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| 「ESL2905」と金子さん |
今回は、キャビネットのない平板スピーカーの元祖ともいえる、静電型でおなじみのクオードの最新2モデルを紹介したいと思う。クオードがこのタイプのスピーカーを初めて世に問うたのは、何と1955年、CD登場の27年も前のことです。以来、多くの音楽ファンに親しまれてきたが、音楽ソースのデジタル化にも歩調を合わせ、性能、取り扱い性とも大きく進化している。その現時点での集大成ともいうべき、最新2モデルの実力をぜひ実際に聴いていただきたい。
以下は、レフィーノ&アネーロの金子さんからの招待状である。

1936年にピーター・J・ウォーカーにより設立されたQUADは、最初は高級アンプのメーカーでした。イギリスBBCのモニターアンプも昔からQUAD製だったといいます。QUADは、イギリス製アンプの代表格と言えましょう。
QUADのアンプはほとんどが幅300mm、高さも100mm程度の小型ですが、性能は高く、物量と迫力で迫る高級アンプの世界にあって、非常に特異な存在になっています。音は素直な表現が最大の特徴で、スピーカーの選り好みをしません。回路は単純ですし、周波数特性も広くはありません。悪く言えば突出した特徴のないアンプなのですが、それでも静電スピーカーのESLを平気で駆動するなど、ドライブ能力は極めて高いのです。

さてそのQUADは、アンプよりも、今はむしろ「ESL」という静電スピーカーで知られています。これは全面駆動で極めてレスポンスの優れた、スピーカーの理想の一つを示す姿だと思います。1955年、QUADによって、世界で初めて製品化されたESLは、その極めて繊細な中高音域再生の魅力で、一世を風靡するに十分な資質をもっていました。この魅惑的な音質は多くのオーディオファン、音楽ファンを虜にし、特に人の声の再生にかけては独壇場であるといわれています。それはヨーロッパの大音楽メーカーでもあるフィリップスが自社製品を押しのけてまで、録音時のモニターとして使用したことでも証明されているといえるでしょう。

しかし、当時の「ESL」には克服困難とも思われた大きな欠点もありました。ESLは駆動のため数千ボルトの高電圧をかけるので、入力を上げすぎて電極同士が近づき過ぎたり、または日本の梅雨時のように湿度の高い時には、スパークを起こすことがあり、駆動フィルムを焼き切って穴を空けてしまうことがあるのです。最悪の場合燃えてしまいました。さらに低域の量感を出すことが難しく、セッティングも取り扱いも、極めてデリケートなスピーカーであったのです。 |