古座川下りを終えたつぎの朝、島根のみっちゃん(天野光豊)と犬のベルーガと僕は、海賊の島へ向かってカヌーを漕ぎだした。
シーカヤックではなく、オープンデッキのカヌーで行くことにした。日本では、カナディアンカヌー、と呼ばれているカヌーだ。カナダやアメリカでは、だれもそんなふうには呼んではいなかった。ただ単にカヌー、あるいは、オープンデッキ・カヌーと呼んでいた(とすれば、カナディアンカヌーとは、いったいだれがいいだしたのだろうか……)。
海が荒れたり、風が強いと、カヌーで海をいくのはしんどいが、今日の天気ならだいじょうぶだろう。
この穏やかさは今日一日持つはずだ、というあてにならない僕の予測のもと、カヌーを漕ぎだしたのだ。
出発地点は、河口近くの橋の下だ。
汽水域のこのあたりには、多くのボラが泳いでいる。
ベルーガは、ボラにまったく興味を示さない。カヌーに乗ることにも。海にも無人島にも無関心だ。なにもしたくないんだおれは、もう歳なんだし放っておいてくれ、という感じである。
だからといって、橋の下に放っておくわけにもいかない。
ま、そういわずに今日もいっしょに行こうや、となったのだ。 |