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| 「SD-2 KR」の全体像。電源を入れると下部が青白く光る |

タワー型パソコンのような形の、高さ630mmのキャビネットに納まった「SD-2」は、横長ボックス型が多いパワーアンプの中では異色である。真空管アンプではほとんど見たことのない形だ。そして電源を入れると、上部にセットされた300Bを中心とする真空管が、ポーッと赤みを差して美しく輝き、いい音で音楽をじっくり聴こうという気持ちが高まる。
しかし、製作者の意図は、“Advanced modern application of electron tube devices”という、同社のキャッチコピーに集約されていて、真空管アンプにまつわる懐古趣味や、視覚からくる温かみなどというあいまいな情緒的効用は排除されている。つまり、真空管というデバイスの“過去の遺産”に寄りかかるのではなく、その良さを最大限に生かして、現在に通用する“最新オーディオ技術”を目指しているのだ。
今、レフィーノ&アネーロでは、ソナス・ファベールの「アマティ・アニヴァーサリオ」と組み合わされているが、ソナスの特徴的な美しいキャビネットに少しも負けず、身長は2分の1ほどだが、堂々と存在を主張している。一般的な真空管アンプとは姿が違っていることもあり、上部の真空管に気づかなければ、これが真空管アンプだという印象は薄い。
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レフィーノ&アネーロでソナスのスピーカー「Amati anniversario」に接続された「SD-2 KR」。
モノーラル仕様なので左右2台必要となる |
真空管全盛時代と現在のオーディオで何が違うかといえば、ダイナミックレンジと周波数特性の拡大、そしてSN比の向上という3点に集約されるだろ。今日、真空管を使って評価できる製品を作り出している設計者、メーカーは、こういうオーディオの進歩に真空管は十分対応できる素子だと考えている。もちろん従来の回路や構造では十分ではないので、その改良改善は必要になる。その上で、真空管の特徴を生かせば、むしろトランジスタアンプよりも、表現力の優れたアンプの設計が可能だと主張するのである。では、なぜ今はトランジスターアンプが主流なのか。それは、真空管の能力が劣っているからではなく、「大量生産、コスト低減など、単に近代工業生産のシステムに合わなくなったことによるものです」といったのは、A&M社の三浦篤氏である。詳しくは、本欄7月26日掲載の「AIR TIGHTの真空管アンプでSonus faberのCremonaをドライブ」をご覧いただきたい。
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パワー管「KR 300
BXLS」。チェコのKR社製 |
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パワー管「KR 211」。チェコのKR社製 |
グラスマスターがもっとも重点を置いたのは、「音楽信号にストレスを与えない回路の設計」と「スピーカードライブ能力の向上」の2点である。
この2つを実現するために採用された方針は、基本的に「帰還回路」を極力使わないこと。そして初段以外はすべてパワー管を使った4段構成をとっていること。さらに、真空管アンプでは必須の出力トランスへの依存度を極限まで抑えること、などである。これによって、「SD-2 KR」はさまざまなジャンルの最新録音にも十分対応できるスピーカードライブ能力を獲得し、なおかつ、真空管ならではの、瞬発力があり、どの周波数帯域においてもエネルギー感のある再現力を獲得している。
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本体上部の真空管群。電源が入った
真空管の姿はやっぱり魅力的だ |
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「SD-2 KR」は入力インピーダンスが
「4/6/8Ω」の3段階に切り替えられる |
もう1点、今日的真空管アンプの在り方として評価できるのは、もっとも重要な真空管が別売品として安定供給が確保されていることだ。
なお、「SD-2 KR」の基本モデルは「SD-2」で、このモデルの出力管「VT4C/211」2本を、チェコのKR社製の「KR211」に差し替えたバージョンが「SD-2 KR」である。

レフィーノ&アネーロの試聴スペースでの組み合わせ機
は、プリアンプが、ライラ・コニサー(LYRA Connoisseur)の「5-0L LINE PREAMPRIFIER」、スピーカーは前述のソナス・ファベール(Sonus Faber)の「アマティ・アニヴァーサリオ(Amati anniversario)」である。
このうちソナスのスピーカーは、本欄6月28日掲載の「1階左側スペースの注目システム(2)」で、ホヴランドの真空管アンプでのドライブを紹介した。そちらの記事も参考にしていただきたい。
ホヴランドとグラスマスターとの再現力の違いを楽しむのは、2つの今日的真空管アンプの実力を知るまたとないチャンスである。ぜひ、レフィーノ&アネーロにお出かけください。
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