「三角形の内角の和は180度である」ということが確かであるのと同じぐらいに「アナログでいい音を出すのは難しい」とまずは脅かしておきたい。もっと平たく、あるいは下品にいえば、手間と金をかけなければ、アナログはダメなのである。たとえば、先日新聞の通販欄に、写真ではかなり立派に見えるオーディオセットが掲載されていて、カセットテープ、CDなどと並んで、LPも聴けて、これがなんと2万円を切るという製品があった。システムの最上部にはいかにもそれらしいプレーヤーがのっかっている。しかし実は、このレベルのプレーヤーから出る音では、この記事を読んでおられるような方々は、ほとんど満足できないのである。同じ1枚のLPを、そのようなレベルのプレーヤーにかけた時の音と、今回ここに紹介されているプレーヤーにかけた時の音とを比べてみれば、それは「三角形の2辺の和は他の1辺より大きい」ということと同じレベルの確かさで、「まったく違う」のである。
そしてなんとも不思議なことだが、ベルトドライブのプレーヤーで、そのベルトの素材を変えただけで、音は変化する。レコードをのせるターンテーブルの素材や重量によっても音が違う。もちろん、レコード盤の溝から信号を取り出す「カートリッジ」によっても音はさまざまに変化する。そのカートリッジを取り付ける「トーンアーム」が変われば、音も変わる。実はこのように、千差万別の音の違いを見極め、その中から自分の求める音を見つけ出していくことが、オーディオの楽しみなのだ、といってもいい。
というわけで、いい音にたどり着くには大いに苦労をするのだが、アナログはデジタルに比べてその苦労の度合いがずっと大きいのだ。よく、デジタルはオーディオ再生の下限レベルを向上させた、などという。それは、たとえばCDならプレーヤーの違いによる音質の差は、アナログプレーヤーとLPの場合ほど大きくはない、ということである。
どうせ始めるなら、アナログならではの、本当にいい音を出してみたい、というのが人情だ。それには時間もかかり、費用もそれなりにつぎこまなければならない。でも、きっと大きな満足が待っているはずだ。
照明を少し落とした部屋で、好きな酒を飲みながら、重いターンテーブルがゆるゆると回転している姿を見るのは実に美しく心和む。そして、部屋いっぱいに芳醇な音が舞う。そんな日を目指して、いざ……。
ではまず今回は、プレーヤー6モデルをご覧ください。
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