今週はオーディオの「究極」の一つにご招待しよう。場所はレフィーノ&アネーロ1階のステレオ試聴室。ここに、オルフェウスというスイスのメーカーのD/Aコンバーターが置かれている。D/Aコンバーターだから、これだけでは音は出ない。アンプやスピーカーが必要なのは当然だが、まずディスクから信号を読み取るCDトランスポートが必要になる。D/Aコンバーターは一般的にはプレーヤーの中に納められているのだが、高度な再現力を求めて、この部分だけを別ボックスにする、セパレート型も高級機には多い。
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主役の「ORPHEUS Heritage DAC」。竪琴が効いてるニクい デザイン |
しかしまあ、話を進める前にまず写真をご覧いただきたい。2つのボックスは、なんと電源部と回路部。贅沢な構成だ。メーカーはこう説明している、
「コントロール機能を備えた大型電源部と、D/A変換回路部を別筐体とし、最高品質のマスタークロックと電源システムを手に入れたD/Aコンバータのマイルストーン
Heritage DAC」
流線型をした外装デザインはなかなか美しい。さぞかし、高価なんだろうと想像して価格を聞くと、400万円オーバー。う〜ん、なるほど。例によってここでは、価格のことは忘れることにしよう。現在これにつながれている機器はスピーカーが「ルーメンホワイト」、アンプが「FMアコースティクス」、トランスポートが「エソテリック」という泣く子も黙るハイエンド機器。トータル価格も忘れよう。冒頭に「究極」という言葉を使ったが、技術に“究極”はないとはいえ、お許しを。これは思わずそういいたくなってしまうようなシステムなのである。
早速、レフィーノ&アネーロの金子さんの話を聞くことにしよう。
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| ぜひ聴いてほしいという金子さん |
スイスに「アナグラム・テクノロジー」という会社がありまして、非常に高度なデジタル関連技術力で知られています。オーディオのデジタル関連モジュールを他社に供給しているのですが、デジタル技術の進歩は非常に速いので、さまざまな製品と互換性の高いアーキテクチャーで、技術の進化に従ってアップデートができる製品の開発を目指しています。
アナグラムというのは、ご存じのとおりある言葉の文字を並べ替えて、たとえば「石鹸(せっけん)」→「決戦(けっせん)」という具合に、別の意味にしてしまうことです。15〜16世紀の頃にヨーロッパで暗号化の技術としても使われていたと聞きます。それを会社名にするというセンスがユニークですね。
デジタルは、「1」と「0」の配列でデータ記録される世界ですから、人間にはそのままでは音としても絵としても認識できません。それを元のアナログデータに戻して初めて人間が認知できるものになるわけですね。そのデジタルとアナログの変換を「アナグラム」という言葉に見立てたのでしょうか。面白い発想だと思います。
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| 美女のくびれのような、このなだらかな曲線も、ニクい |
さてその「アナグラム」が、自社製品の優秀さを示すために新たにハイエンドオーディオブランドを打ちたてようと考えました。それが「オルフェウス・ラボラトリーズ」です。こちらはギリシャ神話の詩と音楽に通じた神の名前が社名になりました。
2003年からアナグラムから独立した企業として機能しています。現在では、「オルフェウス」というブランドで、自社の最新デジタルモジュールの高度な技術を生かした製品を世界に向けてプレゼンテーションする会社となっているのです。
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| 1階試聴室にセットされたシステム。ゴージャスな香りが立ち上っている |
近年、多様な分野でのデジタル化が進み、オーディオの世界も、映像の世界も大きく変化を見せています。しかし、映像のデジタル技術とオーディオのデジタル技術、そしてパソコンの中でデータを処理しているデジタル技術は、同じデジタル技術という言葉で表現されていますが、それぞれ目的が違います。
オーディオの場合ですと、単に内容がわかればいいのか、それとも音楽的に美しくなければいけないのか、またマルチチャンネル・サウンドのように立体性のある音にしなければいけないのかといった目的の違いです。オルフェウスは、デジタルを音楽的な美しい音を生み出すという目的で技術追求しています。そうした音へのこだわりをオルフェウスというブランドをつけた製品で、多くのオーディオファンに知ってほしいと思ったのだと思います。オルフェウスのこうした考えは、世界のさまざまな地域のオーディオ愛好家、そして音楽製作の現場のスタッフなどに高く評価されているのです。
今回、紹介するD/Aコンバーターは400万円を超える非常に高価なものですが、その技術やノウハウは単に高性能オーディオ機器に使われるだけではなく、将来、携帯プレーヤーやテレビ、ラジカセなど、もっと身近な製品に生かされて行く可能性もあります。そういう先駆者的存在としてのオルフェウスの製品をぜひ聴いてみてください。 |