 |
| マッキントッシュに接続されたリファレンスシリーズ・モデル205 |
スピーカーは「電気信号」を人間の耳に音として知覚できる「音楽信号」に変換する機器で、「トランスデューサー(transducer
= 変換器)」と呼ばれる。マイクロフォンはその逆の役割をする変換器で、「音楽信号」を「電気信号」に変換する。スピーカーはオーディオの「出口」で、マイクロフォンは「入口」ともいわれるが、この両者は自然界の音を何らかの方法で記録し、それを限りなく元の姿に近い音に戻すという、オーディオの長い経路の中で、もっとも重要な役割を担う。
それにしても、最近の人間は「何かの技術に驚き感動する」という感性を失いつつある。たとえば、誰もが当たり前のようにスピーカーを使っているが、ここでオーケストラを思い起こして欲しい。オーケストラは弦楽器、管楽器、打楽器、鍵盤楽器などに分類されるさまざまな楽器によって構成されている。これらの多彩な楽器に、時には人間の声を交えて、オーケストラはモーツァルトの癒しの音楽、ベートーベンの疾風怒濤の音楽、またワーグナーの官能的な音楽を表現するのである。
しかし、スピーカーはどんな複雑な編成の音楽も、極端にいえばたった一つのスピーカーユニットで再現してしまう。これは奇跡としかいいようがない!! オーケストラはあんなに多くの種類の楽器を必要とするのに、スピーカーはなぜこんな簡単な構造の道具一つで済むのか? この不思議を不思議と感じ、驚いて感動する柔らかで謙虚な精神の働きがなくては、科学技術の円満な発展も文化の成熟もないのではないか、と思うのである。
スピーカーは、振動する物体(一般的に振動板という)と、それを駆動する磁気や電気の回路、およびそれらを支持する機構、そして多くの場合はそれらの機構を収納する箱がスピーカーの構成要件である。
なお、スピーカーという言葉は、振動板と駆動回路を含むユニットを指す場合と、箱やその他の付属物(ネットワーク回路やケーブルを接続する端子など)を含めたシステム全体を指す場合があって、統一されていない。本サイトでは日本の慣例に従い、スピーカーシステムを単に「スピーカー」、振動板+磁気回路の部分は「スピーカーユニット」もしくは「ドライバーユニット」と呼ぶ。箱は、「キャビネット」「エンクロージャー」「ボックス」などを適宜使い分ける。 |