まるで工芸品のように美しい木製キャビネットで オーディオファンの憧れの的となっている、イタリアのソナス・ファベールのスピーカーについては、すでに本欄第9回で紹介したので、今一度そちらをご覧いただきたい。今回紹介するのは、2階奥の試聴スペースにあたりを睥睨するかのような偉容を見せているトップモデル「ストラディヴァリ・オマージュ」である。 「ストラディヴァリ」といえば、世界中のヴァイオリニストが一度は手にしたいと夢見る名器である。名工アントニオ・ストラディヴァリ(1644?〜1737)の作品は、その音色の美しさは当然ながら、残された数が少ないこともあって、その高価さも溜息もの。状態の良いものなら3億円を下らない。しかし注意すべきは、今日の投機的資本主義全盛の時代にあっては、単なる拝金主義者の投資の対象として狙われることもあることだ。必然的に価格は高騰し、本当に楽器を必要とする演奏家の手には入りにくくなってしまう。自由主義経済のこうした弊害をいかに食い止めるかが、今後の為政者の重大な責務とならなければならない。景気が少し持ち直したといって、まるで自分の成果のようにニヤニヤしている輩は論外である。 20世紀を代表する指揮者の一人、ヘルベルト・フォン・カラヤンに見出されて大成したヴァイオリニスト、アンネ=ゾフィー・ムターは、楽器入手の困難の辛酸をなめ尽くし、後に自ら財団を組織して、そこで集めた資金で名器を購入し、それを有望な演奏家に長期貸与するという献身的事業を行なっている。世の拝金亡者よ、直ちに楽器取引から手を引かれよ!!
音楽と楽器とオーディオを知り尽くした、ソナス・ファベールの職人たちだからこそ、このようなスピーカーを作り上げることが出来るのだ、と素直に感じられる。この次元の製品に、これ以上あれこれ付け加えるのは、礼を失することになるので、オーディオ的詳細については、いつも通り輸入元のホームページをご覧いただきたい。