どこの島でも、到着すると、年老いた漁師たちが集まってくる。 帆かけサバニが、懐かしいのだろう。
じっと目を凝らしてサバニを見つめる老人や、舟を撫でている者もみな遠い昔を思い出している様子で、すぐにサバニ談議が始まる。 与論島の大兼久(おおかねく)の浜では、老人が話しかけてきた。
沖永良部島では、笠石海岸の旧友を訪ねた。毎度のことだが生ビールをたらふくご馳走になり、幸せな気分で島を後にした。 圧巻は徳之島の面縄(おもなわ)港での出来事だ。ちょうど昼飯時に上陸すると、港には面縄中学校と書かれた運動会テントが張られている。なにやら宴会をしている様子で、大勢の人が珍しそうにこちらを眺めている。
満腹になったころあいをみて、校長先生からひとこと「一宿一飯の恩義という言葉があります。よろしければ明日の朝8時に学校に来てください。
よく朝、サバニの周りに島の漁師が集まって、さっそくサバニ談議が始まった。35年前までは、糸満からきた島袋という名の漁師がこの近くでサバニを造っていたという。その漁師は独り暮らしの生活で、寂しい最期だったそうだ。糸満からきた漁師が死んで、面縄のサバニ文化は途絶えたという。 つぎの日から、南西の風が強くなって波浪注意報がでた。この先は天気がしばらく崩れそうなので、今回の旅はここ徳之島で終了しよう。 しかし、旅の心はまだまだ先へ向かったままだ。 次は、もう少し遠くへいこうかな。