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もういちどオーディオ 案内人舟木文宏
Refino&Anhelo 注目のシステム紹介
Refino&Anhelo 注目のシステム紹介
「試聴スペースの主役をクローズアップ」19.1階ステレオ試聴室のニューフェイス
MONOURAL POWER AMPLIFIER LUXMAN B-1000f 価格 1,890,000円(1台/税込)
STREO PREAMPLIFIER MIRAD SRA-C20 価格 519,750円(税込)
STEREO VACCUM TUBE POWER AMPLIFIER MIRAD SRA-M20 価格 787,500円(税込)
物量を惜しまない物づくり精神の極致がもたらす至高の再現力
 今、1階のステレオ試聴室に鎮座しているパワーアンプは、ラックスマンの創業80周年記念モデルとして発売された、モノーラルの「B-1000f」である。重量は1台65kg、体格の立派な男一人分にもなる。通常はステレオだから2台必要になる。総重量130kg。この大きさの四角い形で65kgというと、もう普通の人間には持ち上げることができない。セッティングした後に少し位置を変えたいと思っても、一人ではもう不可能。おそらく二人でも無理だろう。何でアンプの紹介で重さにこだわっているのかというと、たかが1チャンネルの
セットされた姿は豪壮にして華麗。大きさが実感できる
オーディオ信号の増幅に、この重さはいったいどういう意味があるのか、と思い悩むからである。
 脚部、底板がスタンドを兼ねて、鉄筋コンクリートで出来ているというわけではない。筐体は見事なアルミの削りだし加工である。つまり、この重量は純粋に電気信号を増幅するために使われているのである。軽薄短小全盛の時代にあって、オーディオも携帯デジタルプレーヤーがあれば、それで十分という人も多い。多くのシステム製品も出来るだけ物量を節約してコストを下げることに苦労をしている。そんな中で、この物量を惜しまない物づくり精神は、立派というしかない。
B-1000fの威容。巨体だが鈍重な感じがまったくない
 しかも、置いてしまえば動かす必要がない限り、重量は忘れていられるわけである。そして、その姿がなんとも美しいのである。このクラスの高級パワーアンプには、大きなパワーメーターを前面パネルに配したものが多いが、「B-1000f」の前面パネルはロゴを上部に刻み、下部に6つの小ぶりなスイッチがあるだけ。と思うと、実はメーターがあるのだ。右サイドに縦に細いスリットがある。これが出力レベルをステップ表示するイルミネーションメーターなのだ。もちろん、これは消灯することができる。消灯してしまえば、薄暗がりの中では小さなパワーインジケーターがコバルト色に光るだけ。実に簡素な飾り気のないパネルフェイスである。しかし、両サイドのラウンド仕上げと、少し浮き出るように取り付けられたパネル面の処理だけという、2次元的デザインの中で、これほどの静寂感と高級感を演出している。オーディオ製品には極めて数少ない、心に響く美意識の発露だ。
 もちろん、物量の投入は筐体やその構造だけにとどまらず、トランスの巻線材、特殊金メッキの基板、コンデンサーや抵抗などの基本部品、入出力端子、電源ケーブルにまで及んでいる。その徹底したこだわりぶりは、ほとんどコストを無視しているのではないかと思われるほどだ。それでいて、価格は、1台1,890,000円(税込)。決して安くはないが、このクラスの海外製アンプに比較すると、確実に割安である。しかも、性能も仕上げも海外製に劣るところがない。戦後の日本オーディオ製品の歴史に残る最高傑作の一つといってもいい決して過ぎではない。
「1Ω 2000W」は、単なる大きさの“誇示”と、役立たずの“無駄”ではない
 製品の詳細については、下記ホームページをご覧いただくとして、ここでは1点、出力について触れておきたい。仕様にある通り「B-1000f」の出力は、1Ω負荷で何と2,000Wである。この数値はカタログでも「必要だから装備した、1Ω 2000W」と大書されてこのアンプの“ウリ”となっている。従来アンプでは1,000Wまでのものがあったが、2,000Wは「B-1000f」が初めてなのではないだろうか。
 さて、問題は本当にこの大出力が必要なのか、ということである。少しカタログを要約引用して、ラックスマンの説明を聞いてみよう。
「あらゆる負荷状況に追従する動的なパワーは、スピーカーの特性を引き出すために不可欠なものだ。そのためには十分なゆとりをもってパワーを供給することが必要だ。そのためこのアンプでは、8Ω負荷で250W(定格出力)というゲイン設定に対して、1Ω負荷では瞬時最大2,000Wという、理論値どおりの完全なパワーリニアリティをもたせた。このことによって、どのような負荷条件においても、音楽のダイナミズムを一切損なうことなく再生することができる。」
振動、ノイズ対策を徹底させたループレス
シャーシ構造

この強力電源部にはラックスマンの伝統が
感じらる
 少し難しいかもしれないが、音楽信号はごく小さな音から、家が揺れるほどの大音量まで、音量差は非常に大きい。この音量差の範囲をダイナミックレンジと呼ぶのだが、デジタル時代になって、このレンジはますます拡大している。と同時に再生周波数帯域も人間の耳では感知できない低い音から高い音までに拡大している。しかも、通常の会話とは違い、音楽では、ほとんど無音に近いような小音量から、突然大音量をだす場合がある。このような“波乱に満ちた音楽を無事(!?)に再生”するために、スピーカーの入力インピーダンス(抵抗値)はかなりの幅で変化せざるを得ないのである。完璧な音楽再生を目指そうとすると、スピーカーの設計によってはこのインピーダンスがかなり低くなってしまう場合が多い。
 たとえば、筆者が10年前まで愛用していたスピーカーでは、およそ10kHz前後で1Ωにまで下がってしまう。その場合、もしアンプに電力供給力がなければ、ソプラノの美しく伸びたはずの高音域が、かすれたような音になったり、雑音になってしまう危険がある。
 もちろん、もっと低い周波数や高い周波数でインピーダンスが下がるスピーカーもある。したがって、アンプの大出力と、そのパワーのリニアリティは、大音量を出すためよりも、むしろどんな設計のスピーカーに対しても、そして、どんな音楽信号に対しても、必要な電力を瞬時にあるいは持続して供給するために必要なのだ。

製品の詳細は:ラックスマン ホームページ

仕様
連続定格出力:250W(8Ω)/500W(4Ω)
最大出力:1,000W(2Ω)/2,000W(1Ω)
周波数特性:DC〜150kHz(+0、-3.0dB)
S/N比:118dB(IHF-A)
消費電力:439W(電気用品安全法)/232W(無信号時)/0.7W(スタンバイ時)
外形寸法:428(W)×295(H)×592(D)mm
重量:65.0kg
スピード感あふれる清新な再生音を聴かせる ソリッドステート・プリアンプと真空管パワーアンプの組み合わせ  
ソナスのスピーカーに接続されたMIRAD
 もう1点、現在1階ステレオ試聴室にセットされている、新しいブランドのアンプが話題を呼んでいる。ニューフェイスのブランド名は「MIRAD」。ラテン語の“基本”、“根源”を意味する“miradas”によっているという。日本のメーカーである。
 製品は、ソリッドステートのコントロールアンプ「SRA-C20」と、真空管のパワーアンプ「SRA-M20」。プリ、パワーの組み合わせで、このような形は珍しい。なぜ両方ともソリッドステート、あるいは真空管にしなかったのか、そこにこのメーカーのオーディオ技術に対するポリシーがあるに違いない。
 使い手側は、その音が気に入れば、素子がトランジスタであろうと、真空管であろうとあまり気にならない。カタログ上から推測されるメーカーの考えは、コントロールアンプの場合は、パワーアンプよりも精度の高い信号処理と、低ノイズが要求されるので、ソリッドステートを選択した、ということだ。写真でご覧のとおりその姿は、アルミ削りだしの薄型筐体に4つの丸型スイッチが配置され、インジケーター類は一切なく、実に簡潔で美しい。
 一方、真空管を使ったパワーアンプは同じくアルミ削りだしの筐体に、コントロールアンプの大きい方のスイッチと同寸の2つのヴォリュームコントロールスイッチが左右に配されたシンプルなデザイン。コントロールアンプと違うのは真空管の保護カバーが3個ずつ左右に見えることだ。このカバーのデザインもなかなか洒落ている。真空管が透けて見えるのが美しい。
 使用真空管は出力管が「6CA7」を三極管接続で使用。初段は「12AU7」、ドライバーは「ECC99」。
 スピード感にあふれた爽快なイメージの再生音が、その端整な容姿によく似合う。ぜひ一度実際の音を聴いてみてください。
コントロールアンプ 「SRA-C20」

パワーアンプ 「SRA-M20」
製品の詳細は:YANAGIYA INC.ホームページ

仕様
<SRA-C20>
周波数特性:10Hz〜70kHz -0.5dB at 0.775V
入力:ライン3系統(5kΩ)
出力:ラインアウト2系統(50Ω以下)
消費電力:40W(最大90W)
外形寸法:390(W)×90(H)×245(D)mm
重量:約10kg

<SRA-M20>
回路方式:EL34三極管接続、AB級プッシュプル、差動2段増幅ドライブ
出力:12W+12W(8Ω)/17W+17W(6Ω)/25W+25W(4Ω)
出力帯域幅:20Hz〜48kHz -0.5dB(1/2出力時・1kHz)
消費電力:140W(最大200W)
外形寸法:390(W)×170(H)×245(D)mm
重量:約22kg


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