今日も、古座川は元気だ。
橋の上から川をのぞき込むと、水がないのか、と思ってしまうほどの透明度である。
まるで、わが心を見ているようだ。
ここにあるのは、古きよき日本の川である。だれもが心に持っているふるさとの川だ。透明な水、広い河原、白い石、泳ぐ魚。
この流れを見て、よだれをあふれさせないカヌー好きはいないはずだ。さっそくカヌーで下ってみることにした。
出発点を、支流の三尾川(みとがわ)からとした。本流(古座川)から500メートルほどさかのぼったところだ。
三尾川の水は、頭からかぶってみたいほど透明だ。が、ぜったいにかぶりたくないほど冷たい。どうすればいいのだ?
目の前の深い淵は海のようなブルーで、魚がいっぱい泳いでる。ここは、地元の小学校の水泳場だという。夏には、子どもたちが河童のように泳いでいるのだ。
ここから河口の町までは、約20キロ。出発が昼近くになってしまったけど、だいじょうぶ、夕方までには着くだろう。
考えてみたら、前に来たことがあるから、と地図も持たずに川下りだ。ま、下流へさえ漕ぎすすめば、迷子になることはないだろう。ナイル川やアマゾン川のように、河口付近が幅数キロもありいくつにも枝分かれしている、という川でない。古座川は、日本の正しい川なのである。
地図を持たずに川下りというのは、けっしておすすめはできないが、これもまた日本の川ならではの気楽さである。よい子はまねをしないでください、という川下りだ。
もっとも、ここを読んでいる人に“よい子”はいないだろうから……。 |