「ウェストレイク」といえば誰もが最初は、大型の本格的スピーカーシステムを思い浮かべる。“ああ、いつかあのようなスピーカーが欲しいなあ”“ああいうスピーカーを置ける家と部屋が欲しいなあ”という憧れの対象の一つである。
ウェストレイクオーディオは1970年、アメリカ西海岸のロサンゼルス郊外に設立された。設立以来一貫して大型スタジオモニターシステムでの開発に注力してきた。第1号機は「TM-1」で、続いて「HR-1」や「TM-3」、「SM-1」を発表し、それらは今日でも多くのスタジオで現役モニターとして活躍している。
こうした大型システムの開発を進めながら、同社は1977年からスタジオで使用する近接小型モニターの開発も始めた。近接小型モニターは、英語ではニア・フィールド・モニターと呼ばれているもので、大型のモニタースピーカーがスタジオの壁の上部などに埋め込まれることが多いのに対して、調整卓(ミキシング・コンソール)の前面にチョコンと置けるような小さなスピーカーだ。
大型モニターは、別名「検聴モニター」と呼ばれるように、録音の際に不要な雑音(ノイズ)がないか、位相の乱れはないか、解像度はどうかなどと、いわば録音上の欠陥を探すことが大きな目的となっている。もちろんそれだけではなく、音楽上のクオリティをチェックすることも重要な役割だが、いずれにしてもそれらの検聴なりチェックなりをするには、時には一般家庭では考えられないような大きなパワーを入れて、巨大な音を出すことになる。したがって、大型モニターの最大の必要能力は、解像度が高くて、大きなパワーが入り(高耐入力)、しょっちゅう故障しては仕事にならないから丈夫であることである。
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| 堂々たる「BBSM-15VNF」。いかにも、いい音が鳴りそうだ |
一方録音スタジオでは、今録音している音楽が、家庭の小型スピーカーや、ヘッドフォンなどで聴くと、どのように聴こえるか、ということを判断する必要もある。それは、録音スタッフの長年の経験で、大型モニターの音でも判断できるのだが、実際に家庭で使うものに近い大きさのスピーカーがあれば、なお判断がつきやすい。そのような要求に応えて作られるのが、近接小型モニターである。

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| 接続機器。上から「X-01 Limited」「BOULDER 1010」「BOULDER
1060」 |
ウェストレイクオーディオは1982年に、近接小型モニターの1号機を完成、発表した。開発の最大テーマは「大型システムのサウンドイメージを損なわない」ということだった。その第1号機は「BBSM-6」と名づけられた。「BBSM」のBBとはBASS&BASSのことで、口径の小さなウーハーを使うと低域の再生が弱くなるので、その欠点を補うために採用した、ダブルウーファー・システムのことを示している。「SM」は「Small
Monitor」の略であろう。同社はその後この1号機をベースに「BBSM-4」〜「BBSM-15」に至るモデルを発表し、これらの小型モニターは、一般のオーディオユーザーの家庭使用機としても歓迎されるようになった。また従来のウェストレイク製品一連の横型から、民生用としてのセッティングを容易にするため、縦長のシステムも開発し、これを「BBSM−VNF」シリーズとして発表している。 |