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もういちど自転車自転車達人マニュアル
山本修二の自転車日記 ママチャリだっていいじゃない。自転車に乗って坂を下れば、ほら気分爽快。ペダルを踏んで前へ前へ。気持ちだけは少年に。自転車に乗って、ジンセイゆるりと楽しみませんか?
第五話 1月10日更新
古いMTBを再生し、四国・松山へと輪行トリップ 情緒ある町並みをぶらり自転車散歩
金曜日の夕方。仕事を早めに終えて羽田空港にむかった。荷物はデイパックひとつと自転車を折り畳んで詰め込んだ輪行袋(りんこうぶくろ)だけ。自転車は小さく畳んで袋に入れれば、よほどの小型機でない限り機内預かり荷物として運んでくれる。普通の荷物と違うのは、空港カウンターで、万が一壊れても異議申し立てしないという内容の免責サインをするだけ。極端に重い自転車でない限り基本的に無料。過去オーバーチャージを請求されたのはカナダのローカル便で一度だけ。

すっかり陽が暮れ冷え込んだ松山空港(愛媛県)。預けた自転車を受け取り、外へ出て20分ほどで組み立てを完了した。道標を頼りに市内に向かって走り出す。寒いし暗い(12月だからあたりまえかぁ)。でも松山市内へ続く幹線道は車道・歩道とも道幅が広く、交通量も少ない。この寒さを除けば自転車で走るには、すこぶる快適な道路事情だ。
夜の松山空港で自転車を組み立てる。空港から市内までは10キロぐらい。自転車は、しばらく乗っていなかった古いMTBを再生したもの
空港から約1時間。途中、何度か迷いながらも予約した安ホテルにたどりついた。このホテル(※1)は、1泊3850円で朝食付き。しかも、「自転車が心配なので…」と話すと、快く事務所で預かってくれた。部屋も広く清潔。和食中心の朝食バイキングは種類も豊富で美味しい。胃袋自慢のサイクリストには嬉しい限り。このホテルは当たりです。
古美術店や歴史的建造物が立ち並ぶ表通りから、路地裏へ入ると歓楽街だった。このギャップが、日本らしさか? 快晴の土曜。朝から自転車散歩と洒落込んだ。松山城を眺めつつ、道後温泉を目指す。路面電車が走る風情ある街並は、どこかスローな空気が流れていて、これがペダルを踏むリズムに心地よく共鳴する。道後温泉駅では、路面電車の線路を走るSL風ディーゼル車『坊ちゃん列車』を見送り、すぐ近くにある無料の足湯で温まった。そして、明治27年築という国の重要文化財『道後温泉本館』を外から覗いてみた。ほんとは、入浴したかったのだが朝から大混雑。その後のツーリングを考えると、湯冷めの心配もある。温泉街をグルッと一周して、松山駅方面へと引き返した。

市内の様子をぼんやり眺めながら、ゆっくりとペダルを踏む。気になる建物や旧跡があれば足を止め、久しぶりに使う銀塩カメラのシャッターを切った。そして、道路沿いにあるクルマじゃ見逃してしまいそうな小さなうどん屋(※2)に入った。うどんが出てくる前に、いい色に煮込まれたおでんをひとつ。「味噌つけて食べな。うまいっから」と店のおばちゃん。どう見てもそれは練りからし。しかし、食べてみると、甘めの味噌とからしを混ぜたものだった。薄味のうどんも美味しかったが、このおでんと、おばちゃんが練ったという、からし味噌の風味が冷えた体をポッと心から温めてくれた。
道後温泉駅前の足湯(無料)。朝陽に湯煙が照らされる様子を銀塩カメラで撮影してみた 道後温泉本館。映画『千と千尋の神隠し』の舞台のモデルになったといわれる。今も底知れぬ力が漲っている 懐古的な趣の道後温泉駅。SL風『坊ちゃん列車』も路面電車の軌道を行く
スタジアムへ向かう途中に通りがかったうどん屋で昼食。場所は、愛媛運輸支局の隣 よく味がしみた大根のおでんは1本80円。甘みのあるからし味噌が、風味を高める
うどん屋をあとに。次に目指したのは愛媛総合運動公園。そう、天皇杯5回戦『FC東京VS浦和レッズ』を観戦するため。ボクはFC東京を応援して5年になる。好きなサッカー・チームを持つこと。それが旅に出るきっかけ(口実ともいう)になる、とすぐに気づいた。福岡や新潟、それに松本や静岡にも行った。クルマで行くこともあれば、今回のように自転車や公共交通機関を使うこともある。どこへ旅するか? 自分でなかなか決められないボクにとって、サッカー観戦が一筋の道を開いてくれた。旅に出る理由なんて、そのぐらい人任せで丁度いいのかもしれない。
(次回「しまなみ海道横断編」1月24日更新へ続く)

※1 ホテル泰平別館 TEL:089-921-3515
http://www.hoteltaihei.co.jp/hoteltaiheibekkan/index.html
※2 山河うどん
愛媛県松山市井門町52-1 朝10時〜19時 日曜定休
今年J2に昇格する愛媛FCの本拠地・愛媛総合運動公園を望む。サッカーと自転車。欧州では2大人気スポーツ
地図 愛媛名物のいよかんをはじめ、鮮やかな橙色に輝く柑橘類の畑をいくつも通り過ぎた。目にも温かい風景だ。振り返れば坂の少ない街だった
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