に戻さなくてはならない。今回は「カートリッジ」が主題であった。うん、この小さな摩訶不思議な能力を秘めた物体、これがまた、なんとも厄介な道具であり、また魅力の尽きないものなのである。しかも、これの性能の良し悪しが、再生音に占めるウェイトは非常に高い。

よく「音の入口、出口」なんてことをいうが、オーディオ再生では、カートリッジがその入口そのものである。レコード盤に刻まれた音溝をたどって、受け取った振動を音楽信号というものに変換する。その信号とは電力である。溝の凹凸によって針が震える。その微細な振動をコイルとマグネットの関わりで電力に変換するのだ。ということは、つまりカートリッジ「発電機」なのである。その発電方式によっていくつかの種類に分かれるが、代表的なものはMMとMC。MMはムービング・マグネット、MCはムービング・コイルで、そのネーミングが示すとおり、大雑把にいえば磁界の中をマグネットが動くか、コイルが動くか、という違いである。ところが、この違いが音の違いにつながるから、迷惑(?)で面白い。

レフィーノ&アネーロのカートリッジコーナー
レフィーノ&アネーロのカートリッジコーナー

たいていのオーディオファンは、好みのカートリッジをいくつか持つ。これを選ぶのが大変に難しくて悩ましい。しかも、小さいくせに欲しいと思うものは結構高い。重量比でいえば、主要アナログ機器のなかで、カートリッジはもっとも高価なものだ。オルトフォンのMCなんていうと、月給の何倍もするものがあった!!

そんな中で、デノン(当時は日本コロムビア、ブランド名はデンオン)の「DL-103」は、海外製品に比べれば安くて、しかもNHKがリファレンスに使っているということもあり、人気が高かった。一般に発売されたのは1970(昭和45)年。以来36年間もの長きにわたって現役であり続け、累計出荷台数は50万台を突破したという。デノンではこれを記念したニューバージョン「DL-103SA」を発売することになった。ただし、残念ながら限定2,000個である。

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