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「サバニを知っていますか?」と問う。すると、たいていの人はサバの煮付けをイメージするようで、「それは味噌煮ですか?」と、来る。ま、形としてはサバと似ていないでもない。そういえば沖縄ではサメのことをサバと呼ぶ。それではサメの煮付けかな。ならば醤油で甘辛い味がよい。などと、話はあらぬ方向へ歩き出す。 ちょっと待ってほしい、私が言いたいのは魚料理のことではない、舟の話なのだ。
サバニというのは沖縄に伝わる接(は)ぎ舟で、もとは刳(く)り舟から発展して形が出来た。杉材を曲げることで形が決まり対波強度もでる。竹釘とふんどうと呼ばれる木片で底材をつなぐ。出来上がった形はまったく無駄がない。 |
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船体にはサメの油を塗りこんで耐水強度を出す。 名前の由来は、そのへんかな。サバアンダ(サメ油)+フニ(舟)=サバアンダブニ→サバブニ→サバニ。 操船はカヌーのように櫂を使って漕ぎ、ヨットのように帆で走る。もちろん外洋に繰りだせるので、島から島への移動にも使われた。その独特な接ぎ舟は、過去の南の海の生活と文化を担っていた。
しかし、半世紀ほど前にエンジンが普及して帆かけサバニは姿を消した。そして最近では、エンジンサバニもFRP製の和船に取って代わり、漁港や海辺にサバニが浮かんでいる景色は古い写真の中だけになった。要するに漁労の方法が変わり、便利なほうへ移っていったのだ。 |
そんな風に時代から消えた帆かけサバニのどこが面白いのか。 しいて言えば、風をつかまえて走る時は漕ぐよりもはるかに余裕がある。喫水が浅いので浜に上陸ができ、旅の道具として自由度が大きい。それにエンジンの音がないので会話が楽しめ歌がうたえ、舵取り以外の人間は居眠りができる。カスタムメイドなので、簡単な大工道具でどこでも修理ができる。
風で走るのだが、ヨットほど気取ってはいない。水面が近いのはカヌーと似ている。 このサバニで、海風をつかまえようとしている日々である。 |
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