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翌朝、9時30分本社集合。ありったけの防寒具を身につけ出向いた。今回は、MTBクロスカントリーレースの現役選手で、チームMX/ストーク所属の深谷幸彦選手も日本から一緒に参加。彼は、アドバイザーを務める会社の仕入れのためにやってきた。集まったメンバーは10名。サーリーの開発スタッフと、もうひとつのオリジナル・ブランド『サルサ』の開発スタッフも顔をそろえた。
「今日は、ミネアポリスでも珍しい寒さだ。マイナス28度Cなんて、年に1、2日しか経験できないよ。普通は走らないんだが……」
ひとりのスタッフが、そう話した。われわれに用意された自転車は、サーリーの『パグズレイ』というモデル。幅3.7インチ(約10センチ)の極太タイヤを装着した本物の冒険自転車。この太いタイヤだから、普通のMTBでは走れない荒地や雪の上でも走れるという。今回の最大の目的は、この自転車を極寒の地で試乗することにあった。
本社をあとにし、舗装路を走る。タイヤの太さは思いのほか感じない。ダウンヒル用のMTBより、はるかにペダリングが軽い。ハンドリングは鈍いが、十分街乗りで使えそうなレベル。それに空気圧を低くしているため、乗り心地がふわふわでサスペンションがなくても気持ちいいのだ。ところが、楽しく乗っていたのも最初の数分だけ。指先から凍ってくるような気がした。さらに心臓めがけ、徐々に凍ってくるような感覚に襲われた。同時に鼻まで覆ったネックウォーマーを通して吐く息の水分でメガネが一瞬にして凍った。視界を確保するためネックウォーマーを外すと、空気が冷たすぎて呼吸がまともにできない。心拍が乱れ、まともにペダリングができなくなる。 |