おとなのたまり場 > もういちどBE-PAL > 自転車達人マニュアル > 世紀の発明『BD-1』のルーツを紐解く
もういちどBE-PAL
もういちど自転車自転車日記
自転車達人マニュアル
世紀の発明『BD-1』のルーツを紐解く
今回、ボクたちが使ったBD-1(BD-3)という自転車をクリエイトした『r&m』という会社について詳しく紹介しよう。

r&mの本社は、ドイツ・フランクフルトから南に約30キロに位置する工業と学術とアートの町、ダルムシュタットにある。マーカス・リーゼとハイコ・ムラのふたりが、創立から現在までr&mの代表を務める。彼らは、ともに通っていたダルムシュタット工科大学在学中に知り合った。音楽と旅と自転車という共通の趣味をもつふたりは、すぐに打ち解け、夢を語り合い、92年には新しい折り畳み自転車の開発をスタート。
ダルムシュタット工科大学の前に立つのは、創業者のひとりマーカス・リーゼ。この校舎でふたりは出会ったそうだ
92年に作られた試作車。サスペンションの構造は、現在の市販車に受け継がれている ハイコの自宅ガレージで古い自転車のフレームを壊しては溶接し試作を重ねた。ある程度まで設計がまとまると、今度はヘルメットから出た耳をカバーする保温ウェアを手作りして販売。ドイツの冬は寒く、これがよく売れたそうだ。こうして集めた資金を元手に会社を設立し、95年に最初のBD-1を市販した。

BD-1の特徴は、18インチという小径タイヤにある。高圧充填できるタイヤは、接地面が少なく路面抵抗が低い。小径タイヤ最大の特徴であるスタートダッシュの軽さに加え、効率よくハイスピードで走り続けられる効果を備えた。さらにホイールべースを長く設計することで直進安定性を高め、窮屈な乗車姿勢になることを回避した。
高圧タイヤゆえの路面から伝わる振動は、前後のショックアブソーバーで和らげる。また、折り畳むときには、このアブソーバーのロックを外すことで、前後のタイヤがフレームの下に格納できる仕組みになっている。折り畳むためのヒンジがフレームの中央にある一般的な折り畳み自転車とは一線を画し、見ための美しさを備えながら、小さく折り畳め、しかもスポーティーに走れる点が優れている。

また、ハイコとマーカスは若い頃、MTBに夢中になっていたという。その経験から、変速機やブレーキは、MTB用はもちろん、ロードバイク用のパーツとも高い互換性をもつ。これが、改造する楽しさを奮起させ、自転車マニアにもおもしろがられてきた。「発明」というに相応しい、唯一無二の完成された折り畳み自転車。それがBD-1なのだ。
社長室は洗練されている。ハイコの奥様が描いた絵も飾られていた
彼らが01年まで使っていた本社工場。粉ミルク工場跡の趣きある建物だった ダルムシュタット中央駅から自転車で5分ほどの場所にある現本社工場前。こちらがもうひとりの代表ハイコ・ムラ 社内の工場では、欧州に出荷する製品の組み立てを行なっている。ホイールもここで組んでいた ダルムシュタットのビール。走ったあとのビールは世界共通言語。ビール大国ドイツではなおさら
(撮影=山本修二、取材協力=『自転車人』山と溪谷社・刊)
ページトップへ
達人マニュアルトップへ戻る →
もういちどBE-PALトップへ