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山本修二の自転車日記 ママチャリだっていいじゃない。自転車に乗って坂を下れば、ほら気分爽快。ペダルを踏んで前へ前へ。気持ちだけは少年に。自転車に乗って、ジンセイゆるりと楽しみませんか?
 
第十二話 4月19日更新
レンタル自転車を使って東京・下町を自転車散歩 路地とお寺とアート。しっとりした大人の町をゆるり巡る
古いアパートやお寺が建ち並ぶ東京・谷中の町。無数にある路地を好き勝手に通り抜け探検した
『トーキョーバイク』(※1)という自転車をご存じだろうか?
美しく細いスチール・フレームに、ロードレーサー並の細いタイヤを履き、必要十分な変速機を組み込んだスポーティでお洒落な自転車。今、知り合いに「5万円以下で、いい自転車ない?」と相談されたときに、真っ先に思い浮かぶ自転車だ。
昨年、東京・谷中にヘッドオフィスを兼ねたショールームがオープン。ここでは週末と祝日限定で、オリジナル自転車を3時間500円で貸し出している。桜の花が咲き始めた暖かい3月の土曜日に、このレンタルを利用して遊んできた。

春、下町、自転車……。どこを、誰と、どう走れば楽しいか? 走る場所については、店で聞けるし、ガイドブックでも情報を拾えた。でも「誰と」ということには最後まで悩んだ。
そこで、思いついたのがモデルの美紀ちゃんだった。旅好きの彼女は、休みを取っては異国に出かけ、その地で出会った人、風景、料理、そして、自転車の写真を撮りためている。
「趣味なんです」と本人はいうが、彼女の写真には、センスのよさと温かい人柄が素朴に表現されていた。
「もしよかったら、カメラマンとして一緒に走ってもらえませんか?」とお願いした。答えはイエス。しかも彼女はカメラマン・デビューにノリノリ。かれこれ10年くらい一緒に仕事をしている仲間だが、新鮮な一面を垣間見た。
「たまたま通りがかった谷中の町の雰囲気がよくて……」。トーキョーバイクの金井さん(左)は谷中に一目惚れ。昨年、事務所とともにここへ移住した
そして、ショールームへ。トーキョーバイクの代表で、このブランドを大切に育ててきた金井一郎さんに、谷中のディープなゾーンを地図に書き込んでもらった。これを持って出発。美女とふたりの自転車散歩なんて夢のよう。最初からウキウキでした……。
お寺の横にある幅1メートルほどの路地を抜け、小型車しか通れないような急坂を下る。
「窓辺に干してある洗濯物が、ヨーロッパみたいですね…」と美紀ちゃん。そんな風景をニコニコと楽しそうに撮影している。ヘビのようにクネクネと曲がった不思議な道を通り抜け、『谷中ぎんざ』(※2)にやってきた。人が多く活気のある商店街は自転車を押して歩き、さきほど金井さんが教えてくれた1本90円の串焼きを買い食いした。1本の串に、ウズラの卵や、正肉、皮などが刺さったお徳用。いまどき100円玉1枚で、こんなシアワセ気分は味わえない。
『夕やけだんだん』と名づけられた階段を上り、谷中霊園の桜並木を通る。この日、桜はまだ一部咲き。淡いピンクが奥ゆかしかった。ランチは、築100年以上の町家を改造した『谷中ボッサ』(※3)というカフェで。食後のコーヒーを楽しみながら、彼女が撮った写真をデジタルカメラの小さな液晶画面でみせてもらった。斬新なアングル、下町情緒、それにあまり見たくないおっさん(ボクです)の姿があふれていた。
谷中には公園のような休む場所が少ない。人通りの少ない階段でちょっとお休み さらに路地裏を行く。
銭湯を改装したギャラリー、駄菓子屋、古い井戸……。見るものすべてが新鮮だった。レンタルした自転車は軽く、ほとんど漕がなくてもスイスイ走る。まるで、アミューズメントパークの中を、用意された乗り物で移動しているような感覚だ。
「修二さん、私、この町好きです。静かだし、なんだか居心地いいですよね〜」とゆっくり走りながら美紀ちゃんが話す。谷中にあるお寺の数は約80といわれている。町全体がお寺の見本市のような場所。おそらくここは、土地自体がパワーを秘めた、日本有数のヒーリングスポットなのだろう。最近では、日本人のみならず海外からここに移住しアートを追及する人も少なくない。下町でありながら、芸術と文化の臭いがするパワーみなぎる場所だった。乗りやすい自転車、魅力的な町、そして、よきパートナー。仕事を忘れ、このうえない春の自転車散歩を楽しんだ。
職権乱用だったかな!?
 
(撮影=美紀)
(※1)『TOKYOBIKE』  http://www.tokyobike.com/
詳しい情報は「自転車達人マニュアル」をご覧ください
(※2)『谷中ぎんざ』  http://www.yanakaginza.com/
(※3)『谷中ボッサ』  東京都台東区谷中6-1-27  TEL 03-3823-5952
(※4)『SCAI THE BATHHOUSE』  http://www.scaithebathhouse.com/
『夕やけだんだん』と名づけられた階段。この上から、谷中ぎんざを一望に収める。昔は富士山もみえたのかな? 谷中ボッサのカレー。れんず豆が入っていて美味しかった。店内には静かなボサノバが心地よく響いていた 美紀ちゃんが路地裏で立ち止まり、この家に暮らすおばちゃんと話しながら撮影した玄関。手作りの郵便受けがキュート 揚げ物の臭いが通りに広がる谷中ぎんざ商店街。この雰囲気が気に入り、時間をおいて3回も通ってしまった 『スカイ・ザ・バスハウス』(※4)という銭湯の建物を改装したアートギャラリー。 今日の1枚。「桜と壁と空のコントラストが日本的できれい。谷中の風景は、どこも素敵でした」と、この日、撮影をしてくれた美紀ちゃん お寺が軒を並べる町=谷中。屋根だけをみても、形状、色、素材が、個性的で興味深かった。
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