されるのが当たり前で、これまではその前提の中で臨場感の再現を工夫してきた。平面型スピーカーなどの出現で、後方にも音波が一定量放射される方式が考えられたが、メビウスのように中心帯域を360度に放射する方法は、公共空間のPAなど特殊な用途のスピーカーにしか使われなかった。いったいどんな音がするか、興味は尽きない。レフィーノ&アネーロの担当者によれば、「独特な音場感で、実に豊かな臨場感」だという。
いわゆる中高音域の再生は、この球体ユニットによって臨場感を得ているが、さらにこのシステムでは、前面バッフルの背面に取り付けられているスタンド下部に、「8インチサブウーファー」が外側に向けてビルトインされている。これは他社製品でも比較的よく使われる手法で、豊かな中低音域の再現に効果がある。
もう一点注目されるのは、この独自球形ユニットと、サブウーファーを収納したスタンドを取り付ける前面バッフルの形状である。中央部がくびれ、球形を支持する部分はU字形になっていて、音叉の先端部で球を挟んだ形になっている。この形はデザイン的な美しさを意識していると同時に、バッフル面積を必要最小限に抑えて、音波の解析による音楽再生への悪影響を排除する実利を求めた結果によるものだ。形は特殊だが、再生原理がよく考えられ、確かな技術と、豊かな感性で作られているのがよくわかる。21世紀のスピーカーシステムとして大いに歓迎したい一品だ。 |