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もういちどオーディオ 案内人:船木文宏
専門店からの情報発信  
2006.4.12更新
Refino & Anhelo注目のシステム  「試聴スペースの主役をクローズアップ」  23 1階マッキントッシュコーナーのケフ
SPEAKER SYSTEM REFERENCE SERIES MODEL 205 価格 1,392,300円(ペア/税込)
オーディオにおけるスピーカーの重要性
マッキントッシュに接続されたリファレンスシリーズ・モデル205

 スピーカーは「電気信号」を人間の耳に音として知覚できる「音楽信号」に変換する機器で、「トランスデューサー(transducer = 変換器)」と呼ばれる。マイクロフォンはその逆の役割をする変換器で、「音楽信号」を「電気信号」に変換する。スピーカーはオーディオの「出口」で、マイクロフォンは「入口」ともいわれるが、この両者は自然界の音を何らかの方法で記録し、それを限りなく元の姿に近い音に戻すという、オーディオの長い経路の中で、もっとも重要な役割を担う。

 それにしても、最近の人間は「何かの技術に驚き感動する」という感性を失いつつある。たとえば、誰もが当たり前のようにスピーカーを使っているが、ここでオーケストラを思い起こして欲しい。オーケストラは弦楽器、管楽器、打楽器、鍵盤楽器などに分類されるさまざまな楽器によって構成されている。これらの多彩な楽器に、時には人間の声を交えて、オーケストラはモーツァルトの癒しの音楽、ベートーベンの疾風怒濤の音楽、またワーグナーの官能的な音楽を表現するのである。

 しかし、スピーカーはどんな複雑な編成の音楽も、極端にいえばたった一つのスピーカーユニットで再現してしまう。これは奇跡としかいいようがない!! オーケストラはあんなに多くの種類の楽器を必要とするのに、スピーカーはなぜこんな簡単な構造の道具一つで済むのか? この不思議を不思議と感じ、驚いて感動する柔らかで謙虚な精神の働きがなくては、科学技術の円満な発展も文化の成熟もないのではないか、と思うのである。

 スピーカーは、振動する物体(一般的に振動板という)と、それを駆動する磁気や電気の回路、およびそれらを支持する機構、そして多くの場合はそれらの機構を収納する箱がスピーカーの構成要件である。

 なお、スピーカーという言葉は、振動板と駆動回路を含むユニットを指す場合と、箱やその他の付属物(ネットワーク回路やケーブルを接続する端子など)を含めたシステム全体を指す場合があって、統一されていない。本サイトでは日本の慣例に従い、スピーカーシステムを単に「スピーカー」、振動板+磁気回路の部分は「スピーカーユニット」もしくは「ドライバーユニット」と呼ぶ。箱は、「キャビネット」「エンクロージャー」「ボックス」などを適宜使い分ける。

KEFの独創性とは〜その斬新なイメージは何によるのか

 ケフ(KEF)の名は、オーディオファンに広く知られている、イギリスのスピーカーメーカーであり、ブランド名でもある。設立は1961年だから、CD登場時点ではまだ比較的新しいメーカーというイメージがあったが、もうすぐ半世紀を迎えようという「老舗」と呼んでいい存在だ。しかし、その製品から受けるイメージはどうしても、先行するメーカーと比べて、「斬新」という印象を受ける。それはなぜかと考えると、彼ら自身が述べている以下の言葉と関係がありそうだ。

 「私たちは音楽再生の楽しみを高めるために、情熱的な信念をもって新しい原料、新しいテクノロジー、そして新しい設計への取り組みを積極的に進めてきた」

 「楽器とは異なり、真に偉大なスピーカーを作るためには芸術性と科学性の双方を満たすことが必要だ」

 つまり、KEFに先行するメーカーは、スピーカーを科学的工業製品として見るよりも、楽器的な芸術的製品と見る傾

がっちりした細身のキャビネットに、KEFの技術が濃縮されて搭載されている

向があった。したがって、素材や構造、それらがもたらす特性値は疎かにはしないけれども、それ以上に熟達した職人や設計者が何度も何度も繰り返して聴いて判断する「聴感上の特性」がより大切にされた。
 それに対してKEFでは、誤解を恐れずにいえば、「聴感上の特性」と同等、もしくはそれ以上の比重で、原料やテクノロジーを重視したのである。これまでに「多くの画期的で革新的な技術を開発してきた」と彼らは自負する。新たな振動版の素材やドライバーの開発、制振対策技術や造形技術の解析とデザイン。カップルド・キャビティー・バスや、コンジュゲート・ロード・クロスオーバー・ネットワークの技術……。今ここではこれらの用語の羅列が何を示すのかは問題ではない。楽器的芸術性追求に併せて、常にこのような砂を噛むように味気のない響きがする名称の、素材や技術の開発、成熟に努めてきたということが、今なお持続するKEFの「斬新」というイメージを支えているのだ、ということを知ってほしいのである。

 そしてその志向の延長線上に、彼らが誇る「ユニ・キュー(Uni-Q)」という画期的なドライバーユニットがある。


豊かさとシャープな解像度の円満な融合、リファレンスの名にふさわしい再現力

 KEFの「Uni-Q」ドライバーユニットは、高音域と中高音域の2つのユニットを同軸上に配置する手法で、タンノイの同軸2ウェイ(デュアルコンセントリック)に近い技術だ。オーディオの記事でこんなことをいうのは、日本では本当はご法度なのだが、21世紀には許されなければならない。

 普通はバッフル(箱の前面の板)に別々に取り付けられる2つの受け持ち周波数帯域の異なるユニットを、同じ軸上で1つに配置し組み立てることによって、あたかも1つのユニットからの音のような、放射特性(指向特性)や位相特性の向上が得られる。これがメリットだが、緻密な設計と精密な製造技術が求められる上に、システム全体のチューニングを適切にしなければ、豊かで穏やかな音場感には欠ける危険性も避けられない。

「Uni-Q」ドライバーユニットの構造図
(KEF本社のホームページから)

 「Uni-Q」はそのような、メリット、デメリットをすべて研究し尽くした上に花開いたものである。最新のモデルでは、振動板とエッジを一体成形したシームレス構造になり、SACDやDVD、DVDオーディオなど超高域成分の多いソフトへの対応力が格段にスムーズさを増している。

 今回紹介するリファレンスシリーズは、一般ユーザーには少し敷居の高い超大型高級機という壁の内側にある現実的高級機である。もちろん、最新技術は吟味の上で常にいち早く導入されている。モデル205はシリーズ中では2番目に位置する優秀機だ。素材や技術の詳細はケフ・ジャパンのホームページに譲る。かなり複雑なユニット構成、キャビネット構造にもかかわらず、豊かな響きとシャープな解像度を両立させた見事な再現力は、文字通り21世紀初頭の「リファレンス・スピーカー」の名に値するものだ。

 なお外観仕上げは、ブラックアッシュ(Black Ash)、メイプル(Maple)、チェリー(Cherry)の3種がある。写真はチェリー仕上げ。

仕様
型式:4ウェイ、バスレフ型
使用ユニット:
 LF(低域用)200mm×2
 MF(中域用)165mm×1
 HF(高域用)25mm×1
 SHF(超高域用)19mm×1
周波数特性:45Hz〜55kHz±3dB
クロスオーバー周波数:400Hz/2.7kHz/15kHz
出力音圧レベル:90dB(2.83V/1m)
インピーダンス:8Ω
外形寸法:285(W)×1,155(H)×433(D)mm
重量:33kg

製品の詳細は: ケフジャパン ホームページ

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