2006.7.12更新
金子さんの言葉のなかの「バランス」に注目していただきたい。とかく人は自分が力を入れた点の効果を際立たせたいもので、近年では、 「新素材と独創的なキャビネットによる、超高域までの再生力、地を這うような重低音」 などといいたくなるのだ。わかりやすいから、ユーザーもついその気になって感激してしまうが、しょせん人間の可聴帯域は狭い。実音と認識できる周波数帯域は数10Hzから高々10数kHzである。その前後の帯域は、可聴帯域の「音」の質を高めるために必要なのである。だから、金子さんのいう「バランス」が大切なのだ。低音域と高音域が違和感なく両立していること、それが何よりも重要なのだ。少々見かけのスペックが狭くても、バランスがとれていれば「音」は充実し美しくなる。しかしその判断は、最初のうちは難しいので、お店の人にじっくり説明してもらうのが得策である。 写真でおわかりのように、「TS5」は2つのウーファーとトゥイーターによる2ウェイ構成。キャビネットは横幅が狭い、いわゆる「トールボーイ」。トゥイーターはリボンではなく、ネオジウム・マグネットによる強力磁気回路を備えたポリプロピレン・ドーム型。ピエガのリボン開発で得たノウハウが十分に生かされたドーム型である。ウーファーはデンマークのピアレス社と共同開発したオリジナル設計。特殊なサスペンション機構を強化されたフレームにマウントし、ロングストローク化と高耐入力を実現したので、10cmという小口径ながら十分な低音再生能力を得ている。