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もういちど自転車自転車達人マニュアル
山本修二の自転車日記 ママチャリだっていいじゃない。自転車に乗って坂を下れば、ほら気分爽快。ペダルを踏んで前へ前へ。気持ちだけは少年に。自転車に乗って、ジンセイゆるりと楽しみませんか?
第十話 3月21日更新
春の伊豆半島、男3人旅 (前編) 電車+船+折りたたみ自転車で駆け抜けた
最近、旅に出ると写真ばかり撮っている。何を残そうというわけではない。ただ撮りたいという衝動に駆られているだけ。自転車のテンポが、写真を撮るのに丁度いいからだろうか? 気になる被写体があれば、パッとブレーキをかけて立ち止まり、パシャッとシャッターを切るだけ。あー気持ちいい。

おっといけない。今回は、カメラマンの岡野君が一緒だったんだ。それに、ボクを誘ってくれた今回の隊長であり、同サイト内の「おとなのずる休み」で執筆している堀田さんも。ふたりはともに、ドイツで発明された走りのいい折り畳み自転車『BD-1』で取材を兼ねた旅を経験し、この自転車で遊びに行く楽しさに開眼したそうだ。
朝7時6分、小田急線代々木上原駅で急行に乗る。ひとりで輪行するときは、5時ぐらいに出て行くんだけど、こんなスロー・スタートもたまにはいい。同じ駅でカメラマンの岡野君と合流。町田駅で堀田隊長がひとり、気まずそうな顔で乗り込んできた。じつは、「自転車美人をひとり連れてくる…」。なんて意気込んでいたような? ま、人生そういうこともありますよ。そんな感じで、ボクたちの自転車旅は、最初から寅さんのごとくスタートした。

小田原駅で小田急線からJR東海道線に乗り換え。真鶴半島を越えるころから「パシャ、パシャッ」とシャッターを切りはじめた。そして、沼津駅へ。駅前でBD-1を組み立て、さあ出発。と思ったら、ふたりともまだ準備ができていない。バッグや三脚など、自転車から取り外していた道具を、あれやこれやと取り付けている。なんだかとても楽しそう。ふたりの荷物やそれを積む工夫をみていると、この旅に対する熱い思い入れが伝わってきた。

港に向かって一同出発。港へ着くと、乗る予定だった船は目の前で行ってしまった。でもそんなことなど誰も気にする様子はない。旅慣れた人は、これがいい。切り替えの早いボクたちは次の船が来るまで、沼津漁港を散策し寿司を食べた。
東海道線の窓からパシャッ。旅の思い出に1枚撮ってみた。山歩きの人が多く、電車はけっこう混んでいた
倒れているわけではありません。沼津港で愛車を撮影していました。背後で撮られているとは気づかなかった……/沼津から高速船で土肥へ。大人片道2,500円。自転車はたためばタダ。そのままだと1,000円取られる
海を見ながら走る。穏やかな春の一日。サイクリングには絶好の日和だった 予定より1時間遅れて高速船に乗り土肥へ。堀田隊長の発案で深海魚を出す店に入った。最初の一品が出る間もなく、「おー、なんだ!」と隊長が叫んだ。見れば美女がふたり、お店に入ってきた。なんと隊長の顔見知りというのだ。話しが上手すぎないか?

伊豆の、それも深海魚をだす店で、偶然なんてありえない。しかも美女。彼女たちは「休みを利用してキャンプに来た」なんて言ってるけど、堀田隊長がチャーターした運び屋に違いない。途中の急な峠の手前で現われ、「じゃあ、お先に」なんて言って、自転車を折り畳み、彼女たちに用意させたビール片手に行っちゃうんだろうな……。
彼女たちより一足先に店をあとにした。スタートから、いきなり上り坂。隊長を先頭に、岡野君、ボクと続く。ペースはスロー。向かい風だったので、隊長の前に出て風を避けようと思ったら、すぐに離れてしまった。ペースが合わないので、再び最後尾に戻った。

春の陽射しにキラキラと輝く海。そんなカーブで走行シーンを撮影していると、先ほどの美女がクルマでやってきた。ほーら来た、と思ったら挨拶だけして行ってしまった。仕込みではなかったようだ。それから、いくつかの坂を越え、男3人、デートのカップルで賑わう恋人岬で休憩。堀田隊長は大汗をかいていた。息も切れている。松崎まで着けるか少し心配になった。
夕暮れを前に、ようやく桜咲く松崎町にやってきた。クルマで来るのとは違う、充実感と達成感が心地いい恋人岬で男3人、菜の花の美しさに感激。ちょっと気持ち悪い?でもきれいだった先頭の堀田隊長も快調に走る。次を行くのはカメラマンの岡野君。量も重さもある機材を担ぎ走るカメラマンの後ろ姿はたくましかった(撮影=山本修二)
夕方になり松崎の町に入った。道端には菜の花、並木には寒桜の花が咲く。しっとりとした雰囲気の小さな町は、恰好の被写体。「早くビール飲もうや」という隊長の言葉を聞き流し、港や古いなまこ壁の建物の前で、写真撮影を楽しんだ。
初日の走行距離は30キロ弱。ほとんどの移動が公共交通機関を利用。だからあまり疲れていない。それでも宿で飲んだビールの味は格別。なにより、いつでも会話ができる仲間と一緒に走る楽しさに、久しぶりに浸った。同じ時間を共有した仲間。夕食の会話も弾みアルコールも進む。やっぱり旅はソロより道連れがいるほうが楽しいや。

<堀田貴之のずる休み日記「折りたたみ自転車で伊豆半島を巡ってみれば」もよろしく!>
今日の1枚。松崎町の自転車と床屋さん。そこだけ時間が止まってみえた(撮影=山本修二)
(写真=岡野朋之)
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